おやぢの部屋2
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MAHLER/Das Lied von der Erde
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Sibylla Rubens(Sop), Renée Morlec(Alt)
Markus Schäfer(Ten), Markus Eiche(Bar)
Hansjörg Albrecht/
Münchener Bach-Orchester
OEHMS/OC 792




グスタフ・マーラーが亡くなったのは1911年の5月18日ですから、今年は没後100年ということで、クラシック界は盛り上がっています。実は、去年も生誕150年でしたから、2年連続の記念年、もうどこを向いてもマーラーだらけの日々が続いていたのでしょうね。もっとも、命日にあたる日は日本国内ではまだ震災の影響が残っていましたから、なにか催し物があったとしても、おおっぴらにはなっていなかったような気がしますね。
1911年というのは、この「大地の歌」が初演された年でもありました。それはミュンヘンで、1120日に行われたのですが、もうすでにマーラー本人は亡くなっていましたから、指揮はブルーノ・ワルターが行っています。青いスーツを着ていたのでしょうか(ブルーのワルター)。そのミュンヘンでの初演から100年経ったことを記念して、初演の地のオーケストラ、ミュンヘン・バッハ管弦楽団の芸術監督であるハンスイェルク・アルブレヒトが企画したのが、この作品を室内楽用に編曲して、演奏を行うことでした。
ご存じのように、「大地の歌」には、すでに室内楽バージョンは存在しています。それは、シェーンベルクが「私的音楽演奏協会」のために1921年に着手したものの、「オトナの事情」で未完に終わってしまった草稿をもとに、1983年にライナー・リーンが完成させた「シェーンベルク/リーン版」と呼ばれるものです。このバージョンはHARMONIA MUNDIのヘレヴェッヘ盤など、数種類の録音がありますし、日本でも「生演奏」が行われたこともありました。しかし、アルブレヒトは、この版によって実際に何度か演奏した結果、原曲のイメージがかなり損なわれていると感じ、自分で新たに編曲を行うことにしたのだそうです。それぞれの版の楽器編成はこんな感じです。
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さらに、アルブレヒトはソリストの分担も変えて演奏しています。標準的なソリストの割り振りは、1、3、5曲目はテノール、2、4、6曲目はアルトというものなのですが、ここでは3曲目がソプラノ、6曲目がバリトンに変えられています。つまり、ソリストが4人になっています。バリトンに関しては、今までも1966年のバーンスタイン盤でのフィッシャー・ディースカウのように、アルトのパートをバリトンが歌うというケースはありました(オーケストラのスコアには、2曲目だけはバリトンでも可とありますし、作曲家自身のピアノ伴奏版には「高声」と「低声」という指定しかありません)。ソプラノに関しても、アルブレヒトによれば、作曲家はそもそもテノールかソプラノのどちらにするか決めかねていたのだそうです。
今回の「室内楽版」を聴いてみると、確かに編成は小さいものの、オリジナルで必要とされていたサウンドが、ほぼ完璧に再現されているのに驚かされます。それは、シェーンベルク/リーンにあったピアノがなくなり、トランペットとトロンボーンとハープが加わったためなのでしょう。特に、ハープの参加は画期的、これを聴いてしまうとピアノの入った編曲は、いかにも「別物」になってしまっているという感は否めません。弦楽器も人数が増えていて、全く別の音色になっています。
あるいは、シェーンベルクたちの仕事は、あえてマーラーのオーケストレーションとは「別物」を目指したものなのかもしれません。国内販売元が作ったCDの帯には、それが「原曲の持つ透明感を強調した風通しのよい音楽」であると述べられていますが、そんなものをこの曲に求めるかどうかは、もはや趣味の問題でしかありません。
ソプラノのルーベンスや、バリトンのアイヒェの素晴らしい歌を聴くと、ソリストに関しては、パート云々よりも「誰が歌うのか」というファクターの方が大きいのでは、と思えてしまいます。終曲は、アイヒェの深みのある声と、それを支える幅広い響きのフルートによって、極上の仕上がりになっています。

CD Artwork © OehmsClassics Musikproduktion GmbH
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by jurassic_oyaji | 2011-11-03 21:23 | オーケストラ | Comments(0)