おやぢの部屋2
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VERDI/Il Trovatore
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Simone Kermes(Leonora), Herbert Lippert(Manrico)
Miljenko Turk(Il Conte), Yvonne Naef(Azucena)
Michael Hofstetter/
Chor der Ludwigsburger Schlossfestspiele
Orchester der Ludwigsburger Schlossfestspiele
OEHMS/OC 951




1972年にヴォルフガング・ゲンネンヴァインによって、南ドイツのシュトゥットガルトの北方15㎞ほどのところにある風光明媚な街ルートヴィヒスブルクで始められた「ルートヴィヒスブルク城音楽祭」は、毎年夏にシュトゥットガルトなど、州内にあるオーケストラのメンバーや大学の先生、学生によってオーケストラが結成され、オペラなどが演奏されてきました。
2005年からは、ミヒャエル・ホーフシュテッターが首席指揮者となって、そのオーケストラに「古楽」のフィールドで活躍している演奏家を迎え、新しい方向性を持った活動を始めることになりました。それは、いわゆるピリオド楽器、ピリオド奏法を用いた演奏によって、さまざまな時代のオペラを上演しようという試みです。もちろん、バロック時代のオペラについては、その様なアプローチはすでに日常的に行われていますが、これは、さらにその範囲を近代まで広げて展開しようというものなのでしょう。
そこで登場したのが、2009年の音楽祭での公演のライブ録音、ヴェルディの「トロヴァトーレ」です。同じ時代のワーグナーのオペラをピリオド楽器で演奏したものはありましたが、ヴェルディに関しては、これはほとんど初めてのことなのではないでしょうか。
確かに、このオペラが作られたのは1852年ですから、使われていた楽器は現代とはかなり異なっていました。フルートなどは、ベーム管がやっと発明された頃ですから、イタリアのオペラハウスではまだ使われていたはずはありません。さらに、注目しなければいけないのが、「チューバ」のパートに用いられていた楽器です。こちらの本で詳しく述べられているように、ヴェルディは時代によって3種類の楽器を指定しています。初期には「バスホルン」、中期には「オフィクレイド」、そして後期には「チンバッソ」と呼ばれているバルブ式のバス・トロンボーンです。
さらに、弦楽器では現代のようなスチール弦ではなく、ガット弦が使われていましたし、トゥッティではほとんどビブラートをかけないで演奏されていたはずです。
この録音を聴いてみると、まずその弦楽器の響きがとても「ピュア」に響いていることが感じられます。それは某ノリントンが、すぐそばのオーケストラで行ったちょっと無理のある「ピュア」さではなく、もっとナチュラルで心地よいものでした。それだけで、今まで聴いてきた脂ぎったヴェルディのイメージが一掃されてしまいます。最初にアズチェーナが歌った「ジプシー(ピー!)のテーマ」を、後に弦楽器がピアニシモで演奏するところなどは、鳥肌が立つほどのゾクゾク感が味わえます。
フルートだけではなく、木管セクションはそれぞれ鄙びた音色の楽器を使っているようで、木管だけのアンサンブルもとてもしっとりとした響きになっています。あいにく、低音の金管楽器が何なのかまでは、音だけでは確認できませんでした。
せっかく、「オリジナルの響きの楽器」を売り物にしているのですから、本当はメンバー表か、せめて演奏している写真ぐらいは付けて欲しかったものです。というより、このブックレットは対訳すら載っていないというお粗末なものなのですね。そんな薄っぺらなものが、なぜか今ではほとんど見かけない厚ぼったいケースに入っているものですから、日本の代理店が作った「帯」も、最初にあった普通サイズのケースのためのミシン目とはぜんぜん別のところで折られている、というみっともないことになっていました。
歌手の中で「これだ」と思ったのは、その「帯解説」では触れられていないルーナ伯爵役のトゥルクでした。この人は、2006年のモーツァルト祭の時のDVDでも、ホーフシュテッターの指揮で歌っていたのですね。その伸びやかでソフトなバリトンは、さらに磨きがかかっとるくようでした。

CD Artwork © OehmsClassics Musikproduktion GmbH
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by jurassic_oyaji | 2011-11-11 19:54 | オペラ | Comments(0)