おやぢの部屋2
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EMI CLASSICS 名盤SACD
BERLIOZ/Symphonie Phantastique
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Charles Munch/
Orchestre de Paris
EMI/TOGE-12003(hybrid SACD)




MAHLER/Das Lied von der Erde
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Fritz Wunderlich(Ten), Christa Ludwig(MS)
Otto Klemperer/
New Philharmonia & Philharmonia Orchestras
EMI/TOGE-12010(hybrid SACD)




日本という国は、SACDにとっては世界中で最も居心地のよいところなのかもしれません。よその国ではとっくの昔に見捨てられてしまったこのフォーマットを、これほどまでに大切にしてくれるところなど、どこにもないのではないでしょうか。なにしろ、本国では全くSACDを生産していないメジャー・レーベルの日本法人が、最近になって、なぜかいとも積極的にリリースを進めているのですからね。つくづく、日本に生まれてよかったと思っているオーディオ・マニアは、少なくないはずです。
そんな流れを象徴するかのように、EMIジャパンが今年の末から来年にかけて、なんと全部で100タイトルのSACDを順次リリースすると発表しました。これは、これまでに何度も何度も何度もリイシューを続けてきた極めつけの「売れ筋」を、フルトヴェングラーの一連のSACDと同様、日本で発売するだけのためにイギリスのEMI本社にマスタリングを依頼したというものなのだそうです。SACDファンにとっては、まさに夢のような話です。
夢をかなえるために、第1回発売分の中からの2枚を聴いてみることにしました。まずはパリ管創設時のミュンシュの指揮による記念碑的録音、「幻想」です。これは、手元に2001年に国内盤として発売された「ART」盤のCDがありましたから、それとの比較です。今回のSACDへのマスタリングが行われたのが、アビー・ロード・スタジオですが、この「ART」というのも「Abbey Road Technology」の略語ですから、同じスタッフの手によるものになるのでしょう。いや、実は両方ともイアン・ジョーンズという同じ人が手がけているのでした。
今回のSACDは、まず「ART」のCDよりもヒス・ノイズがはっきり聴こえてきます。あまりノイズを除去せず、マスターテープのままの音でマスタリング、というのが、最近の流れなのでしょうね。確かに、SACDではこれはとても有効、CDとは比べものにならない生々しい音を聴くことが出来ます。というか、この「ART」の場合は、ヒス・ノイズを取った代わりに、イコライジングを施して高域を少し上げてある感じがします。耳あたりはいいのですが、SACDを聴いてしまったあとでは、なにか嘘くさい音に感じられてしまいます。もっと悲惨なのは、ハイブリッド・ディスクのCDレイヤーです。これは、「ART」のような「化粧」を施していないため、単純に解像度が落ちて、なんとも情けない音になってしまっています。
次の「大地の歌」は、実はすでにSACDESOTERICから世に出ていました。あちらもハイブリッドですから、そうなると比較の対象は、もろに杉本さんと、ここでのエンジニア、アラン・ラムゼイとの腕の違いになるはずです。もっと言えば、EMIがどこまで杉本さんに迫れるか、という点が興味の対象になるのでは、と思っていました。ところが、予想に反して、EMIのマスリングの方がはるかに素晴らしかったのですよ。何よりも、音全体にしっとりとした落ち着きがある上に、個々の楽器の存在感が全く違うのです。第1楽章のグロッケンなどは、ESOTERICでも凄いと思ったのに、このEMIはさらにリアリティを増しています。第3楽章の途中で背後に聴こえるバスドラムも、音圧が全然違います。もちろん、ソリストの聴こえかたも別物、ヴンダーリッヒなどは別の人のようです。
よく聴いてみると、ESOTERICではっきり分かる何カ所かのノイズが、EMIではきれいになくなっています(ノイズがないぜ)。これは、元の音に影響を与えずに除去出来るようなものではありませんから、もしかしたら使用したマスターテープが違っていたのかもしれませんね。何度かダビングを繰り返した日本向けのサブ・マスターだったとか。いかに杉本さんでも、元が悪ければどうしようもありません。
こんな素晴らしいSACD100枚も店頭に並ぶのです。EMIジャパンは凄いことをやってくれました。

SACD Artwork © EMI Japan Inc.
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by jurassic_oyaji | 2011-12-09 21:03 | オーケストラ | Comments(2)
Commented by shige at 2011-12-10 10:01 x
ミュンシュの幻想と言えばART盤CDには第3楽章の途中に2秒ほどの不自然な間がありますね。
これはLP盤時代に第3楽章がA面とB面に分割されていた名残ですが
CDにマスタリングする際には編集で間を無くす事もできたはずなのに、なぜかそのままにされたままです。
これは少し前に発売されたエソテリック盤SACDにもありますので、既にマスタリングに供された素材がそのようになっているのかも知れませんが。
因みに最初に発売された国内盤CDは普通に編集されて間をなくしてありました。
EMI盤SACDはどうなっているのでしょうか。
Commented by jurassic_oyaji at 2011-12-12 11:55
shigeさん、コメントありがとうございました。
エソテリック盤はあいにく手元になかったので、ARTとEMIのSACDを比較してみました。
ご指摘の部分は第3楽章の68小節目だと思いますが、確かにどちらの盤にも、クラリネットのソロとファースト・ヴァイオリンの間に不思議な「間」がありますね。
時間を計ってみると、両方とも全く同じ3.7秒ですし、その間もテープのノイズが変わりなく聞こえていますので、これはマスターテープに最初からあった「間」なのではないかと思います。ミュンシュの「表現」なのか(ALTUSのライブ盤では、ここはストレートに演奏していますが)、あるいはLPを裏返すことを考慮して何らかの手が加えられたのか、それは知りようがありません。そういう意味では、こちらの方が「マスターに忠実」といえるのでしょうね。国内版CDは、逆に「改竄」だったのかもしれません。
いずれにしても、真実は私にはとても分かりません。