おやぢの部屋2
jurassic.exblog.jp
ブログトップ
GOULD/Orchestral Works
c0039487_206173.jpg


Jeffrey Silberschlang(Tp)
Gerard Schwarz/
Seattle Symphony
NAXOS/8.559715




新譜だと思って買ったら、実は1994年にDELOSからリリースされていたものの移行盤でした。確かに帯には本当に小さな字でそんなことも書いてありましたね。全く気づきませんでした。新録音でなければ、少しお安くご提供してもいいような気がしますが、どうでしょう。
モートン・グールドのアルバムは、前にこちらで聴いていました。今回重なっている曲は「パヴァーヌ」だけですから、さらにグールドの別の面がたっぷり味わえることになります。いや、その「パヴァーヌ」にしても、まるで別の曲ではないかと思えるほどの、こちらは軽やかな演奏でした。というのも、このアルバムではジェフリー・シルバーシュラグという、おそらくこういう「軽め」の曲を得意としているトランペット奏者がフィーチャーされていて、それがとてもポップな雰囲気を出しているのですよ。この「パヴァーヌ」も、本来は別のパートが吹く部分までトランペットで演奏するように手直しをして、より「シルバーシュラグ節」が際立つようになっています。
ここでは、最初の1曲を除いて、すべてにそのトランペットが入っています。それらの曲は、まず、グールドのメインのフィールドだった「劇伴」としての音楽です。彼は映画やドラマ、さらにはドキュメンタリー番組までと、広範に音楽を作り続けていましたが、ここでそれらをまとめて聴くと、そこにはまさに、今の日本のお茶の間で日々流されているテレビドラマの音楽の要素がすべて含まれているように感じられます。あくまでキャッチーなメロディを前面に出して、本来の「伴奏音楽」としてだけではなく、このように単独で演奏しても十分味わえるものになるように仕上げる、という手法です。おそらく、グールドの場合は、結果的に独立した音楽にもなりうるクオリティを備えるようになったのでしょうが、日本の場合は、最初から「サントラCD」としての需要をあてにしている、という点が、かなり大きな違いではあるのでしょうがね。
「第一次世界大戦」という、CBSのドキュメンタリーのために作られた音楽は、その時代が彷彿とされるような作られ方をしています。それは、いまだに「世紀末」を引きずっているような少し退廃的な雰囲気を持ったものです。特に、「Sad Song」というナンバーには、そんなちょっと怪しさを秘めた魅力が満載です。
一方、NBCで作られた、ドイツのユダヤ人家族が主人公のドラマ「ホロコースト」の音楽は、グールド自身もユダヤ人移民の子であるということもあってか、さらに深みのあるものに仕上がっています。このドラマはエミー賞を獲得したのだそうですね。
最後に演奏されているのは、「マーチング・バンドのためのフォーメーション組曲」です(帯のインフォメーションには「マーチング・バンドよりフォーメーション組曲」ですって。校正ミスですね)。こんなジャンルの曲も作っていたのですね。これは本当に楽しい曲でした。文字通り、マーチング・バンドがフォーメーションを変えるごとに、曲も変わってヴァラエティあふれる演奏を繰り広げるためのものなのですが、そんな「実用音楽」にしておくのはもったいないほどの、まさにアメリカの明るさを終結したようなその数々の「マーチ」には、思わず引き込まれてしまいます。「森のくまさん」も登場しますし、「Twirling Blues」というのが渋くていいですね。
そんな中で異質なのが、最初に演奏されている「コンチェルト・グロッソ」です。もともとは「オーデュボン」という、バレエのための音楽を作ったところが、それは上演されることが無くなったので、4人のソロ・ヴァイオリンとオーケストラのために書き直したものだそうですが、これが聴いていて全然つまらないのですね。これもグールドの「シリアス」な一面なのでしょうが、彼が本気でこちらの道に進まなかったのは、我々にとっては幸せなことでした。

CD Artwork © Naxos Rights International Ltd.
[PR]
by jurassic_oyaji | 2012-07-26 20:07 | オーケストラ | Comments(0)