おやぢの部屋2
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CIMAROSA/Requiem
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Valérie Gabail(Sop), Katalin árkonyi(MS)
Etienne Lescroart(Ten), Ronan Nédelee(Bar)
Jérémie Rhorer/
Choeur de Chambre des Musiciens du Louvre
La Philharmonie de Chambre
LIGIA/Lidi 0202243-12




チマローザの「レクイエム」という、まさに「秘曲」は、以前こちら2008年に録音された最新のものを聴いていました。なにしろ、この曲の唯一の録音である1968年のヴィットリオ・ネグリ盤は、CD化もされたのですが、すでに廃盤になっていましたから、その時に初めて、この魅力的な「レクイエム」に接することが出来たのです。確かに、その時に、この、適度にオペラティックな要素(なんと、アリアの最後にカデンツァまで付いてます)を交えた「レクイエム」は、何か心に届くものがありました。ただ、「もっと緊張感のある演奏で聴いてみたいものだ」みたいなことを書いていたように、合唱は満足できるほどの出来ではありませんでした。
そんな珍しい曲の新しいCDが出たというので、さっそく入手してみました。なによりも、指揮者がモーツァルトのアルバムなどでお気に入りだったジェレミー・ロレルでしたから、大いに期待がそそられます。しかし、現物を手にしてみると、そんな期待を裏切るようなことが、すでに外観からもうかがえてしまうのですから、いやになります。まず、録音されたのが2002年だというのですよ。なぜ、10年も前のものがいまごろ。それでも、曲についてのコメントや、録音当時のロレルのポストぐらいは書いてあるのだろうと思って、パッケージの中を探してみたのですが、そんな情報は全く見つかりません。あるのは録音のデータと、トラック・リストだけ。Sの指揮者の名前とか「それは、(ブラック・リスト)」。つまり、ふつうのCDであれば必ず入っている曲目解説や演奏家のプロフィールなどは一切ないのですよ。
それにしてはなんだか厚ぼったいブックレットと、さらにもう1枚のCDまで入っているのはどういうわけ?と思ってよく見ると、それは、このレーベルのカタログと、サンプル音源でした。なんと、1992年に創設されたこのLIGIAというレーベルが今年20周年を迎えるにあたっての、音源付き記念カタログ、というのが、このアルバムの本当の姿だったのでした。そこに、(たぶん)今までリリースする機会がなくお蔵入りになっていた音源を、指揮者がそこそこ世の中に認められたタイミングで「おまけ」としてつけてよこしたのですよ。本末転倒ですね。
それでも、オーケストラは聞いたことのない名前でも、合唱のクレジットは「ルーブル宮音楽隊合唱団」ですから、これはあのミンコフスキの録音に参加している団体のはず、そんなおかしな演奏はしていないだろう、と普通は思うはずです。しかし、そんな最後の期待まで、見事に裏切られてしまうのですから、やりきれません。これは、完全なライブ録音(最後には拍手が入っています)ですから、コンディションがあまり良くなかったのかもしれませんが、それにしてもこの合唱はひどすぎます。一人一人の声が情けない上に、それが全然揃っていないのですから、そもそも合唱にはなっていないのですよ。
救いと言えば、ソリストたちはテノール以外の人はまともに歌っている、ということぐらいでしょうか。
この曲の楽譜は、オリジナルとはかなり異なった形で何種類かのものが出ているようです。実際、NAXOS盤と今回のものでも、間違いなく別の楽譜を使っているようで、ソロで歌う部分と合唱の部分とが微妙に異なっています。実は、手元には2008年に出版されたクリティカル・エディション(ブライトコプフ)があるのですが、それもまた別の楽譜、さらにそこにはどちらのCDにも含まれていない「Libera me」の楽章が最後についています。これは、確かに初演であるサンクト・ペテルブルクでの葬儀の際に演奏されたものなのだそうですが、どこかに紛れていて、これまで出版されたものからは抜け落ちていた、と言われています。それまでの曲の中にはなかったオーボエやファゴットが加わってコントラストを見せているという、この「新発見」の楽章が演奏されている録音も、ぜひ聴いてみたいものです。今度こそはまともな合唱団で。

CD Artwork © Ligia Digital
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by jurassic_oyaji | 2012-08-03 20:00 | 合唱 | Comments(0)