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VIVALDI/Le Quattro Stagioni, Concerti per Flauto
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Andrea Griminelli(Fl)
I Solisti Filarmonici Italiani
DECCA/476 4670




ヴィヴァルディの「ヴァイオリン協奏曲『四季』」をフルートで吹こうなどという無謀なことを考えたのはジェームズ・ゴールウェイでした。しかし、彼が1976年に録音した「フルート協奏曲『四季』」は、それは見事な演奏だったので、世のフルーティストたちはこぞって同じように演奏することを試みました。
そのゴールウェイにも教えを請うたこともあるイタリアの名手グリミネッリもその一人、しかし、時代の波は「四季」の演奏様式にも押し寄せてきていて、この曲に対するアプローチは35年も前のものとは全く変わってしまっていますから、ゴールウェイとは又違った曲の姿が楽しめるかもしれませんね。なにしろ、このジャケットですよ。セミヌードでフルートを吹くなんて、とてもゴールウェイには出来ない芸当です。セレナーデぐらいなら吹けるでしょうがね。
ここでグリミネッリのパートナーを務めるのは「新イタリア合奏団」、こちらも、かつての「イ・ムジチ」のようなお行儀のよい演奏に終始するようなことはありません。なにしろ、低音にはチェンバロの他にテオルボまでが加わって、とても新鮮な即興演奏を繰り広げているのですからね。
「四季」の4曲は、お決まりのイタリア風協奏曲の形ですが、その両端の早い楽章では、グリミネッリの目の覚めるような技巧にまず酔っていただきましょう。なんせ、ヴァイオリンの音形をフルートで吹くのですから、その難しさは群を抜いています。詳しくは分からないのですが、一見難しそうなフレーズも、ヴァイオリンでたくさんの弦を使って演奏する分にはそれほど大変ではないような気がします。左手などはほんの少し動かすだけで済みそうですし。同じことをフルートでやろうとすると、9本の指(右手の親指は演奏には関与しません)をすべて動員しなければなりませんからね。そして、ヴァイオリンの右手に相当することは息を使って行います。その時に使うのが「ダブルタンギング」という必殺技なのですね。グリミネッリの場合、これがものすごいパワーで迫ってきます。まさに「息つく暇もない」名人芸で、華やかなヴィヴァルディの世界を存分に堪能できますよ。
それに対して、真ん中の楽章は技巧ではなくしっとりと歌い上げるような曲想です。ここでグリミネッリは、意表をついてなんとノン・ビブラートに近いいともあっさりとした表現を使っています。これは最近モダン・フルートでバロックを演奏するときの常套手段、なにか、当時の楽器を思わせるような情緒が漂います。もちろん、この楽章はその時代は即興的な演奏が許されていたという「故事」にならって、思いっきり大胆なパフォーマンスも披露されます。「秋」の第2楽章などは、チェンバロがまるでバッハを思わせるような格調高いレアリゼーションを聴かせてくれますよ。ただ、フルートが、意図したことなのかどうか、ピッチがかなり低く聴こえるのがとても気になります。
このアルバムでは「四季」の外にさらに4曲のタイトルが付いたフルート協奏曲が演奏されています。そのうちの3曲は作品10の中にある有名な「海の嵐」、「夜」、「ごしきひわ」です。これは元々フルートのために作られたものですから、一層伸びやかなフルートが楽しめます。「ごしきひわ」の第2楽章はパストラーレ風のメロディアスな曲ですが、そこにテオルボがまるで「PPM」みたいなフォークソング調のイントロを加えているのがなかなかです。
そして、もう1曲、「ムガール皇帝」というのは、ごく最近発見されて出版されたばかりのフルート協奏曲なのだそうです。短調でちょっとメランコリックなテイストを持っていますが、別にタイトルから想像されるようなインド趣味などはありません。
いや、もしかしたらジャケットの写真がその暑い国の「皇帝」なのでは。

CD Artwork © Universal Music Italia srl
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by jurassic_oyaji | 2012-04-13 20:03 | フルート | Comments(0)