おやぢの部屋2
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LIGETI/Atmosphères, SCHOSTAKOWITSCH/Symphony No.10
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David Afkham/
Gustav Mahler Jugendorchester
ORFEO/C 797 111B




あのグスターヴォ・ドゥダメルは1981年の生まれですから、すでに30代、もはや若さとは縁のない世代になってきましたが、そのあとを追いかける若い指揮者はいくらでもいます。ポップスのアーティストは、CDを出した時が「デビュー」となりますが、その様な慣習に従えばこのたび「デビュー」を果たしたダーヴィト・アフカムは1983年生まれでまだ20代、堂々たる「若手」です。
アフカムという、これからの季節にはおいしい飲物(それは「アツカン」)のような名前と、アジア系の風貌のジャケット写真でも分かるとおり、彼はインド人とドイツ人の間に、ドイツのフライブルクで生まれました。フライブルク国立音大でピアノと指揮を学び、後にワイマールのリスト音楽院で指揮を学びます。
卒業後は、ロンドン交響楽団の副指揮者に就任、2008年にドナテッラ・フリック指揮者コンクールに入賞すると、グスタフ・マーラー・ユーゲント・オーケストラの副指揮者と、ロサンジェルス・フィルのコンダクティング・フェローに就任、その後はヨーロッパやアメリカで、ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団や、クリーヴランド管弦楽団といった数多くの名門オーケストラの指揮台に立つことになりました。
この、彼にとっての初CDは、2010年のザルツブルク音楽祭における、フェルゼンライトシューレでのオーケストラ・コンサートのライブ録音です。それこそ20代の若い演奏家が集まったオーケストラと、この若い指揮者とのフレッシュな顔合わせは、まさに「旬」の息吹を感じさせるものでした。
曲目は、ショスタコーヴィチの「交響曲第10番」がメインですが、それに先立って、なんとリゲティの「アトモスフェール」が演奏されたのは、ちょっとした驚きでした。しかし、考えてみれば、このオーケストラの音楽監督であるクラウディオ・アバドもこの曲をかつて録音していましたから、「弟子」格のアフカムに何らかのサジェスチョンを与えたことはあり得るかもしれません。いずれにしても、「有名」である割にはコンサートで演奏される機会は殆どないこの曲の最新のライブ演奏が聴けるのは非常に楽しみです。
「有名」というのは、この曲があの「2001年」で大々的に使われたことを指しています。ジョナサン・ノットがこの曲を録音した時のレビューでも述べていますが、正直この映画の中での使われ方は、この曲にとっては決して好ましいものではありませんでした。スタンリー・キューブリックがこの曲に求めたものは、壮大なシチュエーションを表現するとてつもない激しさだったのでしょう、原曲にさまざまの効果音を加えて、この曲のある一面だけを極端に強調するという扱いを施してしまったのです。あの幻覚のような煌めく映像とともに、この曲にそんなイメージが刷り込まれてしまった人は、数多いことでしょう。
しかし、ノットの演奏を聴けば、ここにはもっと繊細な情感が盛り込まれていることは誰しも気づくはずです。その流れを受けての今回のアフカムの演奏では、さらに透明感を増したこの曲の姿がはっきり見えてくることでしょう。もちろん、それは若くセンシティブなプレーヤーたちのとぎすまされた感覚にも助けられていたに違いありません。
そういうメンバーたちによって演奏されたショスタコーヴィチは、やはり胸のすくような鋭い切れ味を持っていました。終楽章の後半に出てくるアクロバティックなパッセージを、彼らは信じられないほどのテンポで、軽々とさばいていたのです。その分、例えば第1楽章の長大なフルート・ソロのように、あまりに即物的で魅力に乏しいところも出てきてしまいますが、それは若さゆえのことと温かく見守ることが、大人としての見識なのではないでしょうか。

CD Artwork © Orfeo International Music GmbH
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by jurassic_oyaji | 2011-12-28 20:10 | オーケストラ | Comments(0)