おやぢの部屋2
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グリーンウッドハーモニー/ロ短調ミサ
 きのうは、グリーンウッドハーモニーの定期演奏会でした。萩ホールでバッハの「ロ短調ミサ」、オケは仙台フィルです。ついこの間ここで同じぐらいの規模の合唱団を聴いたばかりですが、あの時はなにかと不手際があって、演奏以前のところでつまずいてしまいましたが、今回はそんなこともなく演奏に集中したいものだ、と、まずはその時には座り損ねた一番ステージ寄りのバルコニー席を取るために、早目に会場に足を運びます。もちろん全席自由ですから、早い者勝ちです。普通は開演30分前に開場というコンサートが多い中で、この日は1時間前に開場ですから、1時間半前に着くようにしたのですが、それでもすでに行列は出来ていましたよ。熱心な人はいるものです。他人のことは言えませんが。
 おかげで、目指すバルコニーには座れました。ここにいると、1階席も2階席も良く見えますから、お客さんが席を埋めていく様子が手に取るように分かります。2階席には、なかなか人がいかないのですね。確かに、この前のニューフィルの定期でも、1階はまずまずの入りだったのが、2階はガラガラでした。こちらからよく見えるということは、あちらからも良く見えるということ、知り合いのロシア人、サブチェンコさんとハマダーニャさんが私を見つけて手を振っているものですから、私も振り返します。多分、リチャード・ギア状態ではなかったはずでしたから。
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 ステージでまず目に着いたのが、金管とティンパニの前に置いてある遮音スタンドです。仙台フィルでも、いつの間にか使っていたのですね。この配置だと木管ではなくヴァイオリンが直撃を受けますから、これは必要かもしれません。それと、使っている楽譜も気になったので覗きこんでみます。ベーレンライター版だということは分かりますが、はたしてウーヴェ・ヴォルフ校訂の「新版」かどうかまでは分かりません。あとで、仙台フィルの人がFacebookのフィードでこの演奏会のことを書いていたのでコメントで聞いてみたら、やはり「新版」だったそうです。つまり、この「ロ短調」は、「新版」による仙台初演ということになるのですね。
 予想された通り、この後の陰アナで、写真撮影や録音はするな、というコメントがありました。「著作権法によって禁じられています」というからおかしいですね。写真を撮ることが著作権法に触れるというのでしょうかね。肖像権なら分かりますが。ですから、これ以上の写真は、撮りたくても撮れませんでした。合唱団の演奏会で、男性の団員が蝶ネクタイではなくボウタイで歌っているなどというのはかなりレアな場面でしたので、ぜひフィルム(いや、SDカード)に収めておきたかったのですが。
 ご存じでしょうが、私はもしかしたらこのステージに乗っていたかもしれないという状況にありました。実際に今井さんの指揮する合唱団の練習にも3回ほど顔を出して、つぶさにそのご指導を体験しています。それは、バッハが創り上げた複雑に絡み合った織物を、糸の一本一本まで細かくほどいてそこに命を吹き込むという、本当に気の遠くなるような精緻な作業のように思えました。延々と続けられたそんな丹念な作業の末に完成したものが、ここでの彼らの演奏だったのでしょう。それはどこまでも滑らかで、それでいて深いところから力がわき出てくるものでした。それが、最も理想的な形で迫ってきたのが、「Credo」の中の「Et incarnatus est」、「Crucifixus」、「Et resurrexit」と合唱だけで続けられる3つのユニットです。この曲の中では、珍しく「感情」が表に出てきたな、と思える部分、そこを、まさに豊かな感情をこめて歌いきっていたのです。これこそが、今井さんとグリーンでなければなしえない至高の音楽なのかもしれません。
 ただ、ここにたどり着くまでの他の曲、特に多くの声部が入り組んでいるところでは、この方法論はもはや「現代」のバッハ像からは、少し距離が出来ているのでは、という感じは否めませんでした。なにしろ、昨今は「1パート1人」とまではいかなくても、パートが2~3人、多くても10人以下という編成で素晴らしい演奏を聴かせる団体が目白押しですからね。
 それと、合唱に比べて、一部のソリストのレベルがかなり低かったのも、ちょっと興ざめでした。アルトの高山さんは、あんなに素晴らしいのに。もしかしたら、「Benedictus」を歌った田中さんもなかなかのものだったのかもしれませんが、この時には、私の耳は完全に戸田さんのフルートに向いていましたから、殆どテノールは聴こえませんでした。
 合唱でも、なんだか行儀の悪い人がいましたね。さっきの「Et resurrexit」の途中に出てくる、ベースパートの12小節に及ぶ超難しい大ソリを、なぜかテノールの団員が一人だけ一緒に歌っているのですね。これって、他のパートを見下したような、ものすごく失礼な行為じゃないですか。例えば、1番フルートのソロを、勝手に2番フルートがユニゾンで吹く、みたいなことですから、私だったらものすごく嫌ですね。それを、さも「おれはうまいだろう」みたいな顔で歌っているのですから、いやになります。というか、こんな人とは、絶対に一緒に歌いたくはないですね。あとは、えらく薄っぺらな楽譜を持っている人もいましたね。いくら重たいからって、大切な楽譜を無残に切り刻むなんて、いったい何を考えているのでしょう。楽譜を愛せない人に、音楽は愛せません。
 それに比べれば、私の右隣に座って、休憩中に自販機で買ってきた缶コーラを客席で飲んだり、演奏の間中全く関係のない本を、鉛筆で線を引きながら読んでいるという、とても常識では考えられないような奴でも、まだマシなような気になってしまいます。ただ、知り合いにあとで聞いたのですが、2階席の一番前(普通のお客さん用の席です)で、後の人が邪魔になるのも構わずに写真を撮りまくっていた「スタッフ」は、とても許す気にはなれません。ひいては、お客さんの邪魔をしてまで、写真を撮らせるという、その「スタッフ」を雇ったこの合唱団の姿勢さえ、許せなくなってしまいますね。
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 許せないと言えば、決して安くはない使用料を課しているこのホールで、こんな雨漏りの跡(でしょうか)をいつまでも放置しているのも、許せません。このみっともない汚れは、ニューフィルがここを使った時からありましたから、2か月近く何の手も打たなかったことになりますよ。ひどいものです。
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by jurassic_oyaji | 2012-07-09 21:45 | 禁断 | Comments(0)