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SAINT-SAËNS/Symphonie No3 "Avec Orgue", Concerto pour Piano No4
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Jean-François Heisser(Pf)
Daniel Roth(Org)
François-Xavier Roth/
Les Siècles
ACTES SUD/ASM 04




この前聴いた「幻想」が、録音は悪いわ、演奏はヘタだわといいところがなかったので、またあんな気持ちを味わわされるのは嫌だな、と、もうこの団体に近づくのはやめようと思ったのですが、ジャケットのアートワークが毎回素晴らしいので、つい手を出してしまいました。「いくら裏切られても、かわいいから許す」みたいな、情けない男心でしょうか。
いや、しかし、今回のアルバムはとても楽しめました。いったいあの「幻想」はなんだったのか、と思ってしまうほどの変わりようです。こんなこともあるので、「女」は油断出来ません(笑)
今回は、サン・サーンスの「交響曲第3番」(「オルガン付き」というサブタイトルは初めて見ました)と、「ピアノ協奏曲第4番」というカップリングです。それぞれ、交響曲は教会、協奏曲はオペラハウスと、別々の場所で行われたコンサートのライブ録音です。この団体のコンセプト通り、オーケストラの楽器は全てピリオド楽器なのは当然のことですが、交響曲に使われているオルガンが、会場のサン・シュルピス教会の1862年に作られたカヴァイエ・コル・オルガン、協奏曲のソロにも1874年に作られたエラール・ピアノが使われているという、まさにサン・サーンスの「同時代」の楽器なのには、嬉しくなってしまいます。ちなみに、オーケストラのメンバー表が掲載されていますが、それは名前だけでなんの楽器の奏者なのかは全く分からない、というのは不思議な話です。ま、これが次のアルバムになると、今度は担当楽器だけではなく、それぞれの奏者が使っているそれぞれの楽器の製作者や製造年まで入ってくるのですから、きちんと「学習」はしているようですが。
「交響曲」では、最初に弦楽器の透明な響きが明るく拡がっているのを聴いて、これはなにか期待してもいいのでは、と思ってしまいました。その期待は、最後まで裏切られることはありません。第1楽章の後半で、オルガンをバックに歌う弦楽器の、なんと美しいことでしょう。これこそが、まさに「ピュア・トーン」というべき響きなのだ、と思ってしまいます。某ノリントンは、この間までシェフを務めていたオーケストラでは、最後までこういう響きを作り出すことはできませんでした。それは、まさにピリオド楽器だからこそ、無理なく出せるものだったんでしょうね。さらに、ここでは細やかなフレージングが、涙さえ誘うほどの「味」を出しているのですからたまりません。
第2楽章の後半で登場するフル・オルガンには、度肝を抜かれてしまいました。ものすごい迫力なのに、その音色にはなんとも言えない鄙びたものがあるのですね。常々、このオルガンには、ただ華やかに盛り上げるだけの効果しかないような気がしていたのですが、これは全くそんなイメージを変えてしまうほどのものでした。オルガンが、しっかりサン・サーンスの雰囲気なんざーんす
この部分には、木管楽器の掛け合いが登場します。それも、良くある、ソリストの自己主張でそれぞれの腕を聴かせ合う、といったようなスタンド・プレイは全く見られず、管楽器セクション全体でちょっとした飾りを付けている、という感じの慎ましさが感じられるのが、非常に気持ちがいいものです。
教会ならではのものすごい残響は、曲が終わった時にははっきり分かるのですが、演奏中はそれが邪魔をして音が濁ったりすることがないというのも、録音の素晴らしいところです。
サン・サーンスの「ピアノ協奏曲」を、ピリオド・ピアノで演奏しているものなどは初めて聴きました。これもオルガンと同じことで、いかにも「19世紀」という雰囲気がムンムンの響きです。特にこの曲の最後の楽章の、まるで一本指でも弾けるような素朴なテーマが、D型スタインウェイなどの「モダンピアノ」で弾いたのでは、ぶち壊しになるな、という思いに駆られます。

CD Artwork © Actes Sud
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by jurassic_oyaji | 2012-02-02 20:32 | オーケストラ | Comments(0)