おやぢの部屋2
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DEBUSSY/La mer
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Yevgeny Svetlanov/
The Philharmonia
COLLINS/CLN0002-2




COLLINSというイギリスのレーベル、最近はバジェット・レーベルのライセンス元ぐらいでしかお目にかかれないと思っていたら、すでに1998年には活動を停止していたのですね。今では、権利はPhoenix Music Internationalというところが所有しているのだそうです。ここに、そのCOLLINSのカタログの復刻を働きかけたのは、日本の東武ランドシステムでした。なんでも「粘り強い交渉」の結果、「全てのタイトルを復活」させる契約を結んだのだそうです。そんなわけで、長らく入手不能だったこんなスヴェトラーノフがフィルハーモニアと行ったセッションなども、めでたくリイシューされることになりました。
これは、1992年にロンドンの教会で録音されたもの、この頃から、オーケストラの録音といえばコンサートをそのまま収録して編集するという「ライブ録音」が主流になりかけていたはずですから、こんなお金のかかる「セッション録音」などをやっていたために倒産の憂き目に遭ってしまったのでしょうね。
このアルバムには、ドビュッシーの「名曲」が3曲入っています。「海」、「ノクチュルン」、そして「牧神の午後への前奏曲」です。実は、友人から「牧神」で、首席フルート奏者のケネス・スミスがソロを吹いていると教えてもらい、聴いてみたくなったのが、入手した最大の理由です。
ですから、まず最初に、一番最後に入っている「牧神」を聴いてみたくなるのは、彼のファンであればごく自然のことでしょう。しかし、期待を持って聴き始めたところ、彼のソロがなんとも重っ苦しいのには、ちょっと戸惑いを感じてしまいました。ビブラートもなんだかものすごく深め、こんなの、ケネス・スミスじゃないやい!と、途中で聴くのをやめてしまいましたよ。ほんとに、あの澄んだ音色のスミスは、いったいどこに行ってしまったのでしょう(ちゃんとフルート・ソロのクレジットがありますから、他の人ではありません)。
しばらくしてそんなショックも癒え、せっかく買ったのだから最初からきちんと聴いてみようと思いました。もしかしたら、スミスはあんな不本意な吹き方をスヴェトラーノフに強いられていたのかもしれませんからね。
「海」は、最初のうちは確かにちょっと重心が低すぎるかな、という感じはあったものの、別にそれほどの違和感はありませんでした。しかし、聴き進んで「風と海との対話」あたりに来ると、なんだかオーケストレーションのバランスがちょっとドビュッシーではないような思いに駆られるようになりました。そう、このあたり、オーケストラは、まさにリムスキー・コルサコフのような音を出しているのですよ。やはり、スヴェトラーノフとしてみたら、ドビュッシーの「不安定」なオーケストレーションは、何としてもきっちりとメリハリのあるものに整えたい、と考えたのかもしれませんね。
それに気がつくと、いたるところでドビュッシーならではの危ういバランスが失われていることが分かってきます。「ノクチュルン」でも「雲」のパステル・カラーの音色が聴きたいところは、全て塗りたくった油絵のようになっています。最悪なのは「シレーヌ」の合唱。このレーベルに多くの録音を残していた「ザ・シックスティーン」が歌っているのですが、「絶叫」はしていないまでも、音色があまりに生々し過ぎるのですね。ドビュッシーにロシア民謡は絶対に合いません。
ですから、やはり「牧神」でのスミスは、彼本来のフルートではなかったのでしょうね。彼だったら、頭のフレーズを軽々とノンブレスで吹けるはずなのに、途中でブレスを入れざるを得なかったのも、そのあたりが影響していたのでしょう。今まで全く気づかなかったのですが、この半音階のテーマは、リムスキー・コルサコフが作った「サトコ」というオペラの中の「インドの歌」とそっくりですね。もちろん、そんなつまらないことを気づかせてくれたのは、「巨匠」スヴェトラーノフです。最近ママになった人ではありません(それは「さとこ」)。

CD Artwork © Tobu Land System Co., Ltd.
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by jurassic_oyaji | 2011-08-17 20:24 | オーケストラ | Comments(0)