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The Decca Sound
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V.A.
DECCA/478 2826(50CDs), 478 3310(6LPs)




古くから際立ったクオリティの録音を誇っていたイギリスのレーベルDECCAが、その独自のテクノロジーで作り上げた数々の名録音の歴史を、CD50枚でたどろうという、とてつもない企画のボックスをリリースしました。そんな膨大なボックスが「たった」9000円、さらに、その中からピックアップされた6枚のアイテムをLPにカットしたものが、やはり「たった」8000円で買えるというのですから、これは手に入れない方がどうかしています。LPなどは、1枚180グラムの重量盤、手に持っただけでずっしり重みを感じられます。しかも、ジャケットは表も裏も完全復刻、さらにレーベルまで初出時と同じなのですから、涙が出そうになるほどですよ。まあ、最近の録音でCDしか出ていないものなどは、CDのジャケットをそのまま引き延ばして荒っぽい画像になっているものもありますが。
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CDの方は、DECCA55年の歴史をたどろうというものです。DECCA自体はもっと長い歴史を持っていますが、ここで最初に取り上げたのがステレオ録音のノウハウが完成された1956年のものです。ロイ・ウォレスというエンジニアが開発した「デッカ・ツリー」という、3本のマイクを三角形にセットしたマイク群をメインに用いるという、いわば「デッカ・サウンド」を象徴するセッティングが、この時から始まったのです。そして、ケネス・ウィルキンソンやゴードン・パリーといった花形エンジニアによって、最盛期には夥しい数の録音が行われました。もちろんデジタル録音の時代になってもそのポリシーは貫かれ、「デッカ・サウンド」はこのボックスの中では最新の2009年まで継承されることになるのです。
50枚全てを紹介するのは無理なので、とりあえず名録音の誉れ高い、ゴードン・パリーによって録音されたショルティの「指環」ハイライトをタイトルにしてみました。実は、今回初めて、オリジナルLPのジャケットと曲目を知ることが出来ました。こんな素敵なジャケットだったんですね。国内盤で出たLPは、収録曲が微妙に違いますし、なんといってもジャケットの写真がヴィーラント・ワーグナーの演出(当時はそう思われていました)による「ワルキューレ」なのですからね。この録音のプロデューサー、ジョン・カルショーは、このバイロイトの演出にはあからさまに嫌悪感を抱いていたというのに、これはないだろう、と、発売当時は思ったものですが、やはり国内盤はカルショーのあずかり知らないものだったのですね。
これは、まずLPを聴いてみました。スクラッチ・ノイズも殆どなく、かなりよい盤質のようです。ヴォーカルが多少不安定なような気はしますが、全体の響きのまろやかさは、とてもCDでは味わえないもので、改めてLPの音の良さを確認できます。それが、「ラインの黄金」の最後の金管の咆吼になったら、これはもしかしたらSACDをも凌ぐ音なのでは、という気がしてきました。高音が、なんのストレスもなくきれいに伸びているのですね。もちろん、このCDではとてもそんな音は出せません。あわてて、SACDを聴いてみると、他の部分の存在感などは確かに勝っているものの、このハイノートだけはしっかりLPに負けてました。LPおそるべし、です。
最初からデジタル録音されたシャイーの「トゥランガリーラ」も、LPの音はCDをはるかに凌ぐものでした。ただ、やはり弱点はピアニシモでのサーフェス・ノイズです。それと、この長い曲を1枚に収めていますので、内周ではちょっと力がなくなってきます。
LPCDとも、ブックレットは写真やデータが満載でとても充実しています。「デッカ・ツリー」の現物にも、あちこちでお目にかかれますよ。でも、LPなのに「ADD」とか「DDD」と表記してもいいのでっか?ミックスはデジタルで行っても、最終段階のカッティングは間違いなくアナログな作業のはずですからね。
この企画は「過去」をしのぶだけ、「未来」には何の展望もないというのが、「今」のDECCAです。

CD and LP Artwork © Decca Music Group Limited
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by jurassic_oyaji | 2011-10-24 20:26 | オーケストラ | Comments(2)
Commented by しまねっこ at 2012-08-27 09:20 x
DECCAサウンドの良さを、カラヤン60のグラモフォンのセットを買って
改めて実感している所です。けど最後の2行に書かれてます様に
このCD斜陽時代にDECCAも耐えぬけられるか心配ですね。ボックスには入っていませんが、メーターロスフィルのハル祭、ぺトルーシュカも
愛聴盤してた。
Commented by jurassic_oyaji at 2012-08-27 11:46
しまねっこさま、コメントありがとうございました。
もはや、DECCAもDGも新録音に関しては死んだも同然ですね。