おやぢの部屋2
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STRAUS/Die lustigen Niebelungen
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Michael Nowak(Siegfried)
Gudrun Volkert(Brunhilde)
Martin Gantner(Gunther)
Siegfried Köhler/
WDR Rundfunkchor und Orchester Köln
CAPRICCIO/C5088




「ワルツ王」ヨハン・シュトラウス・ジュニアの家系とは全く関係のないオスカー・シュトラウス(最後の「s」が一つだけのシュトラウス)は、しかし、「s」が2つのシュトラウスたちが作り上げたウィーンのオペレッタの伝統を、しっかりと守り続けることに貢献していました。「ワルツ王」が亡くなってから5年後の1904年に、この「愉快なニーベルンゲン」が上演された時には、評論家たちはこぞって新しいオペレッタの誕生を褒め称えたのです。
今となっては知る人もいなくなったと思われがちなこの作品ですが、実は2008年にはウィーンで久しぶりの上演が行われ、改めてその魅力が広く知られるようになっています。それに先立つ1995年に録音され、リリースされたのが、このCDです。今回、それが装いも新たに再発されました。
題名から想像できるように、これはあのワーグナーの大作、「ニーベルングの指環」を元ネタにした「パロディ」です。ただ、タイトルにある「lusutigen」という言葉は、シュトラウスと同じ年に生まれたやはりオペレッタ作曲家として有名なフランツ・レハールの代表作「Die lustigen Witwe」(「The Merry Widow」という英語表記の方が、お馴染み)とは、やはりなにか関係がありそうですが、こちらは1905年の初演ですから、パクったとすればレハールの方でしょうね。
出演者の名前などにはワーグナーのものとは若干異なるところもありますが、ジークフリートとブリュンヒルデはしっかり登場します。ただ、一応「主演」の扱いを受けているのが、元ネタではかなり地味な役だったグンターだというのが、面白いところです。主に「神々の黄昏」が軸にはなっていますが、ブリュンヒルデの設定が「自分に求婚してきた人と闘って、負けたら結婚するが、勝ったときには殺してしまうお姫様」というのは、まさに「トゥーランドット」ですね。ただ、プッチーニがこのオペラを作った(途中まで)のは1926年ですから、これも「逆パクリ」?まさかね。でも、「暗闇で抱き合っているところに、急に人が集まってくる」というのは、「トリスタン」ですよね。
音楽は、ワーグナーとは全く関係のない、唐突にワルツを踊りだすわ、早口言葉は出てくるわ、華やかなオーケストラがひたすら盛り上げるわ、といった、オペレッタそのものの軽やかなものが続きます。ジークフリートがお風呂に入っているときの歌「Ich hab' ein Bad genommen(いい湯だな)」のユルさと言ったら、爆笑ものですよ。ただ一箇所だけ、クリームヒルトという、ワーグナーの場合のグートルーネに相当する人の歌うロマンス「Einst träumte Kriemhilden(クリームヒルトの夢)」が、「ローエングリン」の「エルザの夢」によく似ています。
もちろん、ワーグナーのテーマである「黄金」も登場しますよ。ただし、ここでジークフリートが持っているのは指環ではなく袋いっぱいの金貨なんだそうです。それも、ライン川の川底に埋めてあるのではなく、しっかり「ライン銀行」に預けてあって、金利が6%なんですって。いつの時代の話なのでしょう。結局、愛情はそっちのけで「お金さえあれば、みんな幸せ」と丸く収まる、情けないお話となるのでしょうね。そんな金銭のやりとりを歌うときに、元の「ラインの黄金(Rheingold)」に引っかけて「俺の金(mein Gold)」だの「おまえの金(dein Gold)」といった、まさにオペレッタならではの言葉遊び(おやぢギャグとも言う)が飛び交うのが笑えます。
ただ、このCDには、ドイツ語と英語の「梗概」は付いていますが、リブレットなどはどこにもありません。そんな時には、よくネットでダウンロード出来るような措置が施されているものなのですが、それもありません。ですから、本当のおかしさなどは伝わってきようもありませんね。もちろん、かなりマイナーな出演者の経歴なども知ることは出来ません。ブリュンヒルデを歌っている人は、どうも男性のような気がするのですが、それすら確かめようがありませんし(実際は女性でしたが)。

CD Artwork © Capriccio
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by jurassic_oyaji | 2012-03-08 20:49 | オペラ | Comments(0)