おやぢの部屋2
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NARBUTAITE/Tres Dei Matris Symphoniae
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Robertas Servenikas/
Kaunas State Choir, Aidija Chamber Choir
Lithuanian National Symphony Orchestra
NAXOS/8.572295




オヌーテ・ナルブタイテなどというMっぽい作曲家の名前(それは、「ブッタタイテ」)は、おそらく一生耳にすることはなかったはずですが、何の因果かこんなCDを聴く羽目になってしまいました。「オヌーテ」というファースト・ネームで分かるとおり(分かるか?!)、この方は女性の作曲家です。1956年にリトアニアで生まれ、リトアニアで音楽教育を受けています。
彼女の作品は、ヨーロッパやアメリカなど、世界中で演奏されているのだそうですが、今回の作品はフランクフルトの「ブランデンブルク州立管弦楽団」という、かなり知名度の低いオーケストラからの委嘱によって、2002年から2003年の間に作曲されたものです。このCDは、2008年にリトアニアの首都ビリニュスで行われたコンサートのライブ録音です。
タイトルは、「3つの聖母の交響曲」という意味ですが、それぞれ20分ほどの合唱を伴うオーケストラによる3つの作品が集められたものです。テキストに「Ave Maria」、「Gloria」、「Stabat Mater」を用いて、「黙示」、「イエスの生誕」、「磔刑」を描くという趣向なのでしょう。さらに、オープニングとエンディングにア・カペラの合唱によって「ソロモンの雅歌」と、ヒルデガルト・フォン・ビンデンによる聖歌をテキストにしたものが歌われます。
もちろん、全く予備知識のない作曲家ですから、いったいどんな音楽が聴けるのか、楽しみでもあり、不安でもあるところ、ジャケットには「ネオ・ロマンティック」などという言葉が踊っていますので、とりあえず同じバルト3国の作曲家、ペルトあたりの作風に近いのかな、と、見当をつけてみます。
ところが、バルト3国の合唱にしてはずいぶんアバウトな1曲目のア・カペラに続いて聞こえてきた「第1の交響曲」は、そんな先入観を見事に裏切ってくれるようなサウンドを披露してくれました。それは、最近の作曲業界ではほとんど耳にすることがなくなった、ある種懐かしさも伴う「現代音楽」の響きだったのですね。そこには「ロマンティック」のかけらもありません。
しかし、そのうち、これが懐かしいのも当然なのではないか、と思うようになってきます。これは、ほとんど武満徹のパクリではありませんか。モーダルなテーマをもってきたり、打楽器をメロディアスに多用したり、そして極めつけは武満を武満たらしめているあの和声感。何も知らない人に、これは武満の「新発見の遺作」だと言って聴かせたら、間違いなく信用してしまうほど、それはツボを押さえたパクリです。
さすがに、「第2」と「第3」では、そんなミエミエの「武満」は陰を潜めます。「第2」あたりでは、逆にこれ見よがしに「ロマンティック」なフレーズをチェロなどに弾かせて、それこそペルトにも似たテイストを出そうとしていますし、「第3」ではもはや映画音楽と言っても構わないようなドラマティックなサウンドを聴かせてくれます。と、「ロマンティック」に開き直るのかと思っていると、合唱はペンデレツキ(もちろん、きちんと「現代音楽」をやっていた昔のカレ)のパクリを始めましたよ。
リトアニア国立交響楽団は、そんな「難曲」を、見事に演奏しています。繊細さもダイナミックさも持ち合わせた、立派なオーケストラなのでしょうね。このオーケストラで本物の武満を聴いてみたいな、などと思ってしまうほどです。
ただ、合唱はかなり大人数のせいなのでしょうか、細かいニュアンス(それが、この作品に必要なのかはさておいて)が見事になくなっています。しかも、あまり練習できていないのが、このライブでははっきり分かってしまいます。
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ジャケットには、作曲家の写真が載っています。眼鏡をかけた、ちょっと意地悪そうな「おばさん」、それが、なんだか図々しい「猫」に見えてしょうがありません。

CD Artwork © Naxos Rights International Ltd.
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by jurassic_oyaji | 2011-08-19 20:47 | 現代音楽 | Comments(0)