おやぢの部屋2
jurassic.exblog.jp
ブログトップ
MENDELSSOHN/Symphonies No.3, No.4(2nd version)
c0039487_21174512.jpg



Heinz Holliger/
Musikkollegium Winterthur
MDG/901 1663-6(hybrid SACD)




オーボエ奏者として名高いハインツ・ホリガーが、「指揮」をしているという珍しさと、そこで演奏しているのがメンデルスゾーンの「スコットランド」と「イタリア」というなんともベタなレパートリーだったことに、逆に触手が動いてしまいました。ホリガーはオーボエ奏者であるとともに作曲家でもあるのですから、そういう方向からの、なにか新鮮なアプローチでもあるのかな、と。「イタリア」には「第2稿」などという註釈も付いていますから、異稿好きにとってはちょっと気になります(ぜひ聴きに行こう!)。確か、だいぶ前にガーディナーが録音していたはずですが、それを聴いたことはありませんし。
彼の指揮で演奏しているのは、ちょっと小ぶりの室内オーケストラのようです。聴いた感じでは楽器はモダンですが、弦楽器のビブラートは極力抑えられているようですね。そんな、ちょっと渋めのサウンドで、まず「スコットランド」から聴いてみます。まず、第1楽章の序奏の木管楽器のフレーズが、4小節+4小節ではなく、完全につながった8小節になっているのに驚かされます。このあたりは、管楽器のことを知り尽くしたホリガーならではの、ちょっとSっぽい要求なのでしょう。それ以外でも、普通はもっと速く演奏されることの多い第2楽章や第4楽章も、木管楽器のアンサンブルをきっちり聴かせるために敢えて遅めのテンポにしていますから、普段はなにがなんだかわからないところでも、実にはっきりと音楽として聴こえてくるのはうれしいものです。
ただ、第3楽章あたりは、歌い方があまりに素っ気ないように感じられてしまいます。その代わり、なにか厳しさのようなものがとても強く迫ってきます。これは、おそらくピリオド楽器に近いものを使っていると思われるティンパニのキャラクターが、そのような印象に大きく寄与しているのではないでしょうか。ですから、第4楽章の最後に短調から長調に変わっても、明るさは全くなく、音楽は重苦しく進みます。
そして、「イタリア」の「第2稿」です。全く予備知識なしに聴いていたら、第1楽章は普通のものと何も変わっていなかったので、それほどの違いはないのだな、と思ってしまったのが間違いでした。第2楽章になったら、冒頭のコラールに装飾音がなくなっています。いや、旋律自体もかなり変わっているみたい。あわててスコアを引っ張り出して見ながら聴いていると、結局、この楽章は構成自体もかなり大幅に改訂されていたことに気づくのです。
第3楽章は、やはり細かいところで微妙に音形が変わっています。トリオではホルンとファゴットによる「タンタタターン」というリズムに絡むヴァイオリンとフルートの「跳ねた」付点音符が、「なめらかな」ただの八分音符になっているので、かなりイメージが変わります。フルートの場合、もう1度出てくる時には最後が華やかなトリルになってそれが聴かせどころなのですが、ここではそのトリルもなくなっています。そして、その「タンタタターン」のリズムが、後半にもモデラートのテーマに絡みつくように現れます。このあたりが、より深みを出そうとしている工夫の表れなのでしょう。
ただ、同じように改訂された第4楽章の後半ともども、確かに成熟度は増しているものの、それによって音楽がより美しくなったという気にはなれませんでした。今までのものは、それなりに勢いがあってしっかり完結した作品なのに、下手にいじくりまわしてかえって冗長なものになってしまった、という思いが強く残ります。
第1楽章には、改訂の手は及んでいません。しかし、なぜかホリガーの演奏からは、まるで別な音楽のようなものが聴こえてきてしまいました。なにか、素直になれないメンデルスゾーンがそこにいるような。曲全体がちょっとかったるく感じてしまったのは、もしかしたら改訂のせいだけではなかったのかもしれません。

SACD Artwork © Musikproduktion Dabringhaus und Grimm
[PR]
by jurassic_oyaji | 2011-12-05 21:19 | オーケストラ | Comments(0)