おやぢの部屋2
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VIVALDI/Le Quattro Stagioni
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Federico Guglielmo/
L'Arte dell'Arco
CPO/777 759-1(LP)




最近は、CD以前の音楽再生ツールであったLP(レコード)が、結構出回っているような気がしませんか?このサイトでも、DECCAMERCURYといったレーベルが過去のLPを復刻したものや、EMIの音源を全く別のところがリリースしたものなどをご紹介してきましたね。
これらは殆どかなり前のアナログ録音がソースになっているものですが、ここにきて最新のハイレゾ・デジタル録音を「新譜」としてLPでリリースする、という動きが出てきています。ハイレゾのデータをそのまま再生しようというPCオーディオがもてはやされている一方で、このような半世紀以上前のテクノロジーを本気で見なおしてみようという試みが行われているのは、なんとも興味深いことです。
そんな、「あくまで最高の音質を追求する」という姿勢を前面に押し出してLPを出したのは、CPOという、確かに録音にはこだわりを見せてはいたものの、それほどマニアックなオーディオファイル向けという印象はなかったレーベルでした。しかし、この2001年に録音された「四季」を、まずは当時開発されたばかりの商品であるSACDとしてリリースしていた、というあたりに、CDでは物足らないユーザーのために新たな可能性を提供していた、という姿勢を見ることは可能です。そして、今回は同じソースによるLPの登場です。このレーベルが創設されたのはもはやCDの時代となった1986年ですから、これは文字通りCPOにとって初めてのLPということになります。おそらく、なまじ過去の実績がない分、逆に「新しい」メディアとして取り組むことができたのでしょう。
確かに、このLPのクオリティは、かなりのものでした。以前本当にびっくりしたこちらのLPに比べても盤質は遜色のないものです。若干スクラッチ・ノイズは聴こえますが、それほど気にはなりません。何よりも、表裏で「四季」1曲しか入っていませんから、余裕のあるカッティングが実現できていて、内周ひずみもほとんど感じられないほどです(SACDでは、もう1曲カップリングが入っていました)。
そんな、とても生き生きとした息吹きの感じられる再生音によって聴こえてきたのは、CDのような生ぬるいメディアでは絶対に味わうことのできない精緻な音でした。今回の「四季」のジャケットには、「Dresden Version with Winds」とありますが、普通は弦楽器と通奏低音だけで演奏されるこの曲に、リコーダー、オーボエ、ホルンなどを加えて、目の覚めるような音色を体験できるような「仕掛け」が施されています。例によって、代理店によるインフォには「ドレスデン版どえす(京都弁)」と、あたかもそのような楽譜が存在しているかのような案内がありますが、これはそういうことではなく、当時の立派なオーケストラ(もちろん管楽器付き)があったドレスデンあたりの慣習を取り入れた演奏、ぐらいの意味なのでしょう。ですから、ここで使われている管楽器のアイディアは、もっぱら演奏しているグリエルモとラルテ・デラルコによるものだと考えていいのではないでしょうか。
その楽器のチョイスは、とてもショッキングなものでした。それらは、バックのオーケストラの中に加わっているだけではなく、堂々とソロのパートにもからんでいたのですからね。「春」では、ソプラノ・リコーダーがソロの合いの手を入れれば、それはまさに小鳥の声、「秋」では、トゥッティの音型が堂々とホルン2本で演奏されれば、もろ「狩り」の描写が眼前に広がります。
もちろん、肝心なのはそんな「小技」ではなく、演奏全体にみなぎる生命感です。「冬」の真ん中の楽章では、元のソネットにある「火のそばでのんびり過ごす」ではなく「外は雨」の方を強調したちょっとアグレッシブな解釈なども取り入れつつ、昨今のヴァイオリン以外の楽器が使われたあまたのつまらない「バージョン」とは格の違う、隅々まで研ぎ澄まされた「四季」が繰り広げられています。

LP Artwork © Classic Produktion Osnabrück
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by jurassic_oyaji | 2012-08-17 20:53 | オーケストラ | Comments(0)