おやぢの部屋2
jurassic.exblog.jp
ブログトップ
FAURÉ/Requiem
c0039487_20343557.jpg
岡村知由紀(Sop)
David Wilson-Johnson(Bar)
Rolf Beck/
Schleswig-Holstein Festival Choir Lübeck
Ensemble orchestral de Paris
HÄNSSLER/CD 98.628




これは、2010年の「シュレスヴィヒ・ホルシュタイン音楽祭」でのライブ録音です。その名の通り、ドイツの北部のシュレスヴィヒ・ホルシュタイン州を中心に毎年夏に開催されている音楽祭で、期間中は世界中から集まったアーティストによる多くのコンサートが開催されます。その中では、オーディションで集められた若いメンバーによって作られたオーケストラが、高名な指揮者によって指導されるという教育プログラムも行われているはずです。だいぶ前に、確かショルティがそのオーケストラのリハーサルをしている映像を見たことがありましたが、それによって、この、いかにもドイツっぽい地名が記憶に残っていたのでした。そんな指揮者がいましたよね(それは「ホルスト・シュタイン」)。
そもそもこの音楽祭は、1986年に、あのバーンスタインによって創設されたものなのだそうです。その4年後に札幌で始まったされた「パシフィック・ミュージック・フェスティバル」と全く同じパターン、最晩年のバーンスタインは、ところ構わず自らの情熱を形にしていたのですね。「偉大」、だったのでしょう。
オーケストラに続いて、合唱部門で「アカデミー」が始まったのは2002年と、割と最近のことです。それを始めたのが、ここで指揮をしているロルフ・ベックです。彼の現在のポストはバンベルク交響楽団の合唱団の指揮者、この音楽祭と酷似した名前の指揮者、さっきのホルスト・シュタインの時代からその職を務めているのは、なにかの因縁なのでしょうか。
そういう合唱団ですから、世界中から集まってきたメンバーは、夏の間だけ音楽祭で活動、あとはその流れで世界ツアーなどもこなしているのでしょう。そのメンバーも、年によって当然入れ替わっているのでしょうね。とりあえず年齢制限はありますから、若いぴちぴちとした声を集めることは困難ではないはずです。
第3稿による「レクイエム」、フランスのオケ(そんなに人数は多くないはず)の、ちょっと意外な深い響きのDのユニゾンに続いて聴こえてきた合唱は、確かに「若い」感じはしましたが、それは「ぴちぴち」というよりは、もっと渋い、充分に「大人」でも鑑賞に耐えうる節度を持ったものでした。とてもそんな寄せ集めとは思えないような確かなアンサンブルは、ベックの力量をうかがわせるものです。演奏自体は、かなり遅めのテンポをとってたっぷり歌いこむ、といった芸風、合唱はもちろんそれにしっかりついて行って落ち着いた音楽を提供していますし、オケの方も細かいフレージングが実によく歌えています。このあたりは、オーケストラ指揮者としてのキャリアも豊富なベックの持ち味なのでしょう。
2曲目の「Offertoire」になると、合唱はまるで人数が半分に減ってしまったかのような、とてつもないpで歌い始めました。この合唱団は、ダイナミックスの幅がとてつもなく広いのですね。その分表現の幅も大きく、とても余裕のある音楽が楽しめます。ハーモニー感が試される鬼門、5曲目の「Agnus Dei」の後半でソプラノがCを伸ばしている間にハ長調から変イ長調に転調するところなども、完璧でした。
ソリストは、日本人の岡村さんはなかなか清楚な声ではあるのですが、東洋人であることがバレバレの発音の悪さは致命的です。ウィルソン・ジョンソンは、ビブラートの幅が広く、高めにシフトしているので、この合唱と一緒だとかなり不安定。
後半には、別の会場で録音された「ラシーヌ賛歌」などが、オルガンだけの伴奏で歌われています。「レクイエム」の録音会場とは桁違いに豊かな残響で、まるで別の合唱団のような印象を受けてしまいますが、そのクオリティの高さは変わりません。
なぜか、このところフォーレの「レクイエム」のリリースが目白押し、いつもこんな合唱だといいのですが、どうなることでしょう。

CD Artwork © Hänssler Classic im SCM-Verlag GmbH & Co. KG
[PR]
by jurassic_oyaji | 2011-08-27 20:36 | 合唱 | Comments(0)