おやぢの部屋2
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High Flight/Choral Works by Whitacre, Lauridsen & Chilcott
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The King's Singers
René Clausen/
The Concordia Choir
SIGNUM/SIGCD262




イギリスの6人組男声ヴォーカル・グループ「ザ・キングズ・シンガーズ」は、2008年に創立40周年を迎えたのだそうです。すごいですね。アマチュアの合唱団でしたら、もうすぐ70周年を迎える仙台放送合唱団とか、60周年を迎えたグリーンウッド・ハーモニーなど、別に珍しくはありませんが、人気商売のプロの合唱団となると、なかなか長続きさせるのは難しいものです。
もちろん、キングズ・シンガーズの場合は、同じ人が40年間も歌っていたわけではありません。ここでは、ある程度在籍したら、飽きられる前にもっと若い人に替わる、というやり方が徹底していたようで、しばらく目を離していたらすっかりメンバーが替わっていたのに、びっくりしたことがあります。
このレーベルに移ってからはマメにチェックしていたつもりなのですが、それでも今回のメンバーを見るといつの間にかカウンター・テナーのロビン・タイソンがいなくなってましたし、もっとすごいのは、同じアルバムの中でもベースのパートが別の人になっていましたね。ここでは、彼らのセッションは2010年と2011年の2回に分けて行われていて、2010年にはまだスティーヴン・コノリーがいたものが、翌年にはジョナサン・ハワードに替わっていたのです。カウンター・テナーのデヴィッド・ハーレイあたりは、来年はもういなくなってしまうかも知れませんね。
なんにしても、40周年といえば当然お祝いをしなければいけませんから、その際に彼らは人気合唱作曲家であるボブ・チルコットとエリック・ウィテカーに曲を委嘱しました。それは、彼らだけではなく、バックに大人数の混声合唱団を従えるという編成のものでした。このアルバムは、いわばその「新曲」のお披露目ということで、初演の時とは別のアメリカの「コンコルディア」という合唱団と共演したテイクが目玉になっていますが、さらに、この二人と並ぶ、やはり合唱界の「スーパースター」、モーテン・ローリゼンの曲も加えられています。
冒頭に、まるで「そろい踏み」といった感じで、その3人の似たようなテイストを持つラテン語のモテットが演奏されています。彼らの「先輩」であるチルコットは、「Oculi Omnium」という、まるでプレイン・チャントのようなフレーズに薄く和声づけした、というシンプルな曲。最年長であるローリゼンは、やはりシンプルさが光る「O Nata Lux」ですが、最年少のウィテカーだけはもっと個性を主張した「Lux Aurumque」が歌われます。
「お祝い」の曲は、まずアルバムタイトルにもなっている、チルコットの「High Flight」です。タバコではありません(それは「High Light」いや、「hi-lite」)。大きなコーラスがクラスター風の「ざわめき」を作っている中を、キングズ・シンガーズがソリスティックに歌い始める、というちょっと重たそうな出だしですが、途中からいきなりリズミカルな曲調に変わるというあたりが、いかにもチルコットです。というか、やはり彼はこのグループのキャラを誰よりも良く知っているのでしょうから、聴かせどころは外しません。
対するウィテカーの「The Stolen Child」は、すでにウィテカー自身の指揮で聴いていました。だから、ここでは「世界初録音」のクレジットはないのでしょうが、実は録音されたのはこちらの方が数ヶ月先でした。先にリリースした方の「勝ち」なのでしょうか。とてもキャッチーなのに、深く迫ってくるものがあるという、ウィテカーならではの素晴らしい曲だというのは、ウィテカー盤ですでに分かっていたことですが、こちらを先に聴いていたらそこまで思えたかどうか。
というのも、ここで共演している合唱団には、なにか一本筋の通っていないユルさがあるのですね。彼らだけで歌っているローリゼンの有名な「O Magnum Mysterium」などは、最後までハーモニーが決まらないために、「残尿感」だけが募ります。

CD Artwork © Signum Records Ltd.
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by jurassic_oyaji | 2011-12-24 20:12 | 合唱 | Comments(0)