おやぢの部屋2
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The Flute King/Music from the Court of Frederick the Great
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Emmanuel Pahud(Fl)
Trever Pinnock(Cem)
Matthew Truscott(Vn), Jonathan Manson(Vc)
Kammerakademie Potsdam
EMI/0 84220 2




ベルリン・フィルという「世界一」のオーケストラの首席奏者なのですから、パユのことを「世界一」のフルーティストと言ってもおかしくはないのかもしれません(「ブラウはどうなのか」と突っ込まれると微妙ですが)。だから、このジャケットを見て下さい。本人は図に乗ってとうとう「フルートの王様」になってしまいましたよ。というわけではありませんが、本物の「王様」で、フルートを吹くばかりではなく、自らもフルート曲を作ってしまったという人がいましたから、そのコスプレ、ですね。
その「王様」とは、18世紀プロイセンの啓蒙専制君主フィリードリッヒ・ヴィルヘルム二世、いわゆる「フリードリッヒ大王」です。宴会では飲み放題(それは「フリードリンク」)。この「大王」が生まれたのが1712年ですから、今年は生誕300年という記念すべき年になります。このCDのリリースは去年のことでしたが、もちろん、今年に向けてのお祝いの意味が込められているのでしょう。もっとも、服装はこんな感じでも、使っている楽器はこんなに長い金製のものではなく、もうちょっと小振りの木製ですがね。
なにしろ、その頃の大王の宮殿(サン・スーシー)には、クヴァンツやエマニュエル・バッハなど、そうそうたる音楽家が集まっていましたから、「大王」ゆかりの作品を集めてアルバムを作ることなど造作もありません。ここでは、とうとうお祝いの気持ちが昂じて2枚組になってしまいました。1枚は協奏曲、そしてもう1枚は室内楽とソロという、とても充実した内容です。装丁も、ずっしり重いフォトアルバム仕様、中には50ページにも及ぶ解説本が収められています。
とは言っても、それは同じことを英独仏の三カ国語で書いたからそんなに厚くなってしまっただけで、実質はその三分の一しかありません。パユの書き下ろしによる気合いの入った原稿は読み応えがありますが、ふつうのブックレットには必ず載るはずの演奏家のプロフィールが一切ないというのが、ちょっと物足りない、というか、無駄に分厚いものを作ってしまったな、という気がします。
なにしろ、1枚目の協奏曲で登場する「ポツダム・カンマーアカデミー」に関する情報が、ここからは全く得られないものですから、困ってしまいます。そもそも、この団体の公式サイトでのディスコグラフィーでは、しっかり「指揮:トレヴァー・ピノック」となっているのに、ここではチェンバロ奏者としてのクレジットしかないのですからね。というのも、この協奏曲を聴いてみると、とても指揮者なしで演奏しているとは思えないような恣意的な表現だらけなものですから、とてもピノックはチェンバロだけで収まっているわけはないと思えてしまうのですよ。
そんな、ちょっと「やかましい」オケをバックに、パユは、いつものこの時代の曲を演奏する時の彼のスタイル(ビブラートを抑えて音を伸ばさない)でいともあっさり吹いていますから、なんとも居心地が良くありません。さらに、このオケはもちろんモダン楽器の団体ですが、その音がとてもモダンとは思えないような雑な音色なのですね。エンジニアが悪いのか、あえてそんな乱暴な音を要求したのかは分かりませんが、正直、これを聴き通すにはかなりの忍耐が必要です。
もう1枚の方にはそんな乱暴なオケは入っていませんから、気楽にこの時代の音楽に浸ることが出来ます。「大王」が与えたテーマを元に「大バッハ」が作ったトリオ・ソナタなどは、まさに極上の「癒し」を与えてくれるものでした。「大王」自身が作ったロ短調のフルート・ソナタも、技巧的なパッセージを軽々とクリアして華やかな世界を見せてくれています。
そんな中で、フルートだけで演奏されるエマニュエル・バッハのイ短調のソナタは、サロン的な軽さを全く見せない、ある意味「深さ」を追求した演奏に仕上がっています。

CD Artwork © EMI Records Ltd.
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by jurassic_oyaji | 2012-01-09 20:07 | フルート | Comments(1)
Commented by ん。 at 2012-01-10 05:06 x
南極のフルーティスト
http://www.youtube.com/watch?v=3s-YxMumCa4