おやぢの部屋2
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Che'Nelle
EMI/TOCP-71400




車を運転しながらラジオを聴いていると、ちょっと気になる曲がかかったりすることがあります。その曲も、1度聴いたら忘れられないインパクトを持っていました。よくあるしっとりと聴かせるバラードで、コード進行もオーソドックスな、キャッチーな曲だな、と思っていたら、サビに入ったところでいきなり半音高く転調したのですよ。一瞬、なにが起きたのか分からないほど、それはショッキングな転調でした。それがそのままエンディングを迎えて、2コーラス目に戻る時に、そのままでは最初のAメロまで半音高くなってしまいますから、そこでまた半音下げるための強引な転調が行われていたのですから、すごいものです。
こういう、元に戻れない一方通行の転調は、ポップスの場合なかなかお目にかかれるものではありません。こんな大胆な(というか、恐れを知らぬ)ことを堂々とやっているのは誰なのか、気になってしまいました。でも、おそらく最初に曲の紹介があったのでしょうが、そんなものは憶えていません。アーティストの名前なんて、知っていれば気が付きますが、全く知らなければ聞いても絶対に憶えてなんかいるわけがありません。なんせ、最近のアーティスト(そもそも、「歌手」なんて言葉は今では死語です)ときたら、「ジュジュ」だの「スーパーフライ」だの、とても「名前」とは思えないようなネーミングで通していますからね。歌いだしが「Destiny」というのだけは憶えていましたから、それを頼りにネットで検索してみても、引っ掛かるのは似ても似つかない曲ばかりでした。
でも、ある時、やっと、その曲が終わった時のMCで、その曲が紹介されたので、あわててメモを取ります。それが、「シェネル」の「ビリーヴ」でした。何でも、映画「海猿」の最新版のテーマ曲なんですってね。
「シェネル」なんて日本人離れした名前ですから、外人?それにしては日本語の歌詞が上手(いや、今の「日本人」の歌う歌詞ほど下手くそなものはありません)、などと思っていたら、確かに彼女は外国人でした。アメリカで活躍しているR&Bシンガーなんですって。でも、それにしては、この友近のようなルックスは、と思ったら、生まれはシンガポールだとか。
そもそもは、普通にアメリカで「洋楽」のシンガー、あるいはソングライターとして活躍していたのが、日本からのリクエストで久保田利伸の「Missing」をカバーしたら大ヒット、日本向けのカバー・アルバム(なんと、「上を向いて歩こう」までカバー)までリリースされてしまいました。そして、今回は「ビリーヴ」をタイトルにした、日本人の作家チームによるオリジナル・アルバムです。もっとも、前作からの流れで、カバー曲も2曲入っています。
驚いたことに、彼女は日本語が全くしゃべれないのだそうです。ただ、同じアジアの語感は共通しているので、歌うことにはあまり苦労はなかったそうですね。「ビリーヴ」にしても、日本語の歌詞の間に英語がちりばめられているという手法が、なかなか素敵です。2曲目に入っている「フォール・イン・ラヴ」という曲では、なんだか聴いたことのあるメロディだと思ったら、それは「大きな栗の木の下で」という、あの遊び歌ではありませんか。その歌詞の部分は英語で、「あなたと、わたし」というところを日本語で歌うという、シュールな引用です。カバー曲のアレンジも、中島美嘉の「STARS」をレゲエ風の後打ちのリズムに変えて、オリジナルとは全く違ったテイストに仕上げていますし。
彼女は、伸びのあるとても素直な声です。この手の「張って歌う」人たちにありがちな過剰なビブラートがないのが、とても新鮮な印象を与えてくれます。かと思うと、最後の「トゥ・ユー」などは、オブラートでくるんだような、とてもソフトに抑えられた声を使って、しっとりとした味を出しています。アルバムの最初から最後まで、これほど味わい深く楽しめたなんて、久しぶりのことです。

CD Artwork © EMI Music Japan Inc.
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by jurassic_oyaji | 2012-07-30 20:32 | ポップス | Comments(2)
Commented by ケン at 2012-07-31 22:08 x
シェネルファンなので記事を楽しく拝見させていただきました!
正にごもっともなレビュー頂き、ファンとしても意見を代弁していただけて嬉しい限りです。
またラジオを熱心にメモいただいたのもファンの立場として嬉しいですね。
実力がある人ですが、アメリカでは成功できなかったと本人は語っています。
日本を足がかりに来年以降、アメリカで新作をリリースし、再スタートをするらしいので期待しましょう。
Commented by jurassic_oyaji at 2012-07-31 23:54
ケンさん、コメントありがとうございました。
やはり、きちんと歌が歌える人に、頑張ってもらいたいですね。