おやぢの部屋2
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BACH/Hunt Cantata
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Sophie Junker, Johnne Lunn(Sop), Damien guillon(Alt)
櫻田亮(Ten), Roderick Williams(Bar)
鈴木雅明/
Bach Collegium Japan
BIS/SACD-1971(hybrid SACD)




バッハが教会の礼拝に用いるためではなく、様々な祝い事(場合によってはお葬式のような弔事)のために作った、いわゆる「世俗カンタータ」は、きちんと楽譜が残っているものだけでも20曲程度、断片などを含めると50曲以上のものが知られています。実際にはほかのジャンルの曲同様散逸してしまったものも多くあるはずですから、彼の生涯にはさらにたくさんのものが作られていたことでしょう。
しかし、「教会カンタータ」に比べると、これらの作品はあまり録音には恵まれていないような気がするのですが、どうでしょう。「教会」の方はいくらでも「全集」が出来ている、あるいは出来つつある状態なのに、「世俗」の全集と言ったらとりあえず思いつくところではだいぶ前のシュライアーとリリンクぐらいしかありません。コープマンは「教会」、「世俗」を区別しないで全集化を進めていたようですが、あれは完成したのでしょうか。
着々とカンタータ全集を作り続けている鈴木雅明とバッハ・コレギウム・ジャパンですが、やはりこちらも「世俗」に関しては2004年に210番(結婚カンタータ)と211番(コーヒー・カンタータ)がカップリングされたアルバムを出したきりでした。
それが、思い出したように208番(狩りのカンタータ)の入ったアルバムをリリースしてくれました。カップリングは、BWV134aという、ちょっとマイナーな1719年の新年を祝うために作られたカンタータです。後に、アリアを一つカットして、1724年の復活祭第3日目に教会カンタータ134番としてリサイクルされます。BWVにはそのあたりの事情が反映されているのでしょう。
208番の方は、なんたって9曲目のソプラノのアリア「Schafe können sicher weiden(羊は安らかに草を食み)」が、かつてのNHK-FMでのバロック音楽の番組のテーマ曲というヘビー・ローテーションで、すっかり有名になってしまいました。この曲の2本のリコーダーによるイントロは、おそらく「バッハ」や「カンタータ」という概念を超えて「名曲」として聴かれているはずです。
作られたのはヴァイマール時代の1713年(1712年という説もあり)という、バッハがまだ20代のころですから、なかなか「元気」なアイディアが満載。さる貴族の誕生日のために作られたものですが、その方の趣味が「狩猟」と「イタリア・オペラ」だということで、その両方の要素をふんだんに盛り込んだりもしています。まずは、「シンフォニア」から、2本のコルノ・ダ・カッチャが大活躍です。これは、仙台限定のいやらしい楽器ではなく(ポルノだっちゃ)、「狩りのホルン」という意味の名前を持つピリオド楽器です。「ロ短調ミサ」にも登場しますね。しかし、このまさに「狩り」そのものの音楽は、聴きおぼえがあります。実は、これは「ブランデンブルク協奏曲第1番」の初稿の1曲目、作られたのがこのカンタータと同じころで、楽器編成も同じだということから、シンフォニアとして使われたのだろう、と推測されているのだそうです。
そのあとは、ソリストたちのレシタティーヴォとアリアが続くというお決まりの進行になるのですが、そのレシタティーヴォの後半には、ものすごいメリスマ、というか、コロラトゥーラが披露されるというサプライズが待っていました。これが「イタリア・オペラ」の趣味を取り込んだものなのでしょう。特にソプラノとテノールの2人による5曲目のレシタティーヴォなどは、櫻田さんの神業とも相まって、まさに息つく暇もないほどの華麗な世界が味わえますよ。1976年に録音されたマティスとシュライアーの演奏に比べると、速度はほぼ倍、そんな時代もあったのですね。
ほんと、2曲とも、その櫻田さんの歌をひたすら堪能するためのようなSACDでした。合唱などは、相変わらずの取り澄ましたクールさには、ちょっと引いてしまいます。

SACD Artwork © BIS Records AB
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by jurassic_oyaji | 2012-07-28 18:45 | 合唱 | Comments(0)