おやぢの部屋2
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WEINBERG/Requiem
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Elena Kelessidi(Sop)
Vladimir Fedoseyev/
Wiener Sängerknaben, Prague Philharmonic Choir
Wiener Symphoniker
NEOS/NEOS 11127(hybrid SACD)




この前協奏曲のSACDを聴いて、かなりの親近感をおぼえた作曲家、ワインベルクは、「レクイエム」も作っていたのですね。その最新の録音が出たというのですから、これは聴かないわけにはいきません。なんといっても、この作品が初演されたのはほんの2年前、2009年の11月ということですから、まだまだ新鮮です。
そんな最近の初演だからといって、ワインベルクがこの「レクイエム」を作ったのは彼の晩年ではなく、ずっと昔、1965年から1967年にかけてのことでした。彼の友人ショスタコーヴィチから、1962年に作られたブリテンの「戦争レクイエム」を聴くことを勧められ、この作品に対する「返事」となるようなものを作ろうとしたのがきっかけなのだそうです。しかし、なぜかその楽譜は彼のデスクの引き出しの奥に仕舞いこまれてしまい、死後13年も経ってから、やっと初演されたのだということです。
このSACDは、初演の翌年、ブレゲンツ音楽祭でのワインベルク作品の集中演奏の際に演奏されたもののうちの一つです。他の作品も、同じレーベルからシリーズでリリースされています。なによりも、すべてSACDであるのがとても大きなメリットですね。最近は、CDの音がとても貧しく感じられて仕方がありません。
初めて耳にしたワインベルクの「レクイエム」が、そんな、とても良い音だったのは、とても幸せなことでした。この曲の編成はオーケストラにソプラノ・ソロと児童合唱、混声合唱が入るという大きなものなのですが、それらが一斉に鳴り響くという場面は意外と少なく、ほんの少しの楽器だけで演奏される部分がかなりを占めています。そんな繊細さから、トゥッティによる大音量まで、なんのストレスもなく味わえるのですからね。特に、ふつうはあまり用いられることのないチェンバロ(モダン・チェンバロでしょうね)やマンドリンといったか細い音の楽器が、ライブ録音にもかかわらずしっかり聴こえてくるのは、ありがたいことです。
声楽パートのテキストには、ブリテンの作品のように、現代の詩人によるものが使われています。ただ、ブリテンにあった本来の「レクイエム」のラテン語の歌詞は全くありません。ロシア人の他に、スペイン人のフェデリコ・ガルシア・ロルカやアメリカ人のサラ・ティースデイル、そして日本人の深川宗俊といった各国の詩人(歌人)の詩が、全てロシア語(たぶん)に翻訳されて歌われています。なぜか、このパッケージにはそれらの原詩はおろか、対訳すらも掲載されていないので、その内容を知ることは、ロシア語(たぶん)が聴き取れる人に限られる、というのが、このSACDの最大の汚点でしょう。この作品でのテキストは、たとえ当時の「ソ連」の体制の中であっても、かなりの主張が込められているものですから、それんはぜひ知っておきたいものでした。
ただ、テキストの意味を剥奪された、かなり情緒的な印象しか受け取れないにもかかわらず、全体の三分の一を占める長さの4曲目、深川宗俊のテキストによる「広島の短歌」というタイトルの部分からは、なにかしっとりとしたメッセージを受け取れたような気がします。最初の部分はほのかなビブラフォンをバックにフルートやマンドリンのソロが奏でられるなかで、静かに合唱が歌うという情景、フルートは尺八、マンドリンは箏の模倣でしょうか。そのフルートが、一転バスドラムに乗って行進曲風のフレーズを吹き出すと、合唱は無調風の不安なものに変わります。クライマックスは、ア・カペラで朗々と歌い上げられた後に襲ってくる多くの打楽器による「惨事」の描写でしょうか。後半にまた静かな場面が戻ってくるのも印象的です。最後の、ちょっと拙い児童合唱には、癒される思いです。
全体で1時間ほどの長さ、ワインベルクのちょっとニヒルな魅力が満載の「レクイエム」です。

SACD Artwork © NEOS Music GmbH
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by jurassic_oyaji | 2011-11-25 20:22 | 合唱 | Comments(2)
Commented by 木曽のあばら屋 at 2011-11-27 21:54 x
こんにちは。
ヴァインベルクのレクイエム、個性的な素晴らしいレクイエムですね。
(歌詞の掲載はなんとかならなかったのかな・・・)
大編成のなのに繊細で静謐な印象を与えます。

ロルカの詩が2編使われていますが、
ショスタコーヴィチも「死者の歌」でロルカを2編使っているのは偶然?
さらに「死者の歌」はブリテンに捧げられています。
ひょっとすると「戦争レクイエム」「死者の歌」「ヴァインベルクのレクイエム」は
三部作としてとらえることができるのかも?
Commented by jurassic_oyaji at 2011-11-28 08:42
木曽のあばら屋さん、こんにちは。
クラフトワークがお好きなんですね。
これからも、よろしくお願いいたします。