おやぢの部屋2
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MENDELSSOHN/Symphonies No.4, No.5
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John Eliot Gardiner/
Wiener Philharmoiker
DG/UCCG-50017




先日ホリガーの演奏でメンデルスゾーンの交響曲第4番の「第2稿」を初めて聴いた時には、本当にびっくりしてしまいました。この作曲家については、それほど詳しい知識があるわけではなく、何となく、いかにも「神童」風に、書き上げたものはもうそれで完成品、それをさらに直すようなことはないのでは、といいうイメージを持っていました。まるで元祖「神童」のモーツァルトのように。しかし、現実は、こんな風に一度演奏したものでも、気に入らないものはとことん手を入れるという性癖を持っていたのですね。それこそブルックナーのように。いやあ、メンデルスゾーンとモーツァルトなら許せますが、あのどんくさいブルックナーと同じだなんて、イメージがガタくずれです。
いや、実際のところ、メンデルスゾーンに関してはモーツァルトやバッハほどには研究は進んでいないのが現状のようですね。それこそ、「アマデウス」でモーツァルトのイメージがガラリと変わってしまったようなことが、メンデルスゾーンでもこれから起こるのでしょうか。
この「4番」でも、作曲、改訂、そして出版については、正確なことは実はまだ良く分かっていないのではないか、という風に思えてなりません。というのも、ホリガーのSACDでのライナーには、「出版されたのは、1833年に作られた第1稿で、ここでは1834年に改訂された第2楽章から第4楽章が演奏されている」とはっきり書いてあるのに、今回、その「1834年の改訂稿」を1998年に世界初録音したガーディナーのCDが新たに国内盤SHM-CDとして再発されたので入手してみたら、そのライナーには「改訂ヴァージョンは1851年に出版されたが、当CDでは、改訂前のヴァージョンが演奏されている」と、全く正反対のことが書かれているのですからね。もちろん、前者の「1834年に改訂された第2楽章から第4楽章」と、後者の「改訂前のヴァージョン」は、耳で聴く限り全く同じものです。
要するに、1834年の「第2稿」の後に、さらに改訂された「第3稿」が作られ、それが出版されたものだ、とするのが、ガーディナー盤の主張なのでしょう。ちなみに、かなり古い資料ですが、全音版のスコアの解説を執筆した人は「第2稿の後さらに改作を経たとみられる、いわゆる第3稿は、彼の死後遺稿として発見され、これにもとづいてブライトコップフ社が1851年に<遺作第19号「交響曲第4番」op.90>として公版することとなった」とかいていますから、これは昔からの定説だったのでしょうね。ホリガー盤のような見解がそれを踏まえた上でのものだったとしたら(これが、最も新しい文献ですから)最近はこちらの方が主流なのでしょうか。
ただ、ホリガーの時の「おやぢの部屋」では「出版譜の方が完成度が高い」みたいな意見を述べていました。どう聴いても、「第2稿」に手を加えたものが「出版譜」のように思えてしまうのですね。その根拠を、音源を交えて2点ばかり。

  1. 第2楽章の冒頭のテーマは、「出版譜」(→音源)では後半に装飾音が付いていますが、「第2稿」(→音源)にはありません。ふつう改訂を行う時には、なにもないところに「飾り」を付けたくなるものなのではないでしょうか。

  2. 第3楽章のトリオのテーマのあとに、ヴァイオリン→フルートの順でオブリガートが演奏されますが、「出版譜」(→音源)では最初の音の前に十六分休符が入って、「跳ねて」いるのに、「第2稿」(→音源)では均等な八分音符の連続になっています。これも、より変化に富んだ形に変わるのが、「改訂」の常なのではないでしょうか。さらに、「第2稿」ではトリオの後半も同じ形ですが、「出版譜」では順番がフルート→ヴァイオリンと逆になっていますし、フルートの最後の音はトリルで飾られています。

ホリガー盤では、これらの現象について全く逆の意味づけがなされていました。真実が明らかになる日は来るのでしょうか。

CD Artwork © Deutsche Grammophon GmbH
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by jurassic_oyaji | 2011-12-16 20:36 | オーケストラ | Comments(0)