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ROTA/Opere per flauto
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Roberto Fabbriciani, Luisella Botteon(Fl)
Massimiliano Damerini(Pf)
TACTUS/TC 911801




映画音楽で知られるイタリアの作曲家ニーノ・ロータについては、最近では「20世紀のクラシック作曲者」という言い方が定着しつつあります。それまで彼の本業のように思われていた「映画音楽」は、あくまでサイド・ビジネスだった、というようなスタンスですね。ロータ自身がそう言っているのですから実際にそうなのでしょうが、彼の場合は、そもそも「クラシック」と「映画音楽」を分けて考えることには、なんの意味もないような気がします。
以前の「ピアノ協奏曲」と同じように、このフルート・アルバムでも、そんな、至ってキャッチーな音楽が聴かれます。「5つのやさしい小品」は、まさにタイトルのまんま、まるで民謡のような素朴なメロディが紡がれています。フルート2本のための「3つの小品」も、素朴さという点では負けてはいません。「古いカリヨン」、「古いロマンス」、「古い糸車」という、それぞれに1分足らずの曲が、2本のフルートの掛け合いで楽しめます。
唯一「大きな」曲である「ソナタ」は、3楽章形式の、それこそ18世紀のイタリアの協奏曲のようなテイストを持っています。それは、とても20世紀に作られたとは思えないほどの、懐かしさを持ったものです。
そして、最後には彼の「ヒット曲」が7曲も。「ゴッドファーザーの愛のテーマ」、「山猫」、「8 1/2」と、これこそは映画を通して耳に親しんだメロディのオンパレードです。
ジャケットの表示によれば、これらの曲は全て「世界初録音」なのだそうです。確かに、ここで演奏されているフルートとピアノのための「ソナタ」というのは、初めて聴きました。同じ「ソナタ」でも、フルートとハープのためのものは録音もいくらかありますが、これは間違いなく「世界初録音」でしょう。なんせ、この曲は元々はヴァイオリンとピアノのためのソナタ、それを、作曲家自身が、ここで演奏しているフルーティスト、ロベルト・ファブリッチアーニのために編曲を許した、というものなのですからね。彼が録音しなければ、そもそも音にはならないものでした。
その他にも、やはりファブリッチアーニに託された自筆稿しか存在せず、まだ出版はされていない「Allegro veloce」も、他の人が演奏するのは不可能だったでしょうから、同じく「初録音」のはずです。
もっとも、最後に収録されている「映画音楽集」などは、「初録音」というのはちょっと無理があるような気がしますがね。ただ、特に変わった編曲ではありませんが、もしかしたらこの楽譜できちんと録音されたのはこれが初めてだったのかも。
いずれにしても、これらの曲はファブリッチアーニだからこそ録音できたものなのでしょう。それだけ、作曲家からの信頼も得ていた、ということになりますね。しかし、ここで聴かれる彼のフルートの音は、なんともひどいものでした。以前チアルディの協奏曲を聴いた時には、録音のせいなのかな、と思っていたのですが、今回もその時と全く同じ、低音はそこそこ鳴っているのに、中音や高音がとても無理をして出しているのがありありとうかがえて、聴いていて辛くなってしまうほどなのですよ。こんな「プロ」の演奏家に対してあまりにも不遜なのは重々承知の上で言わせてもらえば、彼のフルートは「基本が全く出来ていない」のですね。それは、まるでこの楽器を習い始めたばかりの初心者のようにしか聞こえません。これでは「クラシック」を演奏することは出来ません。
「現代音楽」のスペシャリストとして有名な、ハンガリーのイシュトヴァン・マトゥスも、こんな音だったことを思い出しました。ロータの音楽は「クラシック」ではあっても決して「現代音楽」ではないことが、こんなことからも分かります。
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もしかしたら、ファブリッチアーニは、こんな曲がった楽器を使っているから、ヘンな音なのかも。修正なんかしてませんよ。消臭はしてますが(それは「ファブリーズ」)。

CD Artwork © Tactus s.a.s. di Serafino Rossi & C.
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by jurassic_oyaji | 2011-09-16 19:53 | フルート | Comments(0)