おやぢの部屋2
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BACH/Trio Sonata
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James Galway(Fl)
Kyung-Wha Chung(Vn)
Phillip Moll(Cem)
Moray Welsh(Vc)
RCA/74321675282




またまたゴールウェイ関係のアイテムですみません。一応「初CD化」と謳っていますから、充分取り上げる価値はありますので。
ジャケットを見てお分かりのように、このCDには韓国語の帯が付いています。つまり、これはゴールウェイよりも相方のチョン・キョンファのファンのために、韓国でリリースされたものなのでしょう。品番も、韓国仕様の別のものがもう一つ付いています。さらに、ボーナス・トラックに収録されているのは彼女の弟のチョン・ミョンフンがゴールウェイのバックでオーケストラを指揮しているハチャトゥリアンのアルバムからの2曲ですから、韓国の方にとってはまたとない贈り物となるはずです。しかしここには、その協奏曲がメインのアルバムにカップリングされていた3曲の小品のうちの「アダージョ」と「剣の舞」の2曲しか入っていないのはなぜなのでしょう。まだまだCDに余白はあるというのに。
実は、その残りの1曲は、「仮面舞踏会のワルツ」です。これは、韓国の人気女子スケート選手の好敵手である日本の選手のBGMとして使われて一躍有名になってしまった曲なのですね。もしかしたらなにか「政治的」な思惑から、この曲が外されてしまったのでは、と考えるのは、的はずれなことでしょうか。
元々のバッハのトリオ・ソナタ集は、1979年に録音されて、もちろんLPでリリースされたものです。その前にこの4人のメンバーでイギリス・ツアーを行い、大成功だったことを受けての録音だったのでしょう。確か、そのコンサートの模様はNHK-FMの「海外の音楽」かなんかでも放送されていましたね(たいがいの音楽は、ここで聴けましたね)。チョン・キョンファはDECCAの専属アーティストでしたから、ゴールウェイが所属していたRCAに録音するのはなにかと大変だったことでしょう。
「初CD化」とは言っていますが、収録されている3曲のトリオ・ソナタのうちの2曲までは、すでに1987年にリリースされたコンピレーションCDに入っています。その時には、オリジナル・アルバムとは似ても似つかないアートワークでしたね。
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ですから、今回のCDは残りのBWV1038がきちんと入っているということと、LPのジャケットがそのまま復刻されているという二重の意味での価値があることになります。ブックレットの裏側には、きちんと「ライナー」まで復刻されていますからね。
でも、このジャケットは、果たしてオリジナル・ジャケットなのか、という気にもなってきます。LPは国内盤しか持っていないのですが、そのジャケットとは微妙に異なっているのですね。デザインだけでなく、写真そのものも違っています。CDのチョン・キョンファなんて、なんだか清水ミチコの「顔マネ」みたいで、気持ち悪くないですか?
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ゴールウェイは、この後も1995年に同じトリオ・ソナタを録音しています。
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その時の相方は、なんとバロック・ヴァイオリン奏者のモニカ・ハジェットでした。コンティヌオもチェロではなくサラ・カニンガムのヴィオラ・ダ・ガンバになっています。ただ、BWV1039ではヴァイオリンではなくジニー・ゴールウェイのフルートとの共演ですね。フィリップ・モルのチェンバロだけが、共通しています。
この2つの録音を比べてみると、共演者が変わったとしてもゴールウェイの演奏の本質はなにも変わっていないことが良く分かります。「音楽の捧げもの」BWV1079の中のトリオ・ソナタなどは、それぞれのヴァイオリニストの様式も表現もまるで違うのに、ゴールウェイのフルートはそのどちらとも見事に溶け合っているのですね。出来上がった音楽は一見違っているようでも、それは見事にゴールウェイの音楽性の範疇に入ってしまっているのです。彼の前ではモダン楽器もピリオド楽器も、そしてひょっとしたら「バッハ」でさえも、「ゴールウェイ」という大きな流れの中のものになってしまっているのかもしれませんね。

CD Artwork © Sony Music Entertainment
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by jurassic_oyaji | 2011-10-22 21:04 | フルート | Comments(0)