おやぢの部屋2
jurassic.exblog.jp
ブログトップ
POULENC/Choeurs a capella
c0039487_20245045.jpg



Stephen Layton/
Danish National Vocal Ensemble
OUR RECORDINGS/8.226906




イギリスの合唱指揮者スティーヴン・レイトンは、自身が作った「ポリフォニー」以外にも多くのイギリスの合唱団の指揮を手がけているのは当然の話ですが、オランダやデンマークの合唱団とまで深い仲になっているのですから、大したものです。デンマークでは1999年からデンマークの公共放送「DR」(NHKみたいなものなのでしょう)の合唱団、デンマーク国立合唱団の首席客演指揮者を務めていますし、その合唱団を母体として2007年に発足したデンマーク国立ヴォーカル・アンサンブルの指揮も、創設時から2011年まで行っていました。もう、地元の指揮者は出る幕がないですね。
そんな、新しい合唱団と2008年から2009年にかけて録音されたプーランクの曲集が、リリースされました。レーベルはデンマークの「OUR RECORDINGS」という、あまり聞いたことのないところ(実は、リコーダーのミカラ・ペトリの録音がたくさんあるそうです)ですが、実体はNAXOS傘下のDACAPOと同じみたいですね。実際、DACAPOで「アルス・ノヴァ・コペンハーゲン」を手掛けているエンジニアの名前が見られますから、録音に関しても期待できそうです。なかなかセンスの良いジャケットを作るところのようで、タイトルも本当は「Half Monk | Half Rascal」というちょっとしゃれたものです。プーランクの合唱曲には宗教曲と世俗曲の2つの側面がありますが、そんな意味を端的に込めたタイトルなのでしょう。写真も、ジャケットに映っているシトロエンのミニカーは、同じ写真の裏焼きが使われているブックレットでは消えてしまっていますし。
レイトンのプーランクと言えば、2007年に「ポリフォニー」と録音したものがありました。今回のCDには、その時の曲目とは決して重複しないものが選ばれているのが、見事というか、親切な配慮です。その結果、男声合唱による「アッシジの聖フランシスコの4つの小さな祈り」と、「パドヴァの聖アントニオの讃歌」が両方とも含まれることになったのは、うれしいことです。しかも、「酒飲みの歌」まで。
もしかしたら、この合唱団の聴きものは男声パートだから、男声合唱を多くしたのでは、と思ってしまうほど、これらは素晴らしい演奏でした。何よりも、プーランクだからと言ってこぎれいにまとめる、ということは一切行っていないのが、とてもすがすがしく感じられます。これはレイトンの持ち味なのでしょうが、宗教曲でここまでのハイテンションはないだろうというところまで「吠え」させているんですね。そこでの合唱は、もう崩壊する一歩手前、まさに「男声合唱」らしさを目いっぱいふるまってくれます。と、ある瞬間に、それがガラッととても繊細で柔らかい表情に変わってしまうのですよ。この落差はかなりショッキング、というか、そんな対比の中で生まれたこの柔らかさは、まさに「神々しさ」すらも秘めた格別の味となっているのです。
ですから、最後に入っている「酒飲み」も、いくらハメを外そうが安心して聴いていられます。そして、期待通り、最後にはとても澄み切ったニ短調の和音が響き渡るのですからね。
女声パートは、男声に比べると、ほんの少しですが、そのあたりのコントロールが苦手なのかもしれません。レイトンの煽りで、かなり粗野な表現(これが、「Rascal」なんでしょうね)が要求されている「7つの歌」や「8つのフランスの歌」では、今一つなりきれていないもどかしさが残ってしまいます。もちろん、水準以上の演奏には違いありませんが。その点、「アヴェ・ヴェルム・コルプス」や、「ある雪の夕暮れ」などは、しっとりとした味が素敵です。
録音は、さすがDACAPOと思えるような素晴らしさでした。教会のたっぷりとした残響がとても美しく感じられます。DACAPOのようにSACDにしてくれなかったのが、唯一の不満点です。

CD Artwork © Naxos Global Logistics GmbH
[PR]
by jurassic_oyaji | 2012-04-25 20:25 | 合唱 | Comments(0)