おやぢの部屋2
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BERLIOZ/Symphonie Fantastique
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André Cluytens/
Orchestre de la Société des Concerts du Concervatoire
ALTUS/ALTSA003(single layer SACD)




1964年に、アンドレ・クリュイタンスに率いられたパリ音楽院管弦楽団が来日しました。大阪国際フェスティバルという、当時はこんな大物をどんどん招聘していたところが呼んだもので、大阪と東京でそれぞれ5回、全く異なるプログラムでコンサートを開催していました。その詳細は、こちらで知ることが出来ます。フランスものだけではなく、ベートーヴェン、ブラームス、ワーグナーの作品まで披露していたのですからすごいものです。確か、ベルリン・フィルと最初にベートーヴェンの交響曲ツィクルスのレコードを完成させたのはクリュイタンスだったはず、クリュイタンスは、ドイツものの演奏にも定評があったのですね。
東京でのコンサートは、一部NHKによって録音、録画され、ラジオやテレビを通じて全国のお茶の間に届けられました。実は、このオンエアを、当時実際に見ているのですよ。もちろん、モニターは14インチぐらいのブラウン管、スピーカーも内蔵の安物でしたが、結構興奮したことはおぼろげに記憶に残っています。何よりも、その3年前に出来たばかりの東京文化会館のステージの反響板のデザインが、とても印象的でしたね(ジャケットの写真は大阪のフェスティバルホールです)。聴いたのは「幻想」のはずですが、言いようのない迫力を感じていたような気がします。
その録音は、以前CDで出ていましたが、今回新たにシングル・レイヤーのSACDとしてリリースされました。ワンランク上がった音で、50年近く前の記憶は、蘇ることはあるのでしょうか。
まずは、派手なヒス・ノイズの応酬です。第3楽章あたりではさらに「ボコボコ」という低周波のノイズも加わりますがこれは、仕方のないことでしょう。しかし、そんなノイズにもかかわらず、オーケストラは定位のはっきりしたとても瑞々しい響きを聴かせてくれているのは、間違いなくSACDのおかげです。ほんと、ノイズさえなければ、これは充分過ぎるほどのクオリティを持った音ですよ。ですから、3楽章の頭では、本来「遠くで」吹いているはずのオーボエが、コール・アングレのすぐ隣にいることも分かってしまいます。テレビ向けで、わざわざステージで吹いていたのでしょうか。当時はそんなことは全く気がつきませんでしたね。
さらに、なんだか聴き慣れないフレーズがはっきり聞こえてくるのでなにかと思ったら、それは派手にビブラートをかけたホルンだったのですね。1番も3番も同じようにビブラートをかけていますから、個人芸ではなく、これこそが、当時の「おフランス流」だったのでしょう。同じようにコン・ビブラートのクラリネットや、甘い音色のバッソンと、今では絶滅しまった響きが、SACDから蘇ります。
そんな感傷に浸っているうちに、なんだか音楽はただならぬものになっていきますよ。第4楽章でのティンパニの強打なんて、オーディオ・チェックにも使えそうな迫力、確か、テレビでは聞こえていなかったはずのトロンボーンのペダル・トーンもはっきり聴こえてきます。そしてなだれ込む第5楽章。いやあ、噂には聞いていましたが、これがライブでのクリュイタンスだったのですね。まるで「狂いタンス」といわんばかりのテンションの高さ、それに煽られたオーケストラのすさまじいこと、エンディングなどは完全に崩壊しているじゃないですか。もしかしたら、この「凄さ」を、幼心にも感じ取っていたのかもしれませんね。
アンコールも2曲入っています。1曲目が「展覧会の絵」の「古城」ですって。アルト・サックスが、これでもかという熱演を聴かせてくれていますが、この日のコンサートの前半はベートーヴェンの「エロイカ」でしたから、彼はこのアンコールのためだけに「出勤」してきたのでしょうね。
それにしても、こんなすごい録音が、当時はご家庭で聴くことは絶対に出来なかったはずです。NHKのスタッフは、未来の聴衆に向けて仕事をしていたのですね。

SACD Artwork © Tomei Electronics "Altus Music"
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by jurassic_oyaji | 2011-09-02 19:52 | オーケストラ | Comments(0)