おやぢの部屋2
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TCHAIKOVSKY/Symphonie Nr.4
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Jewgenij Mrawinskij/
Leningrader Philharmonic
DG/UCGG-9047(single layer SACD)




ムラヴィンスキーとレニングラード・フィルが1960年にDGに録音したチャイコフスキーの後期の3つの交響曲は、こちらでご紹介したように、すでにESOTERICによってハイブリッドのSACDが発売になっていました。ですから、最近になって「本家」のDG(日本のユニバーサル)からシングル・レイヤーのSACDが出たと聞いても、全く購入する気はありませんでした。なんせ、こちらで検証したように、ベームの指揮によるブラームスの交響曲第1番の場合はESOTERICSACDの方がはるかに良い音でしたからね。チャイコフスキーでもESOTERICをすでに持っているのなら、別にDGを聴く意味は感じられませんでしたから。そもそも、ESOTERICでは3曲が2枚のSACDに収まっていて6,000円で買えたものが、こちらは1曲ずつそれぞれ4,500円、全部買えば13,500円と、倍以上になってしまいますし。
ただ、DGの場合、DSDへのマスタリングに何かムラがあるような気はしていました。そもそもエンジニアの名前は明記されてなくて、アイテムによって、完成度が微妙に異なっているのですよね。DECCAの場合なども、最近のものは外部でマスタリングが行われているせいか、明らかにいい音になっています。それと、こちらで書いたように、最近のEMIによるSACDでも、同じアイテムがESOTERICよりもはるかに素晴らしかったことなどを体験してしまうと、「もしかしたら」という気持ちにもなってしまいました。たまたま、ちょっとした臨時収入があったので、ダメモトでこのDGの「4番」も聴いてみようかな、という気になったというわけです。オクダさんですね(それは「メルトモ」)。
結論から言うと、それは決して無駄な投資ではありませんでした。このDGSACDは、ESOTERICをしのぐほどの生々しさを持っていたのです。
それは、第1楽章の冒頭ではっきりわかります。ホルンによるファンファーレが終わって、同じフレーズに今度はトランペットが加わった時に、そのトランペットの音がまるで違うのですよ。ESOTERICではなんとも薄っぺらな音なのに、DGではしっとりと落ち着いた深い響きが聴こえます。このフレーズはこの後何度も繰り返し出てきますが、そのたびに、これが本来の音だったのだな、と納得させられてしまいます。そんな序奏を締めくくるクラリネットとファゴットのユニゾンも、はっきり浮き出して聴こえてきますし。
そして、続く提示部での、ファースト・ヴァイオリンとチェロのユニゾンで奏される第1テーマの超ピアニシモが、DGではそのかすかな音の中にビブラートの変化による表情がはっきり聴き取れますが、ESOTERICではなんとも平板にしか聴こえません。この、ほんとにかすかな音による弦楽器はこの楽章でたびたび登場しますが(たとえば、06m24s付近)、いずれもささやくような音の中にしっかりした表現が感じられます。第2楽章の最後で、木管楽器のアコードの間にかすかに現れるヴィオラとヴァイオリンのテーマも、そんな微妙な肌触りがはっきりと表れています。
さっきのEMIの時も書いていましたが、これほどの違いが出てきているのは、エンジニアの腕だけではなく、マスタリングで用いられたマスターそのものが違うような気がしてなりません。ESOTERICの案内では、「オリジナル・マスターからリマスタリング」という言い方をしていて、決して「マスター・テープ」という言葉を使っていないのですよね。DGEMIの場合は、間違いなく「マスター・テープ」を使えるのでしょうが、かつてこちらで明らかになったように、ESOTERICの場合はマスターの選択は先方任せ、みたいなところがありそうですからね。
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しかし、なにをもって「オリジナル」とするか、というのは難しい問題です。この曲の「オリジナル」のLPには、2種類のジャケットが存在しているようですし、ライナーだって同じ品番なのにESOTERICのコピー(大きい方)とDGのコピーでは、いろんなところ(赤線)が違っています。なにしろ、「DG」のロゴそのものが、「3行」と「2行」でまず違っているのですから。

SACD Artwork © Deutsche Grammophon GmbH
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by jurassic_oyaji | 2012-07-14 20:41 | オーケストラ | Comments(0)