おやぢの部屋2
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ジェフ・エメリックの本
 きのう「おやぢ」でご紹介した本は、本当に内容が豊富で(なんたって、エメリックが担当したほとんどすべての曲の制作過程がかかれているのですから)、とても1500字ぐらいで語り切れるものではありませんでした。ですから、こちらでも「追加」ということでもう少し書いてみることにします。
 ビートルズと言えば、そのプロデューサーであるジョージ・マーティンは、彼らに様々の影響を与えた人物として知られています。中には、彼らの音楽的な部分まで、ジョージに負うところが大きかった、というような言い方がされているような場合もあります。しかし、この本ではそんな大雑把な捉え方ではなく、もっと具体的に、彼が実際にどういうことをやったのか、ということが書かれています。そして、最も興味深いのは、初期の頃こそ作曲上のアドバイスなどを行っていたものの、次第にバンドの方がどんどん成長して、プロデューサーのはるか上を行くようになった、ということです。後期では、バンドが思いついたアイディアを実際の音にするために、クラシックの素養もあるジョージが力を貸した、という程度の役割になっていたようですね。
 昔から思っていたのは、彼らはコーラスがとても素晴らしいということでした。それがどの程度プロデューサーの手が入ったものなのかは、はっきりは分かりませんが、アイディアが豊富でそれだけで楽しめます。そして、それを歌う時の「合唱」としてのセンスが、すごくいいのですよね。エメリックもそのあたりはしきりと感心していますが、ジョンとポールはお互いに完全にハモるツボを分かりあっていたように思える、と言っています。そこにジョージ(ハリスン)が加わって、さらにハーモニーは厚みを増します。その最高の成果が、「Abbey Road」の中の「Because」になるわけですね。これが録音された時のことを、エメリックはひときわ克明に語っています。コーラス・パートはジョージ・マーティンが9声部のハーモニーで作ったもの、それを、3人が一緒に3声部歌うことを3回繰り返して、音を重ねたのだそうです。「音程が外れることはなかったので、フレージングを徹底的に合わせた」と書いていますね。
 その結果は、もうご存じのとおりの、まさに完璧な「合唱」が出来上がりました。ほんと、これは普通の「合唱団」がいくら頑張っても到達できないような、高みに達したものです。最近、ジョージ・マーティンの息子のジャイルズ・マーティンが、マスターテープの素材をリミックスして作ったアルバム「LOVE」の冒頭では、このコーラス部分だけを抜き出したものを聴くことが出来ます。完全なア・カペラの状態で聴けるこの「9人」のハーモニーは、ほんの少しリバーブを加えられて、さらに深みを増して感じられます。
 もちろん、彼らはロックバンドですから、演奏の方も押さえなければいけません。やはり「Abbey Road」の一応最後の曲「The End」では、途中で3人によるギター・バトルが繰り広げられています。それは、「ポール、ジョージ、ジョンの順でソロを演奏している」という言い方をされていますが、私のようなギターのシロートにはなんだかよくわからないような感じでした。それが、この本ではきちんと「一人2小節ずつ」と書いてありますから、それを頼りに聴いてみると、正確にどこからどこまでが誰のパートなのかは、私でもはっきり分かるようになりました。このソロは全部で6小節にわたっています。まず、1拍半のアウフタクトを入れた後、ポールが2小節、最後に少しクロスしてジョージが2小節、同じようにちょっとダブってジョンが2小節、そのパターンを正確に3回繰り返しているのですね。3回目のジョージのソロが、素晴らしいですね。こちらに、その部分だけを抜き出してみました。聴きとってみてください。
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by jurassic_oyaji | 2012-01-16 21:55 | 禁断 | Comments(0)