おやぢの部屋2
jurassic.exblog.jp
ブログトップ
IM HERBST/Choral Works by Brahms & Schubert
c0039487_20583387.jpg



Grete Pedersen/
Det Norske Solistkor
BIS/SACD-1869(hybrid SACD)




この前のアルバムを聴いた時から、その録音と演奏の素晴らしさを気づかされたペデーシェン指揮のノルウェー・ソリスト合唱団ですが、今回は「秋に」というかつてのアイドル歌手のような(それは「秋な」)タイトルの、同名曲を含むブラームスの合唱曲と、シューベルトの合唱曲を集めたアルバムです。まだギリギリ秋ですから、この、とびきり音のよいSACDで、ちょっと渋めのロマン派の合唱を満喫して頂きましょう。もちろん、演奏も最高のはずです。
音の良さでは定評のあるこのレーベル、クレジットにはエンジニアの名前だけではなく常に録音機材が記載されています。それをチェックしてみると、エンジニアが変わってもマイクからモニター・スピーカーまでほぼ同じ機材を使っていることが分かります。このあたりが、マイナー・レーベルとしてのサウンド・ポリシーを主張できる源なのでしょう。今回は前のアルバムとは全く別の録音スタッフですが、録音会場は同じ教会、機材もDAWが「セコイア」から「プロツールズ」に変わっただけです。それでも、期待通りのとても澄み切った声が聴こえてきましたよ。
裏表紙にあった指揮者のペデーシェンの写真も、少し変わっていました。前作では合唱団の前で指揮をしているところ、ショートカットのヘアスタイルでなにかボーイッシュで若々しいイメージがあったのですが、今回は正面からもろアップのポートレイト、髪は長くなっていますし、どう見てもおばさん顔だったのには、かなりがっかりです。
そんな、ちょっとショッキングな体験のせいでしょうか、最初のブラームスの「ジプシー(ピー!)の歌Op.103」では、ソプラノがなんだかすごく力の入ったきつい声に聴こえてしまって、一瞬別の合唱団なのでは、とさえ思ってしまいましたよ。ピアノ伴奏が入る元気のよい曲ですから、ついコントロールがきかなくなってしまったのでしょうか。
しかし、次の「5つの歌Op.104」になったら、いつものよく溶け合った音色の合唱が戻ってきたので一安心です。この合唱団は無伴奏の方が性に合っているのかもしれませんね。さっきのソプラノはいったい何だったのかと思えるほどの変わりよう、ほんのちょっとしたことで、バランスが崩れてしまうような脆ささえも、チャーミングです。
続いて、シューベルトの作品が歌われます。最初は女声だけで、ピアノ伴奏による「詩篇23」です。これが本来の形なのですが、この曲は男声合唱として歌われることもあります。というか、実際に歌ったことがあるのですが、その際に1年近くかけて積み上げて完成に近づいたと思われたこの曲の姿が、実は完成には程遠いものであったことが、この演奏によって明らかにされてしまいました。ハーモニーやフレージング、そして言葉のニュアンスなど、どれをとってもはるかに魅力的であるだけでなく、それはなんと、男声合唱よりも重みや迫力の点で勝っていたのです。この合唱団の女声は、まさに「男勝り」。
かと思うと、次に、今度は男声だけ、それにヴィオラ、チェロ、コントラバスという低い音域の弦楽器のアンサンブルが加わった、それこそブラームスが好みそうな音色が期待される「水上の精霊たちの歌」では、なんとも明るい響きに仕上がっているではありませんか。テナーの爽やかさといったら、まるで女声のようです。男勝りの女声と、男にしておくのはもったいない男声、もしかしたら、このあたりがこの合唱団のサウンドの秘密なのかもしれませんね。
後半にはまたブラームスが演奏されます。「何ゆえ悩む者に光がOp.74-1」の1曲目で何度も現れる「Warum」という歌詞の繰り返しで見られる極上のディミヌエンド、それが、出てくるたびに全く表情が変わっているというあたりが、今度は彼らの表現力の秘密なのでしょう。やっぱり、この合唱団はうますぎます。

SACD Artwork © BIS Records AB
[PR]
by jurassic_oyaji | 2011-11-21 21:00 | 合唱 | Comments(0)