おやぢの部屋2
jurassic.exblog.jp
ブログトップ
Bach Drama
c0039487_19483520.jpg
Céline Scheen(Sop), Clint Van der Linde(CT)
櫻田亮, Fabio Trümpy(Ten)
Christian Immler, Alejandro Meerapfel(Bas)
Leonardo García Alarcón/
Choeur de Chambre de Namur, Les Agrémens
AMBRONAY/AMY031




「バッハのドラマ」というタイトルの、CD2枚+ボーナスDVD1枚という、全部で3枚組のボックスです。1枚に1曲ずつ、全部で3曲の「ドラマ」が収録されています。もちろん、バッハが「ゲゲゲの女房」や「梅ちゃん先生」のテーマ曲を書いたわけではありませんよ。
ここで演奏されているのは、BWV(バッハ作品目録)では201番からスタートする20曲程度の作品群、一般には「世俗カンタータ」と呼ばれているものの中に含まれる曲です。もちろん、こんな分類はバッハ自身が行ったわけではなく、後年の研究者が教会での礼拝の時に演奏される目的で作られたもの以外のカンタータを、このような名前でひとくくりにしただけのことなのです。バッハ自身は、単に「Kantate」とか、あるいは目的に応じて結婚を祝うためのものはズバリ「Hochzeitskantate(結婚カンタータ)」とか、お誕生会には「Kantate zum Geburtstag」などというタイトルを使っていました。さらに、その1/3ほどには、イタリア語で「Dramma per musica」というタイトルが付けられています。日本語では「音楽劇」でしょうか、これが、バッハの場合の「ドラマ」になるのですね。
まずは、BWV201の「フェーブスとパンの争い」です。この「ドラマ」の出演者は全部で6人。最初と最後に大きな合唱があって、まずは物語をレシタティーヴォで進行、それに従ってそれぞれの出演者が1曲ずつアリアを歌うという分かりやすい構成です。そんな曲を、指揮者のアラルコンは、まさに「ドラマティック」にさばいてくれます。トランペットやティンパニが加わってただでさえにぎやかな開幕の合唱を、テンポを煽りに煽ってハイテンションに迫るものですから、トランペット(もちろんピリオド楽器)の高音のトリルなどは、ただならぬ悲壮感まで漂ってきますよ。
そんな「イケイケ」感は、アリアになっても付いて回ります。最初のモムス(ハロプロではありません・・・それは「モー娘。」)の元気なアリア「Patron, das machat der Wind!」を歌っているシェーンは、なんだか途中で地声で歌ったりしてかなりドラマティックですよ。
ミダス王役の櫻田さんも、かなりのオーバーアクションでこの「嫌われキャラ」を演じています。ブックレットには「ロバの耳」をつけておどけている写真も載っていましたね。こういうコミカルな味を、透き通るような声と完璧なコロラトゥーラで歌いながら出しているのですから、ちょっとすごいことです。いつの間にこんなに素晴らしい歌手になっていたのでしょう。
ただ、バスのイムラーが歌うフェーブス(アポロン)のアリア「Mit Verlangen」では、勢い余ってこのアリアには欠かせない優雅さがどこかへ行ってしまっているのが、ちょっと気になります。というのも、今まで聴いてきた演奏では必ず聴こえてきたフレーズが、この演奏では全く聴こえなかったのです。その原因は、楽譜を見てみて分かりました。
c0039487_19504852.jpg

この、赤線で囲ったヴァイオリンのちょっとした装飾に、大概の指揮者は敏感に反応して、ちょっと目立たせる工夫をしていました。アルブレヒトなどは、わざわざこの部分の前後にポーズを入れて、全く別のものとして演奏しています。それを、アラルコンは「楽譜通り」に演奏しているのですね。それも一つの見識でしょうが、何か物足りません。というか、つまらない演奏になってしまいます。
もう一つの「ドラマ」、「満足せるエーオルス」BWV205では、ホルンまで加わってにぎやかさはさらに増大、まさにこの指揮者の腕の見せ所でしょう。ここでも櫻田さんの歌は冴えてます。
DVDは、教会でのただのコンサートの録画でした。「ドラマ」というから、それこそラトルのマタイみたいなのを期待したのですが・・・。聴きなれた曲があると思ったら、この「岐路のヘルクレス」BWV213は、「クリスマス・オラトリオ」の原曲でした。

CD Artwork © CAV&MA, Ambronay Éditions
[PR]
by jurassic_oyaji | 2012-06-30 19:50 | 合唱 | Comments(0)