おやぢの部屋2
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What Is Life?
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Lone Larsen/
Voces Nordicae
FOOTPRINT/FRCD 045




スウェーデンのFOOTPRINTレーベルで、初めて聞いた名前の合唱団のCDを見つけました。1999年に出来たばかりという新しいその合唱団は、ローネ・ラーセンという女性指揮者に率いられた「ヴォーチェス・ノルディケ」です。17人編成と、ライナーには書かれていますが、写真を見ると19人いるのはなぜでしょう。まだ若い人ばかり、そのうち団内カップルも出来て、自慢し合ったりするのでしょう(それは、「ヴォーチェス・オノロケ」)。
北欧のこのぐらいの少人数の合唱団、そして女性指揮者とくれば、誰でも透き通るような音色と、繊細な表現を兼ね備えたピュアなサウンドを期待してしまうことでしょう。その上に、ここにはボー・ホルテンやエイノユハニ・ラウタヴァーラといった演奏が難しそうな「現代作曲家」の名前なども見られますし、何よりもタイトル曲などはこの合唱団のために作られたのだというのでは、その期待はさらに高まります。
何しろ、最初の曲がエリック・ウィテカーの「Leonardo Dreams of His Flying Machine」という、超有名曲なのですからね。まずは、すでに多くのCDが出ていて、さらには、今年はおそらく何度も「生」で聴けそうなこの曲で、この合唱団の「アタリ」をつけてみることにしましょうか。
まさに「現代によみがえったマドリガル」と言えそうなこのキャッチーな曲は、だからと言って軽々しく挑戦してみても作曲家の求めたおもしろさが出てくるわけではありません。特に重要なのが合唱団の持つソノリテなのですが、その点ではどうもあまりいい結果を出しているとは思えないような仕上がりでした。ソプラノがちょっと雑な感じで、とても「ピュア」な音色とは言えないのですね。後半に出てくるリズミカルな部分では、シンコペーションがかなりアバウト、何かノリの悪いユルさが目に付いてしまいます。もしかしたら期待外れ?
次のボー・ホルテンの「Regn og Rusk og Rosenbusk」という曲は、不協和音も多用した、なかなか手ごたえのある感じなのですが、ここでもソプラノの荒れた感じはちょっと違和感があります。続くオラ・イェイロという1978年生まれのノルウェーのピアニスト/作曲家のラテン語のテキストによる「Ubi caritas」と「Deus in adiutorium」は、なんとも静謐な、ヒーリング・ピース、とても「現代曲」とは思えない素直さです。
そして、タイトルにもなっているのが、アン=ソフィ・セーデルクヴィストの「What Is Life?」です。この合唱団のために作られた曲だということで少し身構えますが、聴こえてきたのはまるでノラ・ジョーンズのような、ちょっとハスキーな声とアバウトなピッチのアルト・ソロでした。ジャズ・ミュージシャンでもある彼女がこの合唱団に贈ったのは、ほとんど「ブルース」と言っていいような曲だったのです。なんか、方向が見えてきません。しかも、それに続く1983年生まれの、大学ではジャズを学んだというサラ・ニクラソンの「Frame and Content」は、和やかなフォーク・ギターの伴奏に乗った、もろ、モダン・フォークではありませんか。ここにもソプラノやテナーのソロがフィーチャーされていますが、いずれも合唱人にはあるまじきアバウトな歌を披露しています。そういう曲なのかもしれませんが、なにか、肩透かしを食らったような気がしてしまいます。
そんな歌を聴かされたあとに、ウッレ・リンドベリの「Sanctus」と「Agnus Dei」という、直球勝負のミサ曲が来ます。こうなると、もはやこの合唱団のユルさではとても太刀打ちできない、まさに限界のようなものを感じないわけにはいきません。
最後に控えるラウタヴァーラの「Die erste Elegie」も、健闘はしているのですが、もはや細かいコントロールなどは全く期待できません。クライマックスで派手にビブラートがかかったソプラノを聴かされる頃には、北欧にも上手ではない合唱団はたくさんあるのだな、というごく当たり前のことが理解できるようになっていたのでした。

CD Artwork © Footprint Records AB
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by jurassic_oyaji | 2012-05-07 19:55 | 合唱 | Comments(0)