おやぢの部屋2
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MESSIAEN/Turangalîla-Symphonie
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Steven Osborne(Pf)
Cynthia Millar(OM)
Juanjo Mena/
Bergen Philharmonic Orchestra
HYPERION/CDA67816




今年はこの間のピアソラの他に、オリヴィエ・メシアンも没後20年を迎えていたのですね。ほんの4年前には「生誕100年」などと大騒ぎをしていたものですが、そんな余韻も冷めないうちに、またまた記念年を迎えることになってしまいました。頻繁に祝ってもらえるのはよいんことです。そんなわけで、この数年間はメシアン関係の新譜がたくさんリリースされてはいたのですが、何しろこんなご時世ですから、そのほとんどは今まで出ていたアイテムの模様替え、というか、「叩き売り」なのが情けないところですが。
しかし、この「トゥーランガリラ交響曲」は、久々の新録音、しかもライブではなくセッション録音です。つまり、コンサートが行われるのに合わせて、その前とか後にお客さんのいないホールで録音した、というようなものではなく、あくまで録音だけのためにアーティストが集まってリハーサルを行っていたという、完全にレコーディングに向けてのスケジュールが組まれているようなのですね。ベルゲン・フィルのサイトを見てみても、この曲が録音された2011年6月の前後にこの曲をコンサートで演奏した形跡はありません。そもそも、6月から8月までの間はシーズンオフで、コンサート自体が開かれていません。そこで、最近このオーケストラがBISで作ったSACDのデータを見直してみると、見事にその「夏休み」の間に録音されていることがわかりました(細かい曲でシーズンにずれ込んでいるものも有りますが)。これは、ちょっとすごいことなのではないでしょうか。今では、ウィーン・フィルやベルリン・フィルをはじめとする世界的なオーケストラは、ほぼ例外なく実際の演奏会での録音を編集してアルバムを作る、ということを日常的に行っています。もちろん、今のレコード会社にはわざわざセッションを組むほどのコストをかける力はありませんし、そもそもオーケストラの録音自体からも手を引きたがっていますから、オーケストラが自前で演奏会の録音を行う「自主レーベル」こそが、隆盛を極めているのですよ。そんな「ご時世」に、こんな贅沢な環境でアルバム制作を行っているオーケストラがあったなんて。
しかも、ベルゲン・フィルの場合は、そのクオリティも最先端、BISの録音は、文句の付けどころのない素晴らしいものでしたし、今回のHYPERIONへの録音では、エンジニアが元DECCAのサイモン・イードンなのですからね。DECCAなきあとはおそらくフリーで活躍しているのでしょうが、例えばジンマンのマーラー(RCA)などでは、最良のDECCAサウンドを披露してくれていました。
レーベルが変わっても、その録音ポリシーは健在でした。オーケストラでは芯のある弦楽器、輝くような金管楽器とパワフルな打楽器、そして繊細な木管楽器とそれぞれの持ち味が充分に伝えられているうえに、全体に北欧ならではのしっとりとした響きが漂います。そして、ソロのピアノはあくまでくっきりと、オンド・マルトノも、今まで聴いて来たものではあまりはっきしていなかったフレーズが、見違えるように際立って聴こえてきます。
そんな、最高のステージを与えられて、ベルゲン・フィルの首席客演指揮者、1965年生まれのスペイン人ファンホ・メナは、レーベル的にはピアノのオズボーンを立てる企画なのでしょうが、そこはきちんと配慮しつつ、このオーケストラを自在に操って、見晴らしの良いメシアン像を描き出しています。決して脂ぎってはいないサラッとした肌触りなのに、クライマックスの作り方は非常に納得のいくものですから、おのずと音楽の渦に巻き込まれてしまうという、気持の良い演奏です。CDケースのインレイに演奏に参加しているオーケストラの全団員の名前が書いてあるのも、粋な計らいですね。
これだけのクオリティがありながら、SACDではないのが、唯一の不満です。HYPERIONは、もうSACDはやめてしまったのでしょうか。

CD Artwork © Hyperion Records Limited
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by jurassic_oyaji | 2012-08-01 20:19 | オーケストラ | Comments(0)