おやぢの部屋2
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SALONEN/Wing on Wing



Esa-Pekka Salonen/
Finnish Radio Symphony Orchestra
DG/477 5375
(輸入盤)
ユニバーサル・ミュージック
/UCCG-1241(国内盤)


ロス・アンジェルス。フィルの音楽監督を務めるエサ・ペッカ・サロネンは、指揮者としてはもちろん高いレベルにランクされていますが、「作曲家」としてもかなりの実績を持っています。以前はSONYから自作自演盤がリリースされていましたが、他のアーティスト同様、彼もこのレーベルに見切りを付けた(付けられた?)ため、今回は移籍先のDGからのリリースです。2001年以降に作られた、オーケストラのための20分程度の長さの曲が3曲収録されています。
アルバムタイトルとなった「ウィング・オン・ウィング」という曲は、ロス・フィルの新しい演奏会場として作られた「ウォルト・ディズニー・コンサート・ホール」のこけら落としのために作られた曲、このホールの「ヨットの帆が最大限に風をはらんだ」ような外観にちなんだ曲名が付けられているということです。決して、2人組のアイドルにちなんだものではありません(それは「ウィンク」)。その写真はジャケットにもありますが、ちょっとわかりにくいのでこちらでも用意してみました。
  

確かに、奇才フランク・ゲーリーの設計によるこの建物は、ひときわ異彩を放っています。通り一本隔てているのが、今までの演奏会場であった「ドロシー・チャンドラー・パヴィリオン」、こんな近くに引っ越せるのですから、これほど定期会員に配慮した会場変更もないでしょう。ここで、もう1枚、このホールの内部の写真(模型)をご紹介。

なんだか、サントリーホールによく似た感じだとは思いませんか?そう、この新しいホールの音響設計を担当したのは、サントリーホールとか、札幌の「キタラ」を手がけた豊田泰久さんなのです。このホールの音響は、各方面で絶賛を博していますが、それが日本人の手になるものだというのは、ちょっと嬉しいことですね。ホールが完成したのは200310月のこと、12月には、当時アシスタント・コンダクターを務めていた日本人指揮者、篠崎靖雄さんがここで定期演奏会を指揮されたという、やはり私たちにとっては嬉しい出来事があったわけですが、どういう事情があったのかは分かりませんが、こけら落としのために作られたはずのこの曲が演奏されたのは2004年の6月のことでした。
サロネンの曲には、本質的にはとても厳しい意志が内包されています。それは、とても切りつめられたモチーフの反復という、かなり「ミニマル」の要素が強いものであり、決して甘いメロディーに流されるようなことはありません。ただ、それが「音」として聴かれる時には、彼の卓越したオーケストレーションのスキルによって、殆ど映画音楽のような華麗なインパクトを与えるものに変わるというのが、彼の「手」なのでしょう。その結果、私たちは、ちょっと「どこかで聴いたことがある」という既視感に陥ることになります。この曲の場合は、それは武満でしょうか、ラヴェルでしょうか、はたまたメシアンでしょうか。2人のソプラノの装飾的なヴォカリーズは、華麗なサウンドの味付としての役割を担うもの、そして、一瞬アヴァン・ギャルドな印象を受ける男の声(設計者のF・ゲーリー)のサンプリングすらも、このサウンドに貢献するものでしかありません。
他の2曲の場合は、もっと直接的にサウンドの渦に飲み込まれるだけの迫力があります。それは、作曲家のメッセージを受け取るにはあまりに饒舌すぎると感じるのは、私だけでしょうか。あ、念のため、オーケストラはロス・フィルではなくフィンランド放送響です。
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by jurassic_oyaji | 2005-05-18 19:56 | 現代音楽 | Comments(0)