おやぢの部屋2
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ORFF/Carmina Burana
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S. Saturová(Sop), B. Bruns(Ten), D. Köninger(Bar)
Martin Grubinger & The Percussive Planet Ensemble
Fernan & Ferzan Önder(Pfs)
Rolf Beck/
Schleswig-Holstein Festival Chor Lübeck
SONY/88697 99511 2




オルフの「カルミナ・ブラーナ」の2台ピアノと打楽器バージョンは、ほんの数ヶ月前に出たばかりでした。こんな珍品は一つあれば充分、なにも無理して新しいのを買うこともないな、と思うのが、庶民の感情でしょう。しかし、変わったバージョン好きとしては、とても見過ごすことは出来ません。たとえ無駄でもとりあえず手に入れる、それが好事家というものです。
ところが、聴いてみてびっくり、演奏は素晴らしいし、録音は良いし、こんなに手放しで嬉しくなってしまうCDなんて久しぶりでした。
このバージョン、今までに4種類ぐらいのものに接してきましたが、今回もそれらと同じ、オルフの弟子のキルマイヤーが編曲した楽譜が使われています。しかし、冒頭の「O Fortuna」が聴こえてきた瞬間、もしかしたら他の人がアレンジしたものなのではないか、という気になってしまいました。それほどまでに、同じ楽譜でも聴こえかたが違っていたのですよね。まず、ピアノの高音がとてもはっきりしているので、コードさえ違って感じられます。そして、なんといっても打楽器の存在感がハンパではありません。このあたりは楽譜を見ると他のものとなにも変わっていないのに、この、マルティン・グルービンガーをリーダーとする打楽器のチームは、その楽譜からとことん「熱い」インパクトを産み出しているのですね。それは、「クラシック」のオーケストラに取り込まれてお上品に収まっている「楽器」ではなく、それらの楽器が元々持っていたそれぞれの民族の「力」までをも一緒に抱え込んで発散させている、むき出しの「パーカッション」そのものだったのです。
さらに、彼らは必要とあらば楽譜には書かれていないことまでも実行しています。オリジナルでは2本のフルートが美しいオブリガートを奏でるソプラノ・ソロのナンバー「In trutina」では、最後にタムタムが入ってその余韻を楽しませてくれますし、最後の最後、「O Fortuna」のリプリーズのエンディングでは、グラン・カッサは楽譜のように頭に一発叩くのではなく、ティンパニと同じようにロールで打ち続け、とてつもないクレッシェンドをかけています(もちろん、1曲目ではそんなことはやっていません)。グラン・カッサ一つで作りだしたふつうのオーケストラ以上の高揚感。これには、文句なしに打ちのめされてしまいます。
ピアノ・パートのエンダー姉妹も負けず劣らずアグレッシブ、至るところでハッとさせられるようなフレーズに気づかせてくれます。かと思うと、とてもソフトな音色で(録音のせいもあるのでしょう)味わい深く迫ってくるのですから、たまりません。バリトン・ソロが甘くレシタティーヴォを歌う「Omnia sol temperat」では、歌い出しに続くアコードを、やはり意識的にアルペジオにしています。これが、まるで「シェエラザード」のヴァイオリン・ソロに寄り添うハープのように聴こえてきますよ。
そのバリトンのケニンガーは、まさに出色の出来、声はあくまで滑らかでまるでビロードのよう、これを聴いて心がとろとろにならないオナゴなどはいないのではないでしょうか。テノールのブルーンスも、良く響くテノール声域と、伸びのあるカウンター・テナー声域を使い分けて、ただ1曲の持ち歌を完璧に歌い上げています。ソプラノのシャトゥロヴァーは、ちょっと不安定な所はありますが、強靱な声は魅力的です。
合唱は、何も言うことはありません。今まで数多くの「カルミナ・ブラーナ」を聴いてきましたが、その中で間違いなく上位にランキングさせるものだと言うだけで、その素晴らしさは伝わることでしょう。久しぶりに巡り会えた全ての面で満足のいく「カルミナ」、ただ一つの不満は、大人たちに負けずにこの名演の一翼を担っている児童合唱団の名前がクレジットされていないことだけです。

CD Artwork © Sony Music Entertainment
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by jurassic_oyaji | 2012-01-27 20:23 | 合唱 | Comments(0)