おやぢの部屋2
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東北復興大合唱祭
 「東北復興大合唱祭」というコンサートが行われました。東北6県の合唱団が、全国から寄せられた被災地へ支援のお礼に、「これだけ元気になりました」という意気込みを示すもの、みたいなものなのだ、というのが、そのコンセプトだ、というように聞いていました。そのために、各県合わせて1000人以上の合唱団員が、仙台フィルをバックに一堂に会して演奏を行います。会場は萩ホール、まさかこのステージに1000人も乗るわけはないので、コンサートは4ステージ構成、それぞれに250人ずつを割り振ることになります。それにしてもやはり全員がステージに乗るだけのスペースはありません。それで、乗りきらなかった分はステージの下、客席の前の通路と、このホールの名物、前方のバルコニーで歌うことになりました。
 開演は2時半、チケットは前もって買っておいたのですが、駐車場が開く12時半に行ってみることにしました。そうしたら、無事駐車場には入れたものの、ここが満車になった時に予備で使うはずのホール前の広場が、すでに東北各地から来たたくさんの観光バスで一杯になっているのですよ。早目に来てて良かったですね。
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 当日券が100枚だけ発売になるというので、売り場前にはすでに長蛇の列が出来ていました。1時から売り出しを始めたのですが、かろうじて並んでいた人は買えたようですね。1時過ぎに来たらもう売り切れ、実は、開場を待つ列に並んでいたら、当日券目当ての知り合いがやってきたので、「もう売り切れたよ」と教えてあげたら、残念そうに帰って行きましたね。あとは、「いわきから来たんですが、誰かチケット持ってませんか?」ときいてまわっている人もいましたね。ホールに入ってみると、1階席の前の方はすべて「出場者席」となっていましたが、こんなことをしなければ、もう少し「普通の」お客さんも入れられたのに。
 ただ、なにしろこのホールはこれだけの人数をスムースに誘導するにはとても大変、ある程度は客席に入れておかないと、進行がうまくいかなくなってしまうのでしょうね。全員の控室などはありませんから、一旦外に出て別の敷地の講義室かなんかを使っていたのでしょう。その間には道路がありますから、移動も大変だったようです。これで雨でも降ったら目も当てられなかったことでしょう。ほんと、お天気が良くて良かったですね。
 仙台フィルは、8.6.4.4.3という、殆ど室内オケの編成でした。ですから、最初の「蔵王」が始まった時には、まさに250人の大合唱の迫力がもろに伝わってきました(オケ版では、ピアノ版にはない素敵なイントロが付くんですね)。全員が一緒に合わせたのは昨日のリハーサルが初めてだったのでしょうが、声もまとまっていましたし、なによりもとても細かい表現が出来ていましたね。オケが合唱に完全に負けているという、ちょっと珍しいケースでした。全曲やるのだと思ったら、3曲カットされてましたね。オケ版「樹氷林」なんか、聴いてみたかったですね。
 次の「水のいのち」は、殆ど知り合いが参加しているステージでした。私もパリンカを続けていれば出ていたことでしょう。でも、こうして2階席でのんびり聴いている方がずっと楽しいですね。合唱はまさに大人の音楽でしたが、ここではなんだかオケが合唱の邪魔をしているように感じられて仕方がありませんでした。いや、仙台フィルがダメだということではなく、オリジナルのピアノ伴奏のオーケストレーションが、なんだか納得のいかないものだったのですよ。オケの中にピアノが入っていて、それが肝心なところでそのままオリジナルの伴奏を弾くようになっているのですね。これが、ものすごくダサく聴こえてしまいます。アルペジオなどは、それこそハープに弾かせればいいのに、とか、ここでドラはないだろうとか、そんなことばかり考えて、あまり演奏に集中できませんでした。
 ここで、休憩前に「全員合唱」ということになって、山下さんの指揮のもと、「ふるさと」が会場内の全員で歌われました。私は乗り気ではなかったのですが、一応みんなと歌っていると、3番の歌詞の「志をはたして、いつの日にか帰らん」というところになったら、なんだかこみ上げるものがあって歌えなくなってしまいました。そうなんですよ。これは被災地を応援するために歌われるものではなく、被災地の人たちの「怒り」が込められたメッセージなのでは、と、その時気が付きました。帰ろうと思っても金輪際帰ることが出来なくなってしまった「ふるさと」、この歌が、そんな状況を招いてしまった原発に対する怒りでなくてなんなのでしょう。ステージでは、パリンカのボスが涙を拭いていたようなそぶりを。彼はどんな思いで歌っていたのでしょう。
 後半の第3ステージは、高校生などの若い人たちが集まったメンバーでした。ほとんどが暗譜で、小さな曲を4曲歌ったのですが、そこでオケなしのア・カペラで歌われた信長さんの「こころよ うたえ」が、やはり、そんな「被災地」からのメッセージとして重たく迫ってきました。非常に高いレベルの合唱団の集まりが、素直な発声でのびのびと、しかし、決然と歌う言葉には、圧倒されてしまいましたよ。
 最後のステージは、三善晃の「唱歌の四季」を、オーケストラ用に編曲したもの。かなり難易度の高い、ちょっとうるさすぎる伴奏にも惑わされずに、やはり若い人たち中心の合唱は、たしかな命を吹き込んでいましたね。
 そして、やはり「全員合唱」ですが、今度は「上を向いて歩こう」ですって。今までの流れの中でこれが歌われるのは、ちょっと抵抗があります。私には、とてもこんなにあっけらかんと歌うことなど出来ません。ですから、ひたすら打楽器のおねえさんが、軽やかに踊りながらマリンバやシロホンの間を飛び跳ねているのを楽しんでいましたよ。
 そのあとにもう1曲、今度は全日本合唱連盟のボス、浅井先生のアジテーションで、いつの間にか客席から立ち上がって「大地讃頌」を歌わされていました。必然的にスタンディング・オヴェーション、いやあ、盛り上がりましたね。ただ、このフィナーレを、おそらく前半に出場した人たちは味わえなかったのではないでしょうか。せっかくのお祭りだったというのに。
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by jurassic_oyaji | 2012-04-30 21:55 | 禁断 | Comments(4)
Commented by ま~さん at 2012-05-01 14:38 x
読んでいて胸が熱くなりました。いろんな思いが交錯します。
Commented by jurassic_oyaji at 2012-05-01 23:00
気持ちが伝わったのなら、うれしいです。
Commented by パンダ at 2012-05-14 13:16 x
私も聞きにいきましたが、まさに「水のいのち」は、結果的にオケが、邪魔になっていました。残念。「蔵王」はまさに、オケとばっちり。でも、組曲から削る場合は、その旨プロに掲載すべきですよね。
Commented by jurassic_oyaji at 2012-05-14 21:51
パンダさん、こんにちは。
前日の朝日新聞には「蔵王」より、と書いてあったのに、プログラムには「より」がありませんでしたね。