おやぢの部屋2
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BEETHOVEN/Piano Concertos Nos.3&4


Yefim Bronfman(Pf)
David Zinman/
Tonhalle Orchestra Zurich
ARTE NOVA/82876 64010 2
(輸入盤)
BMGファンハウス/BVCE-38087
(国内盤 5月25日発売予定)


ブロンフマンというピアニスト、昨年11月にはゲルギエフとともに来日したウィーン・フィルとの共演で、大きな話題を呼びましたね。最近、その模様がテレビで放送されたものを見る機会がありましたが、会場での聴衆の熱狂ぶりはものすごいものでした。大きな体でラフマニノフのピアノ協奏曲第3番をいとも易々と演奏する様もさることながら、アンコールでスカルラッティのソナタという、非常にかわいらしい曲を軽やかに弾いていた姿が、私にはとても印象的でした。そういえば、あのホロヴィッツもスカルラッティを好んで演奏していましたから、ブロンフマンも、この世紀のヴィルトゥオーゾのようにこの愛らしい曲にテクニックを超えたところでの愛着を感じているのかもしれませんね。
そのブロンフマンが、ジンマン指揮のチューリッヒ・トーンハレというコンビをバックにベートーヴェンのピアノ協奏曲を録音しました。最近のこの指揮者の実績を考えると、これはあまり相性が良さそうな組み合わせではあるとは思えません。果たして、どんなことになるのでしょう。
そんなある意味「負」の予感は、「第3番」の冒頭のハ短調の分散和音が弦楽器によって奏でられたとき、見事に的中してしまったことを実感しないわけにはいきませんでした。例によって、当人たちは「オリジナル楽器」のポリシーを込めたつもりでやっているであろう、一つ一つの音を無愛想に短く切るという演奏、もちろん、彼らだけでそういうことをやっている分にはなんの問題もないのですが、そこにブロンフマンの洗練されたピアノが入ってくると、それは瞬時に色あせた安っぽい表現に見えてくるのです。このピアニストが紡ぎ出す、ムラのない音色や、輝かしい響き、そのバックとして、このような素っ気ない表現、そして、ビブラートをかけないで弾かれるガット弦の甲高い音色や、ゲシュトップがかかったナチュラル・ホルンのちょっとひなびた響きほど、ふさわしくないものはありません。「第4番」のフィナーレでは、弦楽器の導入に続いてソロのチェロだけを伴うピアノソロが入ります。最初にこの部分を聞いたときには、私のリスニングルームの外を、バイクでも走っていったのかという錯覚に陥ってしまいました。それほどこの華麗なピアノが鳴り響いている中では異質な音色でしかない「オリジナル」っぽいチェロの響き、このミスマッチを、私たちはどのように受け取ればいいのでしょうか。
例えば第3番の第2楽章などでは、ジンマンは見事なまでにピアノをサポートして、一体となった美しい音楽を作り上げています。しかし、オーケストラが前面に出て来る楽章では、その違和感は拭いようがありません。ジンマンは、ブロンフマンをソリストに選んだ時点で、それまでのかたくなな姿勢を改めるか、あるいは自らの意向に忠実なフォルテピアノの演奏家を新たに指名するか、どちらかの道を選ぶべきだったのです。そうしていれば、価格の安さしかじんまん(自慢)出来ないようなアルバムにはならなかったはずです。
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by jurassic_oyaji | 2005-05-12 19:29 | ピアノ | Comments(0)