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MERCURY LIVING PRESENCE/The Collector's Edition
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Various Artists
MERCURY/478 3566(50CDs)
478 3824(6LPs)




もはやカタログしか残っていないユニバーサル傘下のレーベルMERCURY(マーキュリー)のCDLPのボックスが出ました。スーパーの野菜売り場で売ってます(「まあ、キューリ」)、なんてね。いや、これは数ヶ月前にご紹介したやはりユニバーサルのThe Decca Soundと全く同じコンセプトで、破格の値段で50枚のCDと6枚のLPを手に入れることが出来るという優れものです。特に、LPはこれだけの値段でこれだけ高品質のものが入手できるなんて、ほとんど奇跡です。
1945年に誕生したMERCURYというアメリカのポップスレーベルがクラシックに本腰を入れ始めたのは、それまでオーケストラの管理部門で働いていた若い女性、ウィルマ・コザートがプロデューサーとして入社してからでした。彼女はオーケストラとの人脈を生かして、1951年にラファエル・クーベリックの指揮によるシカゴ交響楽団を使って、ムソルグスキーの「展覧会の絵」を録音しました。その時に録音を担当したのが、1945年からこのレーベルに協力していたフリーランスのエンジニア、ロバート・ファインです。この、コザートとファインのチームが1960年代中頃までに作り続けた、まさに「いきいきとした臨場感」が味わえる素晴らしい録音のレコードの数々が、「Mercury Living Presence」と呼ばれるものです。
ちなみに、コザートは1956年には副社長となり、この二人は1957年に結婚します。その最初の録音が行われてから、昨年2011年で60年を迎えるということでリリースされたのが、このボックスです。これらのアイテムは、1990年代に集中的にCD化されていましたが、最近ではほとんど廃盤になっていますし、LPに至っては、オリジナルの、やはりこのチームの一員、ジョージ・ピロスがカッティングを行ったものなどはレアな中古市場でしか手に入りませんから、なんとも貴重なものです。CDボックスには、ボーナス・ディスクとして、そのCD化の頃に行われたウィルマ・コザート・ファインその人のインタビューまで入っていますしね。
常々、このレーベルの「音」については、様々なところで高い評価を聞いていたのですが、実際にはほとんど聴いたことがありませんでした。今回、その中で、世界で最初に実際の「大砲」の音を録音した「1812年」を聴いて、そのリアリティに驚いているところです。似たようなもので、デジタル録音の初期にTELARCが同じ曲にやはり本物の大砲の音をシンクロさせたものがありましたが、そのCDを聴いた時には、確かにズシンと響く超低音のすごさには感心したものの、なにか爆発の芯がとらえられていないような印象を受けたものでした。ものすごい音なんだけど、「大砲らしく」ないんですよね。ところが、このMERCURY盤では、まさに「本物の大砲」という感じが、体験できたのです。それは、CDでも充分味わえたものだったのですが、同じものをLPで聴いてみると、そのリアリティはさらにワンランク高まります。いや、そもそも冒頭の弦楽器のコラールから、全く別物です。LPの場合、オリジナルと同じカップリングで、A面はこの曲だけです。そして、B面の最初では、なんとその録音の模様をナレーション入りで語っているではありませんか。「大砲」や「カリヨン」のさまざまなテイクの素材まで聴かせてくれるのですから、すごいですね。
もう一つ、びっくりしたのはわざわざ、当時は「冷戦」中だった「ソ連」まで機材を積んだバスを運んで録音されたというバラライカ・バンドの録音です。演奏自体も、とびっきりの超絶技巧と緊密なアンサンブルを土台にした素晴らしいものですが、そのバラライカの音の生々しいことと言ったら。これも、LPになると、ソリストの音色の変化や、微妙なタッチの違いなどが、さらに手に取るように伝わってきます。
そんな「際物」ではない、たとえばシュタルケルが弾いたドヴォルジャークのチェロ協奏曲などは、弦楽器の滑らかさがCDLPではまるで別物です。CDボックスには同じジャケットでは入っていないシェリングのブラームスのヴァイオリン協奏曲とともに、また「宝物」が増えました。

CD & LP Artwork © Decca Music Group Limited
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by jurassic_oyaji | 2012-04-03 22:59 | オーケストラ | Comments(0)