おやぢの部屋2
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ORFF/Carmina Burana
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Lenneke Luiten(Sop), Christoph Genz(Ten)
Stephan Genz(Bar)
GrauSchmacher Piano Duo
Rupert Huber/
SWR Vokalensemble Stuttgart
HÄNSSLER/CD 93.280




オルフの超有名曲(つまり、シュトラウスの「ツァラトゥストラ」と同じように、冒頭部分のみが突出して聴かれる機会が多いということですが)「カルミナ・ブラーナ」は、1936年に完成されましたが、その後、オルフ自身の要請によって、1956年に彼の弟子のヴィルヘルム・キルマイヤーという人が小編成のバージョンを作りました(以前この編成の録音をご紹介した時に「オルフ自身の編曲」と書きましたが、それは引用したライナーノーツの間違いでした)。これは、オリジナルと同じSchottから出版されています。編成は、合唱と打楽器のパートはそのままで、残りのパートをピアノ2台で演奏する、というものです。
ここで、重要なパートであるじゅうよう(デュオ)・ピアノを演奏しているのは、「春の祭典」なども軽々とレパートリーにしているアンドレアス・グラウとゲッツ・シュマッハーのチームです。ここで彼らは、もともとこの楽器に託されていた役割を存分に果たした上で、この編曲で新たに加わったオーケストラの他のパートを、単なる「代用品」ではなく、あくまでデュオ・ピアノとしての表現に昇華させるという驚くべきことをやっていました。それは、3管編成という大人数のオーケストラでは決して成しえない微妙な息づかいやルバートを、演奏の中に織り込む、という手法です。例えば、オーケストラだけで演奏される「Tanz」では、勢いだけで突き進みがちなところを、時折さりげなく「間」を作って、絶妙なフレーズ感を出すことに成功しています。逆に、フルートとティンパニだけのアンサンブルになっている部分などでは、オケ版ではついフルートが歌ってしまってビートが崩れてしまうところを、まさに鉄壁のリズムで「ミニマル感」を味わうことが出来ます。
そして、合唱は、現在の首席指揮者のクリードではなく、その前、1989年から2000年までそのポストにあったルパート・フーバーに率いられたSWRヴォーカルアンサンブルです。任期中に録音されたメシアンやジョリヴェでちょっとすごい演奏を聴かせてくれたコンビの、久しぶりの復活となります。
この合唱団の人数はせいぜい30人程度でしょうか、オーケストラではなくこのようなアンサンブルとでさえも、この曲を演奏するには、それはあまりにも少なすぎると感じられてしまうことでしょう。ただ、そのような思いは、もっぱら大人数の力に頼った演奏を聴き慣れたせいだと、しばらくすると気づくことになります。こんな精鋭ぞろいの、凝縮された力によって醸し出される繊細な味わいも、なかなかいいものだ、と。なによりも、深刻ぶらない冷静さは聴きものです。
3曲目の「Veris leta facies」では、そんなハイスキルの伴奏と合唱によって、ちょっと今まで気づかなかったような体験も出来ました。オケ版だとピッコロと打楽器で演奏される冒頭の細かい音符(絶対合わない!)が、ここではしっかりとした意味を持って聴こえてきたのです。これは、礼拝の時の鈴の音だったのですね。それに続くピアノのアコードの、なんと敬虔なことでしょう。ですから、そこで歌われる合唱が、まさにプレーン・チャントそのものであることが、とてもはっきり感じられるのですよ。伸縮自在のテンポで歌われるその聖歌は、今まで聴いて来た変拍子の譜面づらにとらわれていた「合唱曲」とはまるで別物、そこからはしっかりとした祈りの心が感じられるものでした。
ソリストたちは、どうでしょう。バリトンのゲンツの音程のアバウトさは、大味なオケ版では通用するかもしれませんが、この緻密なコンテクストでは浮いてしまっています。テノールのゲンツはあまりにも平凡。そしてソプラノは悲惨です。

CD Artwork © SWR Media Services GmbH
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by jurassic_oyaji | 2011-10-10 21:38 | 合唱 | Comments(0)