おやぢの部屋2
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VIVALDI/Cimento dell'armonia e dell'inventione
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Pavlo Beznosiuk/
The Avison Ensemble
LINN/CKD 365(hybrid SACD)




ヴィヴァルディの有名なヴァイオリン協奏曲集「四季」を最初の4曲に持つ、全12曲の協奏曲は「和声と創意への試み」というタイトルで1725年に「作品8」として出版されました。なんといっても、「バロック音楽」の火付け役として大々的に登場した「四季」の人気は現在でも特別のものがありますから、この曲集の中の他の8曲はなかなか聴く機会がありません。それが、最高の演奏と最高の音質で(達郎風)登場しました。
演奏しているのは、初めて耳にした「アヴィソン・アンサンブル」という団体です。もっぱら「巨人の星」とかを演奏しているところなのでしょうか(それは「アニソン・アンサンブル」)。いや、正確には「エイヴィソン・アンサンブル」と発音するそうで、チャールズ・エイヴィソンという、これまた初めて耳にした18世紀のイギリスの作曲家の全作品を演奏するために設立された団体なのだそうですね。その録音は、NAXOSDIVINE ARTの2つのレーベルで聴くことが出来ます。
ヴァイオリン・ソロと指揮を担当している方の「ベズノシウク」という名前は、聞いたことがありました。ただし、それはこのパヴロさんではなく、リサ・ベズノシウクというフルーティストの名前としてでした。リサさんといえば、ピリオド楽器の第二世代として、アカデミー・オブ・エンシェント・ミュージックなどで大活躍していた人ですね。こんな珍しい名前(ウクライナの血を引く家系だとか)ですから、なにか関係があるのでは、と思ったら、この二人は兄弟でした。パヴロは4つ年下の弟だそうです。イギリスのほとんどのピリオド・オーケストラのコンサート・マスターを務めたというすごい人だったんですね。ちなみに、リサの夫はリチャード・タニクリフというチェリストですが、この録音にはアンサンブルのメンバーとして参加しています。
有名な「四季」の、ピリオド楽器による演奏は、今までに何度も聴いたことがあります。そういう人たちの演奏は、例外なく挑戦的で刺激的な感触を与えられるものだったのですが、今回はなんとも和む体験をさせてもらえました。そういう、いわば新しいムーブメントが出てきた時には、こういうベタな曲でいかに聴くものを驚かせるか、というのが一つのトレンドだったのでしょうが、その様な小細工を乗り越えたところで作品の美しさを伝えたい、という動きが、ここになってようやく出てきたのかもしれません。技術的には、細かい音符を短く切って演奏するのではなく、音価いっぱいに弾き切ってリリカルな味を出すという方向性が、至るところで見られます。これは、今までの「ピリオド」のストイックなイメージをガラリと変えるもの、「こんなに歌っていいの?」と思えるほどの美しさを醸し出しています。テンポもおおむねゆっくり気味ですし。
あるいは、少し前までは決して付けてはいけないものとされていたビブラートも、パヴロはたっぷり付けて演奏しています。最近では、この時代でも表現のためのビブラートはしっかり使われていたと考えられるようになってきたのだそうですが、そんな最新情報も反映された、ちょっとゆっくり目のビブラートは、なかなかセクシーです。
「四季」に続く作品8の5以降の曲も、そんな暖かいテイストに包まれています。8の7からは短調の作品が3つ続きますが、いかにもな「マイナー感」が新鮮です。いや、そういえば「夏」と「冬」も短調でした。
録音は、とびきりの美しさをピリオド楽器から引き出しています。極端なピアニシモを多用した演奏ですが、そんな究極の弱音で味わえるガット弦のささやきが、ゾクゾクするほどの魅力を与えてくれています。もちろん、これはSACDの独壇場なのでしょう。

SACD Artwork © Linn Records
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by jurassic_oyaji | 2011-11-05 19:41 | オーケストラ | Comments(0)