おやぢの部屋2
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STRAVINSKY/The Firebird
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Andrew Litton/
Bergen Philharmonic Orchestra
BIS/SACD-1874(hybrid SACD)




リットンとノルウェーのオーケストラ、ベルゲン・フィルとのストラヴィンスキー第2弾です。前作の「春の祭典」と「ペトルーシュカ」では、全くノーマークだったこのチームの演奏の素晴らしさと、それを支えるとびきり凄い録音に圧倒されてしまいましたが、今回も期待を裏切らない仕上がりになっています。
録音は相変わらずの素晴らしさ、まさにSACDでなければ出せないような味があちこちで満載なのですが、録音機材のクレジットで今までには見られなかった項目がありました。それは「オリジナル・フォーマット」というものです。確かに、SACDそのものは「DSD」というフォーマットで再生されるようになっていますが、最初の録音がDSDであるとは限りません。というか、大半のものはDSDではなく「PCM」という昔ながらのフォーマットで録音されているのですね。元がアナログの磁気テープの場合も、最初にPCMに変換してから、さらにDSDに変換する、ということも行われています。ただ、昔と違うのは、解像度(レゾリューション)が格段に高くなった「ハイ・レゾリューション」(略して「ハイレゾ」)のフォーマットになっているということです。過激なヘンタイじゃないですよ(それは「ハイマゾ」)。CDで採用されたフォーマットは「16bit/44.1kHz」でしたが、今では最高で「32bit/192kHz」までの超高解像度が現実のものとなっています。スペック的には、24bit/96kHzPCMが、DSDとほぼ同等の解像度だと言われていますから、オリジナルの録音がどの程度の解像度のフォーマットで行われたかを知れば、別の再生ツール(ブルーレイオーディオでは、24bit/192kHzのフォーマットに対応していますし、ネット配信でもハイレゾのソースは入手できます)によってSACD以上の音を楽しめる可能性を知ることも出来るのです。
しかし、ここで掲載されている「オリジナル・フォーマット」は、なんと「24bit/44.1kHz」というものでした。確かにビット・レートはCDより上がっていますが、サンプリング周波数は同じ、つまり、ダイナミック・レンジは広くはなっても、周波数特性は変わらない(おおざっぱな言い方ですが)ということになりますね。ところが、その様に数字だけでは判断できないのがオーディオの世界です。CDのマスタリングの現場に立ち会ったことがあるのですが、出来たばかりのデータをCDに焼いたサンプルの音は、それまでモニターしていた音とは全く違った、ワンランク下がったものだったのです。エンジニアはこともなげに「それが当たり前です」と言っていました。つまり、1枚何十万円もするようなガラスCDあたりではきちんとフォーマット通りの音が出るのかもしれませんが、普通のCDではそこまで行かないということなのでしょうね。
ですから、オリジナル・フォーマットがCD並みであっても、SACDでは余裕を持って、聴覚上はスペック以上の音を再生することが出来るのでしょう。現に、このSACDでも、ところどころでCDレイヤーと比較してみましたが、その差は歴然たるものでした。
いつもながらの渋い音色のオーケストラは、いたずらに煽り立てることなく、ストラヴィンスキー(もちろん全曲版)をしっとりと味わわせてくれています。最後近く、「カッチェイの死」に続く「深い闇」の部分の細かく分割された弦楽器の響きには、思わず背筋が凍り付くはずです。
カップリングとして、ストラヴィンスキーが他の作曲家の作品を編曲したものが収められています。そこでは、彼とディアギレフとの最初のコラボレーションであった「ショパニアーナ」の、今では演奏されることのないバージョンが聴けるのがありがたいことです。「ノクターン変イ長調」はべったり甘く、「華麗な大円舞曲」は不気味に迫ってきます。「ペトルーシュカ」や「春の祭典」を初演したピエール・モントゥーの80歳の誕生日のお祝いに作った「グリーティング・プレリュード」には、思わず大爆笑です。

SACD Artwork c BIS Records AB
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by jurassic_oyaji | 2012-03-02 20:52 | オーケストラ | Comments(0)