おやぢの部屋2
jurassic.exblog.jp
ブログトップ
BACH/Mass in B Minor
c0039487_20143659.jpg
Bethany Seymour(Sop), Sally Bruce-Payne(Alt)
Jason Darnell, Joshua Ellicott(Ten), Peter Harvey(Bas)
Peter Seymour/
Yorkshire Bach Choir
Yorkshire Baroque Soloists
SIGNUM/SIGCD265




モーツァルトの「ドゥルース版レクイエム」を最初に演奏したことによってのみ知られていたヨークシャーのピリオド・アンサンブルと合唱団のチームは、最近ではSIGNUMレーベルの常連になって、バッハの宗教曲などを積極的に録音しているようですね。やっと「日の当たる場所」に出た、ということでしょうか。しかし、その第1作目の「ヨハネ受難曲」は、決して現在のバッハ業界の水準を満たすものではありませんでした。その時に指摘されていたのは、合唱に対して弦楽器があまりに人数が少なかった点でした。おそらく、ピーター・シーモアはそれを目にして反省したのでしょう(まさかね)、今回の「ロ短調」では大幅に弦楽器を増員して録音に臨んでいました。「ヨハネ」では3人だったヴァイオリンが、今回は8人ですからね。ヴィオラも1人から2人、その中に、以前コンサートマスターだったダンカン・ドゥルースの名前もありました。まだ「現役」だったのですね。ブックレットの写真を見ると、ヴィオラのパートに白ひげをたたえた中高年がいますから、おそらくこの人なのでしょう。「やっと会えたね」という感じでしょうか。
その「増員」は、見事な成果を上げていました。オーケストラが、しっかり大人数の合唱に見合うだけのたっぷりしたサウンドを提供出来ているのですね。そういう意味では、これは「OVPP」などという危なっかしいものよりは、よっぽど安心して聴いていられます。
そうは言っても、やはり演奏の水準自体は、相変わらずでした。合唱は、そこそこよい声の人は集まっていて、ホモフォニックの部分ではなかなか聴かせてくれるのですが、ポリフォニックなところになるといけません。「Gloria」の最後、「Cum Sancto Spiritu」などは、フーガの入りこそかっこいいのですが、他の声部が入ってくると段々テンポが落ちてくるのですね。最後の方などは、もういい加減そのものです。セッション録音なのに。さっきの写真を見てみると、どうも指揮者はチェンバロを弾きながら指揮をしているようなのですね。自分の演奏に手一杯で、合唱の面倒までは見ていられない、という投げやりな態度が、この写真と、そして実際の音からは感じられてしまいます。
Credo」の合唱の聴かせどころ、「Et incarnatus」と「Crucifixus」では、それなりにしっとり歌い上げているのですが、そのあとの「Et resurrexit」ではやはり「病気」が出てきてしまいます。今度は、やたらと走り出すのですね。ですから、74小節目から始まるベースの長大なパート・ソロは、とても合唱では無理だと判断したのでしょうか、ソリストが1人で歌っていますよ。
それを歌っていたのはピーター・ハーヴェイなのでしょうが、彼自身のソロ「Quoniam tu solus sanctus」は、コルノ・ダ・カッチャのオブリガートのあぶなっかっちゃと相まってちょっとお粗末でした。後半になるにしたがって集中力がなくなってしまうのですね。もう一つのアリア「Et in Spiritum Sanctum」も、やはり後半がダメになってます。いい声なのに、惜しいですね。
「ヨハネ」同様、曲全体に貫かれている素っ気なさは、なんとも困ったものです。2番目の「Kyrie」や、最後の「Dona nobis pacem」の、とってつけたようなテンポの速さには、なんの意味も見いだせません。いい加減な合唱を差し引いたとしても、彼らがいったいこの曲から何を訴えたいのかが、全く伝わってこないのですよ。
そんな中で、アルトのブルース・ペインだけは、しっかりとした主張を持った演奏に徹しているようでした。声は軽めですが、そこはかとない凄さを秘めています。「Agnus Dei」は出色でした。

CD Artwork © Signum Records Ltd.
[PR]
by jurassic_oyaji | 2011-10-06 20:16 | 合唱 | Comments(0)