おやぢの部屋2
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Nordic Sounds 2
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Peter Dijkstra/
Swedish Radio Choir
CHANNEL/CCS SA 32812(hybrid SACD)




ダイクストラとスウェーデン放送合唱団の「ノルディック・サウンズ」シリーズ、この前の「1」はスウェーデンの現代作曲家スヴェン・ダヴィッド・サンドストレムの作品集でしたが、今回の第2弾はもう少し人的、地理的、そして時間的な範囲を広げて、スウェーデン周辺の作曲家の作品集、その中にはもはや「現代」とは言えない、殆どロマン派の末裔なども含まれるというバラエティに富んだラインナップです。
スウェーデンの作曲家の中には、「サンドストレム」さんも入っていますが、こちらは「ヤン・サンドストレム」という、全くの別人です。おそらく、同じ名前の人は作曲家だけでも28人ぐらいいるのでしょう(別人28号)。この方は、さっきのサンドストレムと同じ干支、ちょうど12歳年下です。こちらは、ラップランドの出身だそうで、ここではその地方特有のパフォーマンスである「ヨイク」をモティーフにした作品が歌われています。
このアルバムのメインは、そんな「フォークソング」、つまり「伝承歌」に由来した作品のように感じられます。そんな、同じスウェーデン人、あるいは北欧圏の人たちが作った曲を、このスウェーデンの合唱団は、かなりの共感を持って歌っていることがはっきり分かります。
この中で最も若い作曲家が、フィンランドのマンテュヤルヴィ(1963年生まれ)ですが、彼の割と最近の作品が、2001年に作られた4曲から成る大曲「Kosijat」です。こちらも、フィンランドの伝承文学「カレワラ」がテキストになっていて、この作曲者特有の反復のエネルギーが、圧倒的に迫ってきます。かと思うと、その100年近く前に生まれた、スウェーデンの国民的作曲家アルヴェーンの作品などは、なんとも郷愁を誘われるような素朴さがたまりません。
ただ、演奏自体はまさにかゆい所に手が届くような精緻なものなのですが、録音が、SACDにした意味がないほどの、もっさりとしたものになっているのが、気になります。「1」ではそんなことは感じなかったのに。録音会場が違うせいなのでしょうか。おかげで、せっかくの合唱がなんとも精彩を欠く響きに聴こえてしまいます。
そんな音を聴き続けるのがちょっと苦痛になりかけた頃、最後の最後でとんでもないサプライズが待っていました。それは、ヒルボリという1954年生まれのスウェーデンの作曲家が1983年に作った「Muoayiyaoum」という、なんと発音するかも分からないようなタイトルの作品(日本の代理店は、がんばって「モウヲオアエエユイユエアオウム」と表記していますが、なんだか母音が多すぎるような…)です。そもそも歌詞などはなく、すべてヴォカリーズで歌われるのですが、最初のうちは、緻密なハーモニーが微妙に変わっていくというまるでリゲティの「ルクス・エテルナ」のような音楽だったものが、そこに交代で半拍ずれたアタックを付けて細かいパルスを聴かせるという場面になってくると、なんだかミニマル・ミュージックのような様相を呈してきましたよ。しばらくそれが続き、次第に高揚してくると、その正体が分かってきます。それは、まさにミニマル・ミュージックそのもの、あのスティーヴ・ライヒの名作「Music for 18 Musicians」の完璧なパクリではありませんか。この作品が初演されたのは1976年、ECMに最初に録音されたのが1978年ですから、おそらくそれを聴いて「参考にした」のでしょうが、いくらなんでもこんなミエミエのパクリは、作曲家として恥かしいのではないでしょうかね。
なにしろ、延々と同じパターンを繰り返さなければなりませんから、合唱団への負担は相当なものがあるのでしょう、最後の方になってくると明らかにスタミナがなくなって、ただでさえ難しそうな高音が、かなり苦しげな音程になってしまいます。それでも、ソプラノのメンバーは必死になって頑張っていますが、これはそんな苦行に見合うほどの作品では、決してありません。

SACD Artwork © Channl Classics Records bv
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by jurassic_oyaji | 2012-07-10 22:57 | 合唱 | Comments(0)