おやぢの部屋2
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MOZART/Flötenkonzerte
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Gaby Pas-Van Riet(Fl)
Cristina Bianchi(Hp)
Ruben Gazarian/
Württembergisches Kammerorchester Heilbronn
BAYER/BR 100 374




以前、珍しいロマン派のフルート協奏曲の録音で楽しませてくれたベルギー出身のベテランフルーティスト、ギャビー・パ=ヴァン・リエトの、今回はモーツァルトの協奏曲集です。ソロ・フルートのためのト長調(第1番)とニ長調(第2番)の協奏曲、そして、フルートとハープのための協奏曲が収められています。
とは言っても、同じ時期に全部録音されたのではなく、2008年と2009年に全く別のホールで行われたコンサートのSWRによるライブ録音を集めたものです。お客さんの拍手も入っていますが、それを聴く感じではそれほど広くない、「サロン」程度の大きさの会場のような気がします。オーケストラのメンバーが曲によって異なっているので、ニ長調とフルート&ハープが同じコンサートで演奏されていたことが分かります。ト長調だけ、別の日、別の会場のテイクですね。ただ、この曲の第2楽章だけに出てくるフルート奏者の名前がメンバー表から抜けているのは、単なる手違いでしょう。
そのハイルブロン・ヴュルテンベルク室内管弦楽団というオーケストラは、ゴールウェイのバックで演奏しているCDがたくさんあったので、馴染みがあります。その頃は創立者のイェルク・フェルバーという人が指揮をしていましたが、ここでは2002年から首席指揮者に就任したルーベン・ガザリアンという、まるで池に住む甲殻類(それは「ザリガニマン」)のような名前の若手が指揮にあたっています。
名前のようにまるで怪獣のような顔をした(いいかげん、ザリガニからは離れましょうね)この指揮者は、ちょっと地味目の前任者とは違って、かなり熱い音楽を作る人のようですね。最初のニ長調の協奏曲では、思い切り早めのテンポでまず煽ってきます。これはソリストの納得した速さなのでしょう、彼女はなんなくとても流麗にパッセージを歌っています。最近はモーツァルトをこういう楽器で聴く機会が減っていますが、やはり機能性に長けた、そして華やかな音色のモダン楽器もいいものですね。ただ、ザリガニ男はそんなソロをおとなしく支えるのではなく、なにか対抗意識を持ってやたらとオーケストラを目立たそうとしているように聴こえます。正直、これだけやかましいオーケストラは邪魔ですね。録音的には、ソリストがかなりオンマイクではっきり聴こえるのでそんなに問題はないのですが、演奏している当人はいやがっていたのでは、というのは、あくまで憶測です。
次のフルート&ハープになると、バランスが全く変わってフルートが目立たなくなってしまいました。やはり、若くてかわいいハーピストの方を、エンジニアとしては大事にしたかったのでしょうか。これはこれで、全体がまとまった演奏に聴こえます。この日のカデンツァは、ニ長調の第3楽章だけがドンジョン、その他は自作でしょうか、全く初めて聴いたものばかりでした。
別の日(たぶん)のト長調では、ソリストのバランスはニ長調の時と同じ感じになっていました。別の会場のはずですが全体の響きもほとんど変わっていません。演奏は、ニ長調よりもだいぶ落ち着いたものに仕上がっています。そう感じるのは、この曲で頻繁に登場するフルートの低音を、彼女はそんなに力を入れずにいともあっさり吹いているからなのかもしれません。さらに、カデンツァ(これも自作でしょうか)になったら、今度は低音を意識的に抜いた音色で吹いています。こういう吹き方は、バリバリ吹くのよりもはるかに印象的に聴こえますから、演奏全体もちょっと粋なものに感じられてしまいます。こういう、まるでトラヴェルソのような音色は、もしかしたら録音当時に彼女が首席奏者を務めているオーケストラの指揮者だったノリントンからインスピレーションを与えられたものなのかもしれませんね。もちろん、これも憶測ですが。

CD Artwork © Bayer Records
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by jurassic_oyaji | 2011-11-19 21:09 | フルート | Comments(0)