おやぢの部屋2
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VERDI/Requiem
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Galina Vishinevskaya(Sop), Nina Isakova(MS)
Vladimir Ivanovsky(Ten), Ivan Petrov(Bas)
Igor Markevitch/
State Academy Chorus
Moscow Philharmonic Orchestra
ICA/ ICAC 5068




2011年に設立され、多くの「初出」音源をリリースしてきたICA、この、マルケヴィッチが1960年にロシアを訪問した際にライブ録音したヴェルディの「レクイエム」も、ライナーを読む限りでは明らかに「初出音源」であるように思われてしまうものです。インレイには「FIRST CD RELEASE」の文字もありますしね。
実は、以前からマルケヴィッチがロシアで録音したとされるレコードはPHILIPSレーベルから出ていました。ただ、それは録音が「1961年」となっていましたし、オーケストラも「ソヴィエト国立交響楽団」というクレジットだったので、その1年前にモスクワ・フィルと録音されたものが見つかった時には、間違いなく「初出」と思ってしまったのでしょうね。ソリストが全員同じ人だったという「偶然」には目をつぶったのでしょう。
ただ、2006年に、日本国内だけでそのPHILIPS盤を原盤にしたCDが、日本のユニバーサルから限定発売で出ていたことがありました。そこには、このICA盤と同じように「モスクワ・フィル」、もしくは1960年録音」と表記されていて、LPでのミスは正されていたのですね。つまり、このCDのライナーノーツを執筆しているDavid Patmoreが言うような「このライブ録音の1年後に行われた、PHILIPSレーベルで最初にリリースされた商業録音」などというものは、はじめから存在していなかったのですよ。Patmoreさんは、この日本盤CDのことはまったく知らなかったのでしょう。
おそらく、このライナーノーツを鵜呑みにしてしまったのでしょう。国内で発売されるときには、日本の代理店の担当者は「初出音源」であることを目玉にして販売店に情報を流したのでしょうね。実はこれが初出でもなんでもないことが分かった時には、その男は真っ青になったことでしょう。間違った情報を訂正すべく、各方面に頭を下げまわったのでしょうね。その痕跡が、こちらの通販サイトに、何とも奇妙な言い回しで残っています。「CDにはこの演奏を初出音源と勘違いした英文解説が付されているものと思われますが、もしお買い求めの場合は、その点をご了承くださるようお願いいたします」という不思議な文章は、おそらく業界の人にしか理解できないような自分勝手な言い方です。すでに現物は出回っているのに、なぜ「英文解説が付されているものと思われます」なのでしょう。要は、「自分は悪くない」という明らかな責任回避なのですが、こんな文章は逆に販売店の誠意のなさを明らかにするだけのものであることが、「業界」の人にはわからないのでしょうか。というか、「思われます」なんて言って済ましているインフォなんて、何の役にも立たないものです。こんな文章を書いた人は、滝に打たれてください。
代理店が作った「帯」では、そんな不手際は見られません。おそらく、初出ではないことが分かった時点で差し替えたのでしょう。ただ、この「帯」には、合唱団の名前が「ロシア国立交響合唱団」と表記されています。英文は「State Academy Chorus」ですが、いったいどこからこんな「交響合唱団」なんて訳語をでっち上げたのでしょう。しかし、これはさっきのユニバーサルの国内盤CDを見れば、あの有名な「ソヴィエト国立アカデミー合唱団」であることがわかります。こちらにはちゃんと合唱指揮者も「アレクサンドル・スヴェシニコフ」と明記されていますしね。やはり、代理店の人も滝に打たれてください。
それにしても、こんなひどい録音を「商業録音」だと言いきるPatmoreさんも、すごい神経の持ち主です。カップリングの1957年録音のフランス国立放送管弦楽団とのロッシーニ序曲集は、LPからの板起こしだというのに、ノイズが全く聴こえない素晴らしい音です。こういうものを「商業録音」というのではないでしょうか。
業界人が寄ってたかってボロボロにしてしまったCD、彼らは、本当に「音楽」を聴く耳を持っているのでしょうか。

CD Artwork © International Classical Artists Ltd
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by jurassic_oyaji | 2012-05-21 20:46 | 合唱 | Comments(0)