おやぢの部屋2
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BACH/Johannes Passion the 1725 version
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Machteld Baumans(Sop), Maarten Engeltjes(Alt)
Marcel Beekman(Ten), Mattijs van de Woerd(Bas)
Frans Fiselier(Jesu), Nico van der Meel(Ev, Dir)
The La Furia Ensemble
Concerto d'Amsterdam
QUINTONE/Q 08001




QUINTONEという、おせち料理みたいな名前(それは「きんとん」)の聞いたこともないオランダのレーベルから、バッハの「ヨハネ受難曲」の第2稿が出ていることを偶然知って、さっそく入手しようと思いました。なんと言っても、丸ごと「第2稿」で演奏しているものは、今までに2種類しか出ていなかったはずですからね。
さらに、食指を動かされたのは、それを扱っているショップのサイトでは、インフォにしっかり「SACD」という表記があったことです。これはなんとしても手に入れねば。
まず、ジャケットがなんとも「アート」なのが嬉しいところです。そして、なんと言っても親切なのは、歌詞の部分に楽譜の番号とトラック・ナンバーが並べて書いてあることですね。こういうものは、だいたい曲の切れ目でトラックを切っているので、1枚目ではそのまま対応出来るのですが、2枚目になると、トラックは「1」に戻ってしまいますから、番号が分からなくなってしまうのですね。その点、これは安心してテキストを見ながら聴いていられます。
この演奏ではちょっと変わったことをやっていて、エヴァンゲリストを歌っているニコ・ファン・デア・メールが、自ら指揮も行っているのです。確かに、レシタティーヴォの時には別に指揮者はいなくても大丈夫ですし、アリアでは別のテノールが歌っていますから、なんの問題もありません。これがライブ演奏なら、ビジュアル的にちょっと目障りな光景が出現してしまうかもしれませんが、教会で行われたセッション録音ですから、そんなこともありませんし。
そんな、歌手が指揮をしているメリットは、聴き始めてすぐに気づきます。後に「マタイ受難曲」の第1部の終曲として、半音高くなってお目にかかれることになるコラールでは、前奏のオーケストラの全ての楽器が、実に心地よい息づかいによって歌われているのですね。そこにエヴァンゲリストのレシタティーヴォが入ってくると、それは全く同じ伸びやかさを持っていることに驚かされます。さらに、シンプルなコラールでの合唱団の歌い方が、このソリストで指揮者の歌い方を、そのままなぞっているような風に聴こえてきます。それは、本当に穏やかな、慈しみの心があふれるバッハでした。
アリアを歌うもう一人のテノール、ベークマンも、とても伸びやかな声で楽しませてくれます。この稿では、そのテノールが差し替えられたアリアを2曲も歌うようになっていますが、それぞれに「13II」ではドラマティックに、そして「19II」ではあくまでリリカルにと、存分にその魅力を味わうことが出来ます。
ただ、あまりにもおおらかな音楽が続くものですから、例えば21番や23番などの「十字架に付けろ!」とか叫んでいるような合唱は、もっとメリハリのきいたインパクトがあった方が、ドラマとしては面白かったような気はします。それは好きずきでしょうが。
しかし、どう考えても理解できないのは、9番のソプラノのアリアです。他の部分ではきちんと「第2稿」の楽譜通りの演奏を行っているというのに、この曲だけが新バッハ全集の楽譜なのですね。両者の間には、細々とした違いが無数にありますし、なんと言っても歌の途中と後奏の小節数が違っていますから、これはすぐ分かります。ここだけ確実に「1725年」以降に手を入れられた楽譜を使ったのは、なぜなのでしょう。
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さらに、このアルバムは、商品としての許し難い欠陥を持っていました。ショップのインフォの写真にはしっかり「SACD」であることが明記されていますし、使われているジャケット写真にもこのように「SACD」のロゴが入っているにもかかわらず、届いたものはただの「CD」だったのです(「2CD」という文字もありますね)。品番も、そしてバーコードまで、「SACD」とされるものと同じだというのに。このレーベルが行ったことは、紛れもない「偽装」です。

CD Artwork © Quintone
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by jurassic_oyaji | 2012-02-22 22:51 | 現代音楽 | Comments(2)
Commented by ななしのごんべい at 2012-02-23 22:48 x
Quintoneの HPを見ると確かに以下の記載があります。
2 CD / digipack / stereo / multichannel /

一方、たとえば amazon.jpの商品案内には以下の通り注意が記載されています。

内容紹介
※ご注意ください
データにSACDの記載がございますが、通常CDになります。

この通りだとしたら「偽装」と言われても仕方がないですね。
Commented by jurassic_oyaji at 2012-02-23 23:36
ななしのごんべいさま。
おそらく、代理店からインフォが回っているのでしょうね。HMVのサイトでは「廃盤」になっていました。