おやぢの部屋2
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DVORAK/Symphonies Nos.7 & 8
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Roger Norrington/
Radio-Sinfonieorchester Stuttgart des SWR
HÄNSSLER/CD 93.277




シュトゥットガルト放送交響楽団は、1998年に首席指揮者に就任したノリントンによってまさに画期的に変貌させられてしまいました。彼は、それまで過ごしていたピリオド楽器のフィールドでのノウハウを、そのままこのモダン・オーケストラに植え付けようとしたのです。一部のものをピリオド楽器に置き換えたり、フレージングやテンポもピリオド楽器からの視点で考えるといったようなことですが、なかでも「ノン・ビブラート」による弦楽器セクションというコンセプトは、大きな反響を呼ぶことになります。放送局のオーケストラですから、録音ソースには事欠きません。物珍しさも手伝って、このチームによる録音は大量にリリースされました。
そんな「スーパースター」も、すでにこのポストを去り、2011/12年のシーズンからはステファン・ドネーヴという、はっきり言って知名度の低い若い指揮者がこのオーケストラの首席指揮者となりました。これからは、今までのように何でもかんでもCDになるというようなことはなくなるのでしょうね。
このドヴォルジャークは、2010年の4月(7番)と9月(8番)に行われたコンサートのライブ録音、8番はまさにノリントンの最後のシーズンでの演奏ということになります。実は、ドヴォルジャークに関しては、すでに「9番」のCDがリリースされています。録音されたのは2008年7月のこと、それを聴くと、他の作曲家の曲と同じように、弦楽器は徹底してノン・ビブラートで演奏されているのが分かります。いくらなんでも、ドヴォルジャークでこれはないだろう、とその時は思ったものでした。
しかし、今回の「7番」と「8番」では、そんな違和感が全くありません。「8番」冒頭のチェロのたっぷりとした響きなどは、「普通の」オーケストラと何ら変わらない味わいです。そう、ノリントンは、今までこのオーケストラに対して課してきた「ノン・ビブラート」の掟を、あっさりと解いてしまっているのですよ。「9番」では、確かに「ピュア」には違いないものの、なんとも素っ気ない肌触りだった弦楽器のトゥッティが、ここでは見事にふくよかで暖かみのある響きに変わっているのです。
これは、いったいどういうことなのでしょう。10年以上に渡っていろいろやってはみたけれど、結局モダン・オーケストラに「ノン・ビブラート」を強いることは無意味なのだ、という結論に達したのでしょうか。もしそうだとしたら、マーラーなどであれほどこだわっていた「ピュア・トーン」というのは、いったい何だったのでしょう。世の中には、あんなストイックなマーラーを本気になって崇めていた「信者」だっていたはずです。その人たちは、「教祖」がこんなことになってしまって、さぞや戸惑っていることでしょう。
そんな「前科」を気にせずに聴いてみれば、これはとても「元気をもらえる」ドヴォルジャークです。何よりも、弦楽器奏者たちが「ノン・ビブラート」の呪縛から放たれてのびのびと演奏しているのが、最大の聴きどころです。ノリントンはそこに、「7番」のようなそもそも一筋縄ではいかない屈折した作られ方をしている音楽でも、彼の本質である楽天性をしっかり注ぎ込んでいますし、「8番」ではそれに輪をかけた躍動感を与えています。第4楽章冒頭のトランペットのファンファーレなどは、信じられないほどのテンポと軽やかさ。そのあとはごく普通のテンポに落ち着くかに見せて、そのファンファーレの再現である練習記号の「L」に向けて徐々にテンポを上げていくという設計には興奮させられます。確かにSUPRAPHON版の楽譜では冒頭と「L」のテンポは同じですからね(ノリントンはBREITKOPF版を使ったそうですが)。
いっそのこと、253小節目のチェロも、自筆稿の形にして欲しかったのに。これは、アーノンクールとは違うのだぞ、という意志の現れだったのでしょうか(奴のやり方には乗れんとん)。

CD Artwork © SWR Media Services GmbH
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by jurassic_oyaji | 2011-08-31 20:59 | オーケストラ | Comments(0)