おやぢの部屋2
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TCHAIKOVSKY/Symphonies Nos 1-3
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Valery Gergiev/
London Symphony Orchestra
LSO/LSO0710(hybrid SACD)




ゲルギエフのチャイコフスキーと言えば、まだ「PHILIPS」というレーベルが存在していたころに録音されたものが有名ですね。確か、ウィーンフィルとの4-6番と、マリインスキー劇場管との6番だったでしょうか。いずれにしても「後期」の3曲しか録音していなかったものが、ついに「前期」の3曲にも着手してくれました。オーケストラは、現在彼が首席指揮者を務めているロンドン交響楽団です。
別に深く考えず、1枚入りのケースだと思って開けてみたら、中にはSACDが2枚入っていましたこんなケースはよくあります。確かに、3曲では丸々2時間かかってしまいますから、1枚では無理なのでした。それで、価格は1枚のほぼ1.5倍、なかなか良心的ですね。カップリングも、「1番」と「2番」で1枚、「3番」で1枚と、曲の途中でディスクを入れ替えることのないような配慮です。
ただ、このカップリングには、もう一つの意味があったことにも気づかされます。1枚目は、今までのLSO Liveの普通のやり方で、彼らの本拠地であるロンドンのバービカン・ホールでのライブ録音なのですが、2枚目はなんとチューリッヒのトーンハレという、演奏旅行先での録音なのですよ。これはちょっと新鮮な驚きです。なんでも、これはロンドンでも演奏していたそうなのですが、あえてチューリッヒでの録音を収録したというのは、なにか訳があるのでしょうか。もちろん、エンジニアはどちらの場所でも「クラシック・サウンド」のニール・ハッチンソンが担当しています。
以前からの印象が、この間のティオムキンでさらに強くなったのですが、このレーベルの音はなにか地味で、SACDでありながらオーディオ的な魅力があまり感じられませんでした。音に輝きのようなものがないのですね。このクルーの仕事は、基本的に落ち着いた音でまとめる、というコンセプトで統一されてはいるのでしょうが、通常の録音会場がバービカン・ホールというかなりデッドなホールであることも、その傾向を助長しているのでしょう。
ところが、今回のチューリッヒでの録音を聴くと、全然音が違っていました。このホールは写真を見ると昔ながらのシューボックスタイプ、ここを本拠地にしているチューリッヒ・トーンハレ管弦楽団の録音などを聴いてみても、ホールがよく「鳴って」いることが分かります。ですから、同じクルーが録音しても、その違いがもろに出てきているのですね。弦楽器の艶やかさや金管の力強さが、豊かな残響に助けられて、より輝かしいものになっているのです。
そんな会場の響きの違いが、ゲルギエフの表現にまで微妙に影響しているのでは、というのは、あくまで同じ曲をバービカンでのテイクと聴き比べてみなければ分からない、単なる憶測なのですが、ここで録音された「3番」だけが明らかに他の2曲よりも外へ向けてのエネルギーが大きく感じられるのは、事実です。もちろん、この曲がちょっと「交響曲」らしくない、まるでバレエ音楽のような形式を持っていることとも無関係でなないのでしょうが、ここからは、確かにマリインスキーとの「6番」では聴くことのできた生々しいグルーヴを感じることが出来るのです。
それに対して、「1番」と「2番」は、なにか生真面目さが表面に顔を出しているようなところがあり、ハイテンションでやみくもに突っ走るというゲルギエフのある一面を楽しむことはちょっと難しくなっています。そんな印象が特に強く感じられるのが、「2番」の第2楽章です。ここで最初に現れる例のかわいらしいマーチのテーマが、なんとも重々しいのですね。もちろん、それは次第に華やかさを増して、そこそこのクライマックスを形作るのですが、そこに至るまでの過程が、あまりにも慎重すぎるのですよ。
トーンハレだったら、最初からもっと軽やかなマーチだったのかも、というのは、繰り返しますが「憶測」に過ぎません。

SACD Artwork © London Symphony Orchestra
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by jurassic_oyaji | 2012-09-10 19:18 | オーケストラ | Comments(2)
Commented by つるびねった at 2012-09-11 06:16 x
こんにちは。はじめまして。
ゲルギーのチャイコフスキーの初期交響曲のCD出たんですね。おっしゃるとおり、甘美さを廃した生真面目なアプローチだったと思います。
ところで、CDでどのテイクを採っているのかは分かりませんが、交響曲第2番の音楽会の(少なくとも2回目)は、日本の震災に遭われた方々に捧げられた音楽会です。そういう事情が音楽に反映されることはないでしょうが、日本のことを思って演奏された音楽会であったことは事実なので、お耳に入れたいと思いました。
Commented by jurassic_oyaji at 2012-09-11 08:31
つるびねった(ツェルビネッタ?)さん、コメントありがとうございました。
確かに、3月23日と24日の録音を編集したものだそうです。そんなことは全く気付かずに聴いていましたが、やはり何か伝わるものがあったのかもしれませんね。