おやぢの部屋2
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ORFF/Carmina Burana
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Kiera Duffy(Sop), Marco Panuccio(Ten)
Daniel Schmutzhard(Bar)
Kristjan Järvi/
MDR Rundfunkchor & Kinderchor
MDR Sinfonieorchester
SONY/88725446212




ちょっと見るとLPレコードの盤面かな、と思えるほどのなかなか素敵なジャケットですね。しかし、よく見るとこれは道路のロータリーのようでした。この曲の2台ピアノバージョンのスコアの表紙には運命の女神フォルトゥナが操る「車輪」が描かれていますが、それに絡んだ「ロータリー」というのはあまり賢くありませんね(ノータリン)。
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このジャケットでもう一つ気づくのが、どこにもレーベルの表示がない、ということです。インレイには、確かにSONYのロゴがありますが、それと並んで、ドイツ中央放送(MDR)が最近発足させた「MDR KLASSIK」という新しいレーベルのロゴもあります。ということは、これはSONYMDRとの共同制作ということになるのでしょう。確かに、クレジットにはフリーランスのプロデューサーやエンジニアとともに、MDRの関係者の名前もありますね。
もはやSONY自体は、ほかのメジャーレーベル同様、クラシック部門では制作は「下請け」によって行われるようになってしまいました。ですから、もはやかつての「MASTERWORKS」の音を聴くことは不可能です。その代わり、今回のMDR交響楽団の音は、まるでかつての「東独」の録音のような渋く落ち着きのあるものになっていました。合唱も、同様に渋い音色を聴かせてくれるのもうれしいところです。児童合唱も含めて、この合唱のレベルはかなり高く、指揮者の求めている音楽に的確に反応していることが見て取れますから、それがこの録音でさらによく伝わってきています。
かつては「ライプツィヒ放送交響楽団」と呼ばれていたこのオーケストラ、ファビオ・ルイージが首席指揮者だったと思っていたら、いつの間にか(2007年から)準・メルクルに代わっていて、さらに今年のシーズン開けですから、ほんのちょっと前に、このクリスティアン・ヤルヴィがその後任として就任していました。相変わらず変化の激しい世界のオーケストラ人事ですが、この「カルミナ・ブラーナ」の録音は今年の7月に行われたものですから、まさに「婚前共演」となるのですね。
クリスティアンの指揮は、目まぐるしく場面が変わっていくアクション映画のような、スリリングなものでした。ちょっと目を離している隙にガラリとシーンが変わってしまうという息詰まる爽快感にあふれています。最初の「O Fortuna」では、序奏が思いきり足を引きずるような重苦しいビートに支配されていたものが、「semper crescis」に入ったとたんにいとも軽やかな音楽に変わってしまう、といった具合ですね。
さらに、この曲で特徴的なオルフの作曲様式が、まぎれもない「ミニマル」であることにも、この演奏からは気づかされます。もちろん、オルフ自身は「ミニマル」などという名前も概念も知っているわけはありませんが(ふつうは「オスティナート」とか言われていますね)、実際に「ミニマル」を体験してしまった世代のクリスティアンの手にかかると、これは、そんな、歴史を先取りした作品であることがはっきりと感じられるようになるのです。
ただ、ソプラノのダフィーだけが、この流れに乗っていけないために、常にもたついているのがやたら気になります。可憐でいい声なんですけどね。その点、バリトンのシュムッツハルトは、完璧にその「ミニマル」のリズムを実現してくれています。過剰に「芝居っ気」を出していないのも、そんな印象を強めているのでしょう。「Olim lacus colueram」でのテノールのパヌッチオも、同じような路線で淡々と歌っていますし。もっとも、この曲だけは全体の流れとは関係なく、ハイテンションで臨んでほしい気はしますが。もちろん、この前のヴァント盤みたいな小細工(というか、楽譜通りの演奏)はやってはいません。
合唱は、最近はなかなか良い演奏のものに巡り合えていますが、これもとても見事です。男声だけのアンサンブルなどは、完璧です。

CD Artwork © Sony Music Entertainment
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by jurassic_oyaji | 2012-09-20 23:38 | 合唱 | Comments(0)