Amanda Forsythe(Sop)
Keith Jameson(Ten)
Kevin Deas(Bar)
Martin Pearlman/
Boston Baroque
LINN/CKD 401(hybrid SACD)
PCオーディオ機器でも積極的な展開を行っている
LINNですから、当然
CDや
SACDといったフィジカル媒体だけでなく、ダウンロードによるリリースも行っています。公式サイトに行ってみると、自社製品だけではなく、
DECCAあたりのアイテムまで扱っているのですから、すごいですね。ただし、
DECCAの場合は権利の関係でしょうか、日本から購入(ダウンロード)することはできませんとさ。
そこで販売されているのが、「スタジオマスター」と呼ばれている3種類のハイレゾデータ、最高位のものはなんと
24bit/192kHz(FLAC)という、
LPCMでは今の時点で普通に扱えるものの中ではこれ以上はないというスペックになっています。ということは、もともとの録音も、このスペックで行われているということなのでしょうか。その下に
24bit/96kHz(FLAC, WMA)のものも有るのですが、価格は同じでいずれも
24USドルというのですから、もしかしたらアップ・コンバート?ちなみに、
CDと同等の
16/44.1のデータは
13ドルですって。このハイドンの「天地創造」の場合は
SACDでは2枚組になっているので
25ドルと、ハイレゾデータの方がお安くなってますね。でも、マルチチャンネルは入っていないのでしょうね。
やはり録音を売り物にしたレーベル、
TELARCのアーティストだと思っていたボストン・バロックが、今回は
LINNからのリリースです。ただ、録音データを見ると今までの
LINNでは見かけない人、というかプロダクションの名前がありました。それは「
5/4 Productions」というものです。しかし、個々のプロデューサーやエンジニアの名前を見ると、トーマス・ムーアとかロバート・フリードリッヒ、マイケル・ビショップといった、馴染みのある名前がありますよ。そう、彼らは、まさに
TELARCのクルーではありませんか。調べてみると、
2009年に、以前から
CMG(Concord Music Group)に買収されていた
TELARCの主だったスタッフが大量に解雇されてしまったそうなのですね。それで、そこのエンジニアたちが独立して作ったのが、この「
5/4」でした。「
125%のクオリティ」という気持ちが込められた社名なのでしょう。元
PHILIPSの
POLYHYMNIAとか、最近はこういう風に、おかしくなってしまったレーベルからエンジニアが独立するというケースが多くなっていますね。
そういえば、このころ買った
TELARCが、今までと品番のつけ方が変わっていたことを思い出して、やはりボストン・バロックが演奏している
現物を見てみたら、そのクレジットには同じ名前がすでに「
5/4」名義で載っていましたね。ということは、ボストン・バロックはこれ以上
TELARCにいてもしょうがないと、録音スタッフ込みで、
LINNに移籍したということなのでしょうか。そうなると、こちらには録音機材のコメントはありませんが、
TELARC時代には彼らは
DSDで録音していたはずなので、さっきのハイレゾデータは、
DSDから
LPCMへのコンバートなのかもしれませんね。
しかし、同じ演奏家が同じ会場で、同じスタッフによって録音されているのに、今回の
SACDからは、
TELARCの
CDとは全然違う印象が与えられます。正直、今まで聴いてきたロンドン・バロックの録音は、なんか焦点の定まらないふわふわした音で、全く魅力がなかったものが、今回は全く別の団体を聴いているようでした。音の密度は格段に上がって、テクスチャーがはっきり分かるようになっていますし、何よりもボーカルのバランスがとてもに良くなっていて、オケに溶け込みながら、しっかり存在感を示しています。
SACDになったことが、その最大の要因なのでしょうが、もしかしたら「
LINNのブランドを背負うのだから」と、しっかりチェックが入っていたのかもしれませんね。
そんな音のおかげで、今まで退屈だと思っていた「天地創造」でも、最後まで楽しんで聴くことができましたよ。やはりウォシュレットはいいですね(それは、「
便器TOTO」)。基本的にかなりロマンティックな演奏ですが、ソリストが変なくせのない、アンサンブルでも美しく歌える人たちだったのも、勝因です。
SACD Artwork © Linn Records