おやぢの部屋2
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MOZART/Requiem
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加藤綾子(Sop), 木村宏子(Alt)
金谷良三
(Ten), 大橋国一(Bas)
若杉弘
/
モーツァルト祭混声合唱団
読売日本交響楽団
TOWER RECORDS/NKCD 6568



東京カテドラルで196512月に行われた、「モーツァルト175回目の命日」のためのミサの模様を完全収録したKINGLPが、タワーレコードによってCDに復刻されました。聖マリア大聖堂の写真をあしらったジャケットは、その建物自体のインパクトによってしっかり記憶に残るものとなっていましたから、迷わず入手しましたよ。たったの1000円ですし。
モーツァルトの「没後200年」が1991年に祝われた(ちょっと変ですが)ことはまだ記憶に新しいはずですが、このミサが「没後175年」ではなかったことは、注意すべきです。正確には「没後174年」というハンパな年ですが、日本人にお馴染みの数え方をすれば「175回忌」ということで、見事にきっちりした数字に変わります。
カトリックの教会がなぜこんな仏教的な数え方をとったのかはさておいて、この1965年というのは、色々な意味で新しさを感じられる年だったのではないでしょうか。まず、丹下健三の設計による建物自体がその1年前に完成しています。東京オリンピックがらみで作られた体育館と同じような、当時としては前衛的な建物だったのでしょう。そして、指揮者の若杉弘はデビュー2年目、彼が常任指揮者を務めていた読売日本交響楽団も、創立されてやっと3年目だったのですからね。
さらに、この頃は日本でのステレオ録音がやっと始まった頃、このようなスタジオ以外の場所でのステレオ録音などは、まだほとんど「実験」と言っていい状態だったはずです。そんな、外部でのライブ録音には経験の浅いスタッフが、いきなりこんな残響の多い会場での録音を任されたのですから、ちょっと同情してしまいます。まず、聞こえてくるのが「ゴー」という低音のノイズ、最初は観客のどよめきかと思ったのですが、それは演奏が始まっても止むことはなく、ずっと続いています。もしかしたら、暖房のための空調の音だったのかもしれませんね。おそらく、LPの時代にはあまり気にならなかったのでしょうが、CDになってしまうともろにやかましい雑音として聞こえてしまいます。
演奏が始まると、これはもうひどいものでした。あまりにも残響が多いので、音が完全に混ざり合ってしまって、いったい何がなんだか分からない、まさに「混沌」状態に陥ってしまいます。ですから、もはやこれは「音楽」として味わうことは不可能です。ひたすら「ドキュメンタリー」と割り切って、モーツァルトが作ったものとは全く無関係な「音響」がひたすら続いていることに耐えなければならないのですよ。
実は、これ以前にも同じように、実際の「ミサ」の現場でこの曲が演奏された時のライブ録音がありました。それは、この録音よりほぼ2年前、1964年の1月にRCAのクルーが行った「ケネディ追悼ミサ」の録音です。条件としてはさほど変わらないのに、その音ときたら、まさに雲泥の差です。これはもはや、当時の日本の録音技術が、いかに世界から後れをとっていたかを知る資料としての価値しかありません。
そんな劣悪な録音でも、大橋国一の立派な声はきちんと聞こえてきます。当時世界のオペラハウスで活躍していたほぼ「唯一」の日本人歌手、今聴いてみると、声だけではなく、音楽性には確かに世界レベルのものがあることが分かります。テノールの金谷良三も、決してひけをとりません。この二人によって歌われる「Tuba mirum」の冒頭は、ちょっとすごいものがあります。
ところが、ここでは合唱が最悪でした。名前からも分かるように、おそらくこの催しのためのプロジェクト団体なのでしょうが、ソプラノなどはもしかしたら、自分の立派な声を録音に残そうとしていたのではないか、と思えるほどの張り切りようで、そもそも合唱としての体をなしていません。よっぽど鈍感な人でない限り、これを最後まで聴き通すことは出来ないはずです。

CD Artwork © King Record Co., Ltd.
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by jurassic_oyaji | 2011-09-10 19:44 | 合唱 | Comments(3)
Commented at 2011-09-11 00:47 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by jurassic_oyaji at 2011-09-11 08:51
いなばさん、コメントありがとうございました(非公開です)。
ヨッフム盤、機会があれば聴いてみたいと思います。
Commented by gustus at 2014-12-06 03:41 x
LPでは気にならなかったのですがゴーというノイズはオルガンの鞴についたモーターだと思います
さっきCDを注文しました
献堂まもないカテドラル、オーケストラ合唱ソリストの位置はどこだったでしょう

今年司式された荒井金蔵神父が帰天されました
金谷さん大橋さん木村さん関戸神父若杉さんも帰天
オランダ製のオルガンもイタリアンに代わり歳月を感じます